市場動向

    2021.07.07

    NTT西日本、ドローンを使って農作物の生産量をコントロールする実証実験を開始

    NTT西日本グループは2021年7月5日、愛媛大学、農作物卸の青空(blue sky)とともに、独自の技術による農作物生産コントロールの共同実証実験を開始したことを発表しました。地域農業において、DXにより農作物の生産品質・収量を安定化させ、廃棄ロスを抑止して、生産性の高い農業を目指すことが目的です。独自の農地分析技術は、汎用ドローンで撮影した空撮画像から高精度な分析を行うことを可能にしています。この圃場分析技術は、愛媛大学が研究開発した葉緑素推定アルゴリズムを用いるもので、愛媛大学において特許申請中です。

     国内の農業においては、少数の大規模農家が、多数の圃場(農地)を管理し、生産を行う形態へと構造変化が進んでいます。そして、大規模農家では「いかに少ない労働力」で、「効率的に広大な農地を管理」し、「高品質な農作物」の「安定的な栽培」を「低コスト」で実現していくかが課題となっています。

     例えば、複数の農地からなる広大な耕作エリアを抱えると、以下のような問題が生じます。

    ・エリアごとの条件差を踏まえたきめ細やかな栽培管理が難しくなり、その結果、エリアごとに生育状況のばらつきが生じて安定的な生産ができない
    ・生産のばらつきや天候不良の影響を吸収し、取引先の要求量を満たす収穫量を確実に確保するためには、恒常的に余剰生産を行う必要が生じ、結果として大量の廃棄ロスが生じる

     これらの問題を解決するには、定期的に農地全体の生育状況を分析することが不可欠ですが、既存の分析手法では、高額な装置の利用が必要になります。したがって、安価な分析手法を確立し、課題を解決すべく、NTT西日本グループは今回、愛媛大学、青空と共同で、農業生産のDXのための実証実験を開始しました。

     今回の共同実証実験では、以下の2点について、低コストで実現可能なシステムの評価を行います。

    (1)農作物の生産の安定化
    (2)過剰生産による廃棄ロス抑止

    (1)生産の安定化に向けた実証内容
     以下の組み合わせにより、農地における農作物の生育状況を分析する仕組みを構築します。

    ・愛媛大学が開発した、低コストで導入可能な独自の「圃場分析技術」
    ・NTT西日本グループのドローン・ソリューションとクラウド基盤

     そして、分析結果に基づき適切な施肥を実施することで、生産量・生産品質の安定化につながるようにします。具体的には、以下の流れになります。

    青空(岡山県真庭市)のレタス圃場を廉価な汎用ドローンカメラで空撮

    圃場全体を撮影した俯瞰画像データから、SPAD値(植物葉中の葉緑素含量の測定に用いられる分析値)を分析
    ・圃場のレタス葉の葉緑素の濃度を推定することで、レタスの生育状況を可視化

    可視化された生育状況に基づき、必要箇所に必要な量の施肥(可変施肥)を実施し、レタスの生育・品質のばらつきを抑制

    (2)廃棄ロス抑止に向けた実証内容
     分析された生育状況データと、青空が培ってきた野菜栽培ノウハウを活用し、収益性に優れた営農手法の確立を目指します。具体的には、以下のような仕組みを構築します。

    レタスの生育状況、天候データと、これまでの経験的な知見から収穫可能時期や収量を予測

    販売先の要求量に対する余剰量を早期に予測することで、余剰分の販売先を事前に確保し、廃棄せず収入源に転換していく
    図1:共同実証実験イメージ

    図1:共同実証実験イメージ

     実証実験を行うエリアは、岡山県真庭市。実証期間は、2021年6月~2022年3月です。
     各組織の役割分担としては、以下のようになります。

    ・NTT西日本:クラウド基盤提供(分析環境)、収量予測モデル作成
    ・NTTビジネスソリューションズ:ビジネス性評価、ドローン自動化撮影
    ・愛媛大学:葉緑素推定アルゴリズムの提供、圃場葉緑素分布マップの作成
    ・青空:圃場葉緑素分布に基づく可変施肥実施、農作物品質および収量評価、収量予測ノウハウの提供

     今後の展開として、NTT西日本グループでは、共同実証実験で得られた知見を踏まえ、引き続き同実証の関係組織と連携しつつ、農業生産DXソリューションの事業化を進めます(2022年度)。また、ソリューション提供を通じて、地域農家の生産性・収益性を高め、地域経済の活性化に貢献していきます。
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