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第2回 現状のシステムを紐解き、全体を見える化する

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 前回は現状のシステムの問題点をあげましたが、どのように現状のシステムの健康診断を行えばいいかをステップ分けをして説明していきます。

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最初のステップが現状のシステムを整理することです。現状のシステムを紐解き、いかに見える化をすればいいかを第2回では説明していきます。

システムの全体を洗い出し一覧化する

 まず会社のシステムの全体を洗い出し、一覧化していきます。以前でしたらシステム部門に聞けば、すべてのシステムを把握しているのが一般的でした。最近では、クラウドサービスやスマホアプリなどシステム部門が絡まなくても導入できるシステムが増えています。主管部門が業務部門だったりするので、システム部門だけではなく、様々な部門にヒアリングをする必要があります。ヒアリングしたうえで、システムを一覧化していきます。システム導入に携わっていた人が辞めてしまったとか、誰が一番詳しいか分からない、といったこともよくあります。そういった場合でも断片的に知っている人を探して、様々な方にヒアリングして整理していきます。一覧の項目は、システムの概要や導入年月・初期導入費・ランニングコスト、開発言語やサ-バのOSのバージョンなどです。洗い出しを行っていると、どこまで細かくやればいいのか、ということが問題になります。ネットワーク機器や各種サーバー類、パソコン、プリンター、携帯端末等まで洗い出す必要があるのか。今まで何度か試行錯誤を繰り返してきましたが、細かくなればなるほど資料の精度は高くなるかもしれませんが、逆に見てもらえない資料にもなりますので、できるだけシステム単位にまとめて表現したほうがいいと思います。

ベンダーとコストを見える化する

 一覧を作成したら、次はどこのベンダーを使っているのか、何というパッケージやサービスを利用しているのか、コストはどれだけかかっているのかをシステム単位に埋めていきます。コストは初期費用と月額のランニング費用でまとめると分かりやすいと思います。ベンダーが同じだったりすると、複数のシステムがまとまったコストしか把握できない、といったこともありますが、そういった場合でも、ベンダーに協力してもらい、可能な限りシステム単位でコストを洗い出します。目的は隠すことではなく見える化することですから、システム担当者以外の方が見ても、一目で分かるようにすることが大事だと思います。この一覧を作成することで、コストが妥当かどうかも知っている人が見れば判断できるようになってきます。

システムの全体像を1枚の図にする

 システムを一覧化することができたら、次はそれを図で表現します。ある程度グルーピングしたほうが初めて見る人が見たときに分かりやすいと思います。だいたいの会社はフロントと基幹、バックでシステムが分かれていると思いますので、それらをグルーピングして図にしています。顧客を1番左に表現し、そこからフロント、基幹、バックで並べるのがいいでしょう。システムが多岐にわたっていると、1枚の絵に表現するのが難しかったりします。今までに2~3ページにも渡って全体像を整理したこともありますが、複数ページになると一気に伝わりにくい資料になります。どれだけシステムが複雑であっても、1ページに収めることにこだわることが大事だと思っています。ところどころに絵や会社のロゴやサービスのロゴを入れるだけで見た目も分かりやすくなると思います。
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データの流れを洗い出す

 最後にデータの流れを整理します。システム全体図にデータの流れを入れてもいいのですが、場合によっては見づらくなりますので、システム全体図には代表的なデータの流れだけを入れ、データの流れは別の資料で表現しています。粒度としてはデータ単位ではなく、システム単位でつながっているかどうかが表現できれば十分だと思います。システム間のデータの連携方式が、手動なのか自動なのか、密結合なのか疎結合なのか、といったところまで表現できれば、その後の課題の洗い出しもやりやすくなります。

システムを見える化する際に重要なポイント

 ここまでで現状のシステムを整理する手順を説明してきましたが、大切なことは、いかに分かりやすい資料を作成するか、ということだと思っています。システムエンジニアが作るシステム全体図やシステム構成図などは、システム以外の業務部門の人や経営層の方が見てもピンときません。しかし、ほとんどの経営層の方はなぜシステムにこんなにお金がかかるのか理解できない、と思っています。あまり簡易にしすぎても意味がありませんし、だからといって細かく表現しすぎれば伝わらない資料になってしまいます。私自身、経営層の方や経営企画部門の方から依頼されることが多いので、どう表現すれば最も伝わりやすい資料になるかを常に意識して作成しています。
 ここまでがシステムの現状を見える化する、というステップになります。ここまでで、こんなに古いシステムをまだ使っているのか、なんでこんなにコストがかかっているのか、といった課題が見えてきます。次回はそれらの課題の整理の仕方について説明していきます。

(つづく)
岡村 克久(Katsuhisa Okamura)

1993年(株)オービックにてSEとしてシステム開発に従事。2000年(株)イーショッピング・ブックスに入社しECサイト開発に携わる。2008年(株)セブンアンドアンドワイ システム開発部部長就任。2015年(株)セブンアンドアイネットメディア執行役員就任。オムニチャネル戦略の開発PMを務める。2017年同社を退社。2017年デジタルシフトウェーブ入社。同社取締役に就任。
■上記の著者へのDX相談・講演等の依頼は、こちらから

株式会社デジタルシフトウェーブ

https://www.digitalshiftwave.co.jp/
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