DX コラム

    2021.03.09

    DX推進の要となるITの導入費用を一部補助、中小企業が活用すべきIT導入補助金とは?

    自社のDXを推進させるなら、ITの積極的な利活用が欠かせません。とはいえ、潤沢な資金とITを運用できるスタッフが十分ではない中小企業は、IT導入に二の足を踏むケースも少なくないでしょう。そこで政府は、こうした企業を対象とした支援策を講じています。それが、IT導入費の一部を補助する「IT導入補助金」です。具体的にどんな事業なのか。公募要領(暫定版)をもとに2021年の事業の概要をまとめます。

     中小企業などを対象に、IT製品・サービスの導入費用などを一部補助する助成事業が「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」です。働き方改革や被用者保険の適用拡大などに対応するためのITツールの費用を補助し、中小企業の生産性向上を図ることを目的とした事業です。

     もっとも、補助金額に上限はあるし、どんなIT製品・サービスを選んでいいわけでもありません。費用補助を申請するには手続きも当然必要です。本事業の対象になるためには細かな条件を満たすことが不可欠で、事業の詳細をきちんと把握することが大切です。

    対象となる事業者とは?

     まず対象となる事業者。2021年の「公募要領(暫定版)」を見ると、「中小企業・小規模事業者等」となっています。定義は業種によって異なります。例えば製造業の場合、資本金の額、または出資の総額が3億円以下、従業員数が300人以下といった上限が設けられています。
    業種分類定義
    ① 製造業、建設業、運輸業 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主
    ② 卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主
    ③ サービス業(ソフトウェア業又は情報処理サービス業、旅館業を除く) 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主
    ④ 小売業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主
    ⑤ ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工場用ベルト製造業を除く) 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が900人以下の会社及び個人事業主
    ⑥ ソフトウェア業又は情報処理サービス業 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主
    ⑦ 旅館業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が200人以下の会社及び個人事業主
    ⑧ その他の業種(上記以外) 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主
    ⑨ 医療法人、社会福祉法人 常時使用する従業員の数が300人以下の者
    ➉ 学校法人 常時使用する従業員の数が300人以下の者
    ⑪ 商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所 常時使用する従業員の数が100人以下の者
    ⑫ 中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体 上記①~⑧の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者
    ⑬ 特別の法律によって設立された組合又はその連合会 上記①~⑧の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者
    ⑭ 財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益) 上記①~⑧の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者
    ⑮ 特定非営利活動法人 上記①~⑧の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者
     そのほかにも申請要件は多々あります。例えば日本国内で法人登記していること、最低賃金が地域別最低賃金以上であることなどが挙げられます。ここではすべての申請要件の掲載を割愛しますが、とりわけ以下の2つは手続きを早めに済ませておきましょう。
    1.「gBizIDプライム」を取得していること
    2.情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」を宣言すること


     gBizIDプライムとは、行政サービスを利用するのに使われる認証システムの1つです。本事業に申請する場合、gBizIDプライムのアカウント(IDやパスワードなど)が必要です。アカウント取得に際し、法人なら印鑑証明書が必要となること、アカウント発行まで2週間かかることなどから、手続きを早めに済ませておくのが望ましいでしょう。
     SECURITY ACTIONは、情報セキュリティ対策に取り組んでいることを自己宣言する制度です。取り組む内容に応じて、星1つか星2つのどちらかを宣言できるようになります。例えば「星1つ」を宣言するには、「OSやソフトウエアを最新の状態にする」「ウイルス対策ソフトを導入する」などの5項目を満たすことが条件です。専用Webサイト経由で申請し、その際利用した「宣言済アカウント」(ID)を、IT導入補助金の申請時に利用することになります。SECURITY ACTIONも事前申請しておくようにしましょう。

    対象となるITツールとは?

     次に補助対象となるITツールには、どんなものがあるのでしょうか。結論から言うと、「IT導入支援事業者」として事前に登録した企業(ITベンダーなど)が提供する、事前に認定されたIT製品・サービスなどが対象です。

     原稿執筆時点(2021年3月9日時点)では未公表ですが、IT導入補助金の公式Webサイトでは毎年、IT導入支援事業者およびITツールを検索できる機能が追加されています。どんなITツールを導入したいのか、業務課題などを踏まえて絞り込むとよいでしょう。公式Webサイトでは公募要領や具体的なスケジュールなどの情報が順次更新されていくので、こまめにチェックすることをおすすめします。
     なお、補助対象となるITツールは以下の通りに大別されます。
    ソフトウエア
    単体ソフトウエア
    連携型ソフトウエア
    オプション 機能拡張
    データ連携ツール
    セキュリティ
    役務 導入コンサルティング
    導入設定・マニュアル作成・導入研修
    保守サポート
    ハードウエアレンタル
    ※連携型ソフトウエアは本事業の特別枠(C類型)の申請対象となるので、ここでは説明を割愛します。ハードウエアレンタルは本事業の特別枠(C、D類型)の申請対象となるので、ここでは説明を割愛します。
     IT導入補助金では原則として、「ソフトウエア(単体ソフトウエア)」の導入費用に、「オプション」と「役務」に関連する経費を含んだ合計額に対し、補助金が支払われることになります。

     さらに単体ソフトウエアは、以下の7つの領域別に分類されます。
    1.顧客対応、販売支援
    2.決済、債権債務、資金回収管理
    3.調達、供給、在庫、物流
    4.会計、財務、経営
    5.総務、人事、給与、労務、教育訓練、情シス
    6.業種固有プロセス
    7.汎用・自動化・分析ツール(業種・業務が限定されないが生産性向上への寄与が認められるもの)


     なお、単体ソフトウエアの提供形態は、クラウド型であっても問題ありません。一方、スクラッチ開発を伴うソフトウエアや、請求書作成機能のみのように単一の処理を行う機能しか備えないソフトウエアの導入費用は対象外です。そのほか、ハードウエア製品、広告宣伝費、ECサイト制作費、リース料金、交通費、宿泊費なども経費として認められていません。
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