寄稿・連載

    2021.10.20

    【DXスタートアップ革命 第10回】専門家の知見を流通させるプラットフォーム、意思決定を支援する企業インフラを目指す

    DXで事業を創出、もしくは事業を拡大した企業はどんな点に気を付け、成功へと突き進んだのか。第10回は、業界・分野に精通する専門家のネットワークを構築するミーミル。業界の課題にどう切り込み、DXをどう進めていったのか。同社の取り組みを紹介します。なお、本連載は日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」の内容をもとに編集しております。

     知見を持つ個人と知見を求める企業をマッチング。こうした専門家の知見を活用しやすくするプラットフォームを開発するのがミーミルです。

      「さまざまな業界・分野で専門的な知見を持つ個人(エキスパート)が1万人強いるデータベースを保有するのが当社の強みだ。連携する海外ネットワークを含めれば20万人規模に及ぶ。業界の知識習得や専門家のアドバイスを求めるクライアントに対し、最適なエキスパートを抽出して知見を提供するのがプラットフォームの役割である」と、ミーミル 代表取締役社長の川口荘史氏は、開発の狙いを話します。

      「知見」の提供形態にも特徴を打ち出します。プラットフォームを介してエキスパートに知見を得る場合、インタビューで話を聞いて知見を得るといった方法はもちろん、質問に対して24時間以内に5人のエキスパートからテキストで回答してもらえるメニューも用意します。30人や40人といった大勢のエキスパートから集めた意見を受け取ったり、勉強会や講演会に登壇してもらったりなど、企業のニーズに応じてさまざまな「知見」を提供できるようにしています。「質問を投げかければ短時間で回答が寄せられる。クライアント企業は専門家を探す手間を省けるほか、情報収集にリソースを割かなくてもよい。その分、アイデアを考えるなどのアウトプットに時間を割けるようになる」(川口氏)と、プラットフォーム利用のメリットを強調します。

     なお、専門家の顔ぶれは「8割が管理職。経営や事業計画の経験者に限らず、多様な実務家が登録している。最近は自動運転技術やヘルステックなどの先端領域の登録者が増えている」(川口氏)といいます。専門家の登録には審査を設けるものの、有名人である必要もないそうです。「お金稼ぎが目的ではなく、世の中をよくしたいと考える専門家が情報提供するスタンスだ。損得なしに良質な知見を提供する姿勢こそ、プラットフォームの価値を引き上げる」(川口氏)といいます。さらに、「事業開発や投資、M&Aなどのすべての意思決定で、専門的な情報を効率よく得られることを世の中の当たり前にしたい」(川口氏)と、多くの一般企業が活用することに期待します。

     川口氏は今後、プラットフォームのグローバル化を視野に入れます。「グローバルでエキスパートの情報を提供する、企業のインフラへとプラットフォームを昇華させたい」と目を輝かせます。
    Information
    企業/団体名 株式会社ミーミル
    所在地 東京都千代田区
    事業内容 エキスパートデータベース「NewsPicks Expert」の開発・運営、法人向けサービス「SPEEDA EXPERT RESEARCH」の開発・販売
    取り組む課題 専門家の知見を容易に活用したい
    解決策 専門家が登録するデータベースを使った、専門家マッチングプラットフォームを提供する
    本連載は、日本経済新聞出版刊行の「DXスタートアップ革命」の内容を一部編集したものです。
    日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」(守屋実監修)
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    筆者プロフィール
    守屋実
    1992年、ミスミ入社、新規事業開発に従事。2002年、新規事業の専門会社エムアウトをミスミ創業者の田口弘氏と創業、複数事業の立ち上げと売却を実施。2010年、株式会社守屋実事務所を設立。新規事業創出の専門家として活動。ラクスル、ケアプロの立ち上げに参画、副社長を歴任後、ジーンクエスト(ユーグレナグループ)、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会、サウンドファン、ブティックス、SEEDATA(博報堂グループ)、AuB、みらい創造機構、ミーミル(Uzabase グループ)、JCC、テックフィード、キャディ、セルムなど数々の企業の役員、理事などを歴任。JR東日本スタートアップのアドバイザー、JAXA上席プロデューサー、博報堂フェロー、内閣府の有識者委員などを務める。2018年にブティックス、ラクスルを2カ月連続で上場に導く。著書に『新しい一歩を踏み出そう! 』(ダイヤモンド社)。近著は『起業は意志が10 割』(講談社)。
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