実践者インタビュー

    2021.08.13

    営業担当者主導で基幹システム刷新プロジェクト、社内巻き込み業務DXを推進

    商業空間の価値を高める事業を展開しているスペース。クライアントが手がけるビジネスの成功をサポートするため、施設や店舗の調査・企画・デザインから設計・施工までを手がけています。そんな同社が10年以上使い続けた基幹システムを刷新。プロジェクトを任されたのは情報システム部門の1人に加え、営業部門経験者4人、管理部門経験者1人の計6人 。プロジェクトをどう進め、課題をどう克服したのか。プロジェクト担当の初期メンバーである企画管理本部 情報デザイン部 部長 橋本兼一氏と広報部 部長 原田賢幸氏に聞きしました。

    トップダウンで営業とシステムの混合チーム誕生

     トップダウンで始まった基幹システム刷新プロジェクトのメンバーは、2018年にIT戦略推進プロジェクト室へ集められました。初期メンバーは、営業部門から1人、管理部門から1人、情報システム部門から1人の3人でのスタートでした。 選ばれた理由について橋本氏は、「営業担当として日々、基幹システムにアクセスし、情報を入力したり参照したりしていた。他部署より基幹システムを使いこなしていたからこそ、知見を活かせると上層部が指名したのではないか」と、自身がメンバーになった経緯を振り返ります。

     そもそも、刷新した基幹システムはどんな役割を担うのか。商空間のプロデュースを主事業とする同社の場合、全国で案件が動いています。ゼネコン業務と違い、比較的工期の短い内装や設備工事が主体です。さらに案件は工事と契約が複数に分かれ、複数の入金先が存在する場合もあります。これらの情報を案件ごとに一元管理し、案件情報や取引先情報を取り扱う管理システムになります。

     これまでの基幹システムはさまざまな問題を抱えていました。1つは、パッケージの機能が業務に合わない点。「旧システムは市販のパッケージをベースにしていた。標準的な機能を備える半面、当社の業務に馴染まない機能も少なくなかった。使いにくいといった声もあり、案件情報をきちんと入力しない従業員もいた。主事業のデータを収集、一元化し、システムにため込んだ情報を価値あるものとして活用できる仕組みが求められていた 」(橋本氏)といいます。
    写真 企画管理本部 情報デザイン部 部長 橋本兼一氏(...

    写真 企画管理本部 情報デザイン部 部長 橋本兼一氏(左)と、広報部 部長 原田賢幸氏

     さらに、人事や会計など部門が独自にシステムを導入していたため、基幹システムと連携するには手入力が一部で必要でした。無駄な項目が多く、基幹システムにデータを入力してもその情報が活かされないという問題も顕在化していました。管理部が確認・承認した申請書をシステムに手入力するといった重複作業も散見され、基幹システムを刷新することが喫緊の課題となっていました。

     これらの問題点の背景の一部には、旧基幹システムの内部統制強化を優先して設計したことが考えられます。 「旧基幹システムの導入は2009年。当時は内部統制の強化が世間的に叫ばれていた。そのための機能を拡充し、監査や押印などの手間がかかる機能も含まれていた。こうした点を見直す必要もあった」(橋本氏)といいます。

    ベンダーをリードしながら関係維持に尽力

     刷新プロジェクトは2018年1月にスタートしました。実際に旧基幹システムの問題点を聞いても、経費精算システムだけリニューアルすれば、APIあるいはCSVで手入力部分を取り込めたのではないか。なぜシステム自体を刷新する必要があったのかという素朴な疑問がわきます。この点について橋本氏は、「私自身、旧基幹システムを使用する上で何ら不満はなかった。しかし2018年に刷新プロジェクトをスタートさせた際、現行アセスメントとして大規模なアンケートを実施したところ、案件情報の入力について改善を求める社員が多いことが分かった」と経緯を振り返ります。
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