特別対談

    2021.08.12

    【特別対談:成井五久実×鈴木康弘】DXの鍵は“人が生み出すストーリー”と“企画力とシステムの掛け算”

    述べ1億PVを誇るメディアプラットフォームの運営やサイト構築CMS「clipkit(クリップキット) 」を提供するスマートメディア。同社はDXの次の一手として、ストーリーコマースを掲げています。今回は起業から1年後の2017年にメディア事業を売却し、売却先のベクトルグループ傘下のスマートメディアで代表取締役を務める成井五久実氏に話を聞きました。(聞き手:DXマガジン総編集長 鈴木康弘)

    得意分野の失敗を糧にメディア戦略によるDX支援を展開

    鈴木:DXを成功させるためには人が変わる必要がある。そこで最近、「成功=ヒト×DX 」という本を上梓したんです。成井さんの著書「ダメOLの私が起業して1年で3億円手に入れた方法」を拝読しましたが、昭和っぽくて若手に勧めたいと思いました。まず経歴を教えていただけますか?

    成井:私の父が起業家で、起業家にずっと興味がありました。そこで上京して東京女子大学に通うかたわら、東京大学の起業サークルに4期生として参加していました。その後、南場智子さんに憧れてDeNAに就職し、ビッターズやモバゲーの「怪盗ロワイヤル」とのタイアップ企画を営業していたんです。

     ただ損益計算書(PL)で試算せずに売上を伸ばすことに注力しすぎて大失敗もあったんですよね。とても大きな失敗でしたが、今振り返ると自分の糧になっていますね。

     自己実現を目指して、ずっと30歳までに事業を起こすと決めていたので、起業の心得として「人・モノ・金」の補完を学ぶ必要がありました。そこで、当時マザーズに上場したてのPR会社のトレンダーズに転職しました。この転職が、現職のベクトルグループとの縁にもつながっています。

     キュレーションメディアバブルが起きていたときに、デジタルのタイアップ広告やメディア広告のセールスを通じてお金の面で自信をつけたので、28歳で起業しました。当時は男性向けキュレーションメディアがなかったことから、JIONを立ち上げた次第です。
    写真:スマートメディア 代表取締役 成井五久実氏

    写真:スマートメディア 代表取締役 成井五久実氏

    鈴木:影響を受けたというお父様は、どのような事業をされていましたか?

    成井:父はバブルにのってゴルフ場経営や、観光施設などレジャー施設を手がけていました。母は心理カウンセラーとしてカウンセリングルームを軌道に乗せたので、大学で心理を学んで、母親の稼業を継ごうかなと考えていました。しかし、南場智子さんや東京大学の起業サークルでの出会いを通じて、気持ちが変わったんですね。世の中にないものを価値創造するのは面白い挑戦だと思い、起業家を目指すようになりました。

    鈴木:立ち上げたJIONを、1年後に売却する判断はどのようになさったんですか?

    成井:キュレーションメディアの信頼性が問われる騒動が起こった際、メディア運営そのものを考えるキッカケになりました。当時はDXのハシリで、「メディア×既存事業」を考える企業がたくさんいらしたんです。そこでメディア戦略を通じて、売上の最大化を目指す企業様を探しました。自己実現を目指す中で、M&Aも含めて可能な限りさまざまな経験をしておきたかったこともあります。

    鈴木:人生100年時代なので、マルチステージという発想で生きるのもアリですよね。35歳あたりまで一気に進んで、一段落したら子育てして勉強しながら次に進む、そのようなプランをお持ちだったんですか?
    写真:DXマガジン 総編集長 鈴木康弘

    写真:DXマガジン 総編集長 鈴木康弘

    成井:おっしゃる通りです。女性ならではのプランを念頭に置いて、時間を逆算しながら売却まで進みました。その後、売却先のベクトルグループがM&Aした5社を統合し設立したのがスマートメディアになります。そのためここ3年ほど異なる文化を統合してV字回復させて、ようやく経営が分かって落ち着いたという感じです。

    鈴木:10年やると社長業務がどういうものか、よく分かりますよ。ところで、今後はどのような展開を描いていらっしゃるんですか?

    成井:大変だった“第1章”がようやく終わったところです。会社が落ち着いて今後を考えると、DXにも通じるんですが、キュレーションメディアが細分化して今のメディアの最小単位は「人」になったんですよね。インフルエンサーの登場など細分化の流れの中で、メディアという軸を変えず柔軟に対応できる方法を提供しようと。そこで企業がメディアを通じたDXに取り組む際の支援ツールとして「clipkit(クリップキット)」を事業ドメインにしました。

    システムと人が創るストーリーを掛け合わせる時代に

    鈴木:1企業1メディアは正しい姿だと思います。そこにうまく軸となる人が集う形にしたいですね。
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