寄稿・連載

    2021.09.24

    【DXスタートアップ革命 第7回】治療効果の最大化や医療コスト削減に寄与する治療用アプリを開発 デジタル医療をリードするCureApp

    DXで事業を創出、もしくは事業を拡大した企業はどんな点に気を付け、成功へと突き進んだのか。第7回は、患者の病気治療や医師の診療を支援するアプリを開発するCureApp。業界の課題にどう切り込み、DXをどう進めていったのか。同社の取り組みを紹介します。なお、本連載は日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」の内容をもとに編集しております。

     医療従事者にとっての課題の1つは、診察していないときに患者を治療できないこと。その「治療空白」がある患者に対し、医学的なエビデンスに基づき、正しい認知の獲得や行動を促して治療効果を高められるようにするアプリを開発するのがCureAppです。アプリを使うことで、医師は診察時以外の患者の状態を把握し、短い診察時間でも質の高い診療が可能になります。「アプリなら医薬品の10分の1未満のコストで開発できる。医療費が増加し続ける社会課題に対し、医療コストの削減効果も見込める」(CureApp 代表取締役社長/医師 佐竹晃太氏)と言います。

     同社はニコチン依存症患者の治療を目的とした「CureApp SCニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」を開発。これは、患者用アプリと呼気中の一酸化炭素濃度を測定するIoTデバイスであるCOチェッカー、医師用アプリで構成するソリューションで、佐竹氏は「従来の治療法や医薬品・医療機器では治療しきれない病気を治すため、治療アプリ®︎を着想した」と開発の経緯を話します。特徴は、医学的エビデンスやガイドラインにて裏付けられた指示やガイダンスを行う点。「治療用アプリが他のアプリと異なるのは、医師から患者に『処方』されること」と佐竹氏は指摘します。こうした「デジタル療法」と呼ぶ治療法はまだ始まったばかりで、医療関係者の中でも知らない人は少なくないと言います。

     CureAppはニコチン依存症向け以外のアプリも開発もしています。既に高血圧治療アプリは治験を終え薬事申請中であり、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリ、アルコール依存症治療アプリ、抗がん剤を使用するがん患者支援治療アプリの開発研究も行っています。さらに、これら医療機関向け治療アプリ®︎の開発で蓄積した知見を活用し、民間法人向けモバイルヘルスプログラムとして「ascure卒煙プログラム」、「特定保健指導対応型ascure卒煙プログラム」を提供し、200を超える多くの自治体、企業、健康保険組合などに導入されています。また、医療向けと民間法人向けの両方の知見を活かして、健康保険組合、企業、自治体向けにCureApp SC®︎の処方が可能なオンラインの禁煙診療「ascureDr.卒煙TM」の提供も開始しています。

     同社は今後、グローバル化を進める計画です。「現在は国内市場中心だが、米国や中国をグローバル戦略のターゲットとして捉えている」(佐竹氏)と言います。デジタル療法の分野は米国を筆頭に、ドイツやフランス、イギリスなどでも治療用アプリの薬事承認や保険適用例が出始めています。そんな中、「禁煙領域は当社しか実用化に至ってない。高血圧やNASH、アルコール依存症についても当社が世界をリードしている」(佐竹氏)という強みを武器に、世界展開を加速させる考えです。
    Information
    企業/団体名 株式会社CureApp
    所在地 東京都中央区
    事業内容 医師の治療を支援する治療アプリ®の開発、健康支援プログラムの提供など
    取り組む課題 すべての人が安心していつでも良質な医療を享受できる社会を実現したい
    解決策 医師によって処方される治療アプリを開発し、治療効果の最大化や医療コスト削減を推進する
    本連載は、日本経済新聞出版刊行の「DXスタートアップ革命」の内容を一部編集したものです。
    日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」(守屋実監修)
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    筆者プロフィール
    守屋実
    1992年、ミスミ入社、新規事業開発に従事。2002年、新規事業の専門会社エムアウトをミスミ創業者の田口弘氏と創業、複数事業の立ち上げと売却を実施。2010年、株式会社守屋実事務所を設立。新規事業創出の専門家として活動。ラクスル、ケアプロの立ち上げに参画、副社長を歴任後、ジーンクエスト(ユーグレナグループ)、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会、サウンドファン、ブティックス、SEEDATA(博報堂グループ)、AuB、みらい創造機構、ミーミル(Uzabase グループ)、JCC、テックフィード、キャディ、セルムなど数々の企業の役員、理事などを歴任。JR東日本スタートアップのアドバイザー、JAXA上席プロデューサー、博報堂フェロー、内閣府の有識者委員などを務める。2018年にブティックス、ラクスルを2カ月連続で上場に導く。著書に『新しい一歩を踏み出そう! 』(ダイヤモンド社)。近著は『起業は意志が10 割』(講談社)。
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