寄稿・連載

    2021.09.16

    【DXスタートアップ革命 第6回】部品調達領域の非効率をテクノロジ で解消、日本のモノづくり産業活性化を後押し

    DXで事業を創出、もしくは事業を拡大した企業はどんな点に気を付け、成功へと突き進んだのか。第6回は、製造業の受発注プラットフォームを開発・提供するキャディ。業界の課題にどう切り込み、DXをどう進めていったのか。同社の取り組みを紹介します。なお、本連載は日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」の内容をもとに編集しております。

     モノづくり産業のポテンシャルを解放する――。こんなミッションのもと、製造業の構造上のしがらみを取り除くことで企業が本来持つ力を最大化引き出す取り組みを進めるのがキャディです。同社は、機械・装置類の板金や切削などの加工品の受発注プラットフォーム「CADDi」を提供します。多品種・小ロットから中量産まで可能で、仕上げ塗装・メッキなどの表面処理から後工程の組み立てまでを一括して請け負います。

     キャディ 代表取締役の加藤勇志郎氏は、「零細企業や町工場には多重下請けピラミッド構造というしがらみがある。1社の取引先に依存していると、その取引先に何かが起こればサプライチェーンが分断してしまう。複数の取引先があったとしても、業界が打撃を被れば運命共同体として倒産に追い込まれかねない。そこで、下請け構造から強みをベースに業界を横断してフラットに繋がる構造へと変革したかった」と、サービス提供の経緯を話します。

     「CADDi」を使った発注方法はシンプルです。依頼主から3D CADや2Dの図面データを送ってもらい、CADDiの自動見積もりシステムで価格と納期を提示。その内容に合意すると正式に発注となり、CADDiが最適なサプライチェーンを構築し、同社が品質保証までした上で納品までの責任を負う仕組みとなっています。複数のサプライヤーの管理工数を削減し、調達から組み立てまで丸投げでき、多くの企業でコスト削減ができるといったメリットがあります。大手企業も含めて産業機械やプラントメーカーなどがCADDiを利用しており、直近の受注高は昨対比約6倍に成長しています。

     同社が独自開発した原価計算アルゴリズムに基づく自動見積もりシステムは強みの1つです。加工会社ごとに細分化された強みをデータ化し、品質や価格、納期の条件を満たすことのできる最適な加工会社を自動選定することが可能です。

     なお、製品は依頼主に直接届けず、東西にある同社の品質管理センターに一度送られます。同社が製造責任を負い、検品作業を実施します。こうした体制が高品質かつ低コストな製品の安定供給に寄与します。

     同社は今後、グローバル展開や図面活用SaaSの提供も視野に入れます。他にも技術革新の支援や銀行と共同でファクタリングなどを通じ資金援助に関わるといいます。「まだやりたいことの2%も達成できてない」(加藤氏)と、さらなる事業拡大を見据えます。
    Information
    企業/団体名 キャディ株式会社
    所在地 東京都台東区
    事業内容 機械・装置類の特注加工品一式の受託生産
    取り組む課題 製造業の部品調達領域の非効率で、固有のしがらみを取り除きたい
    解決策 加工品の受発注プラットフォームを提供し、発注者の見積もりにかかる手間、調達コストを削減できるようにする。加工工場は自社の強みに特化できる
    本連載は、日本経済新聞出版刊行の「DXスタートアップ革命」の内容を一部編集したものです。
    日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」(守屋実監修)
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    筆者プロフィール
    守屋実
    1992年、ミスミ入社、新規事業開発に従事。2002年、新規事業の専門会社エムアウトをミスミ創業者の田口弘氏と創業、複数事業の立ち上げと売却を実施。2010年、株式会社守屋実事務所を設立。新規事業創出の専門家として活動。ラクスル、ケアプロの立ち上げに参画、副社長を歴任後、ジーンクエスト(ユーグレナグループ)、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会、サウンドファン、ブティックス、SEEDATA(博報堂グループ)、AuB、みらい創造機構、ミーミル(Uzabase グループ)、JCC、テックフィード、キャディ、セルムなど数々の企業の役員、理事などを歴任。JR東日本スタートアップのアドバイザー、JAXA上席プロデューサー、博報堂フェロー、内閣府の有識者委員などを務める。2018年にブティックス、ラクスルを2カ月連続で上場に導く。著書に『新しい一歩を踏み出そう! 』(ダイヤモンド社)。近著は『起業は意志が10 割』(講談社)。
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