寄稿・連載

    2021.11.12

    【DXスタートアップ革命 第11回】“逆転の発想”が共創を加速化、自治体の社会課題解決を支援

    DXで事業を創出、もしくは事業を拡大した企業はどんな点に気を付け、成功へと突き進んだのか。第11回は、社会課題を解決したい自治体と企業の共創を支援するPublic dots & Companyとスカラ。業界の課題にどう切り込み、DXをどう進めていったのか。両社の取り組みを紹介します。なお、本連載は日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」の内容をもとに編集しております。

     従来の公募プロポーザルは、自治体の募集に企業が応募する仕組みだが、企業が関心のあるテーマを設定し、自治体に対してアイデアを募る――。この“逆転の発想”を基点としたサービスを展開するのがPublic dots & Companyとスカラです。両社は2021年4月、官民共創サービス「逆プロポ」のWebサイトを開始し、企業が提示したテーマに対し、全国に約1700ある自治体から新規事業のアイデアを募る仕組みを構築しました。共創に関心の高い自治体と企業の出会いの場を設けることで、新規事業や共創の加速化を促します。

     そもそも従来の場合、企業はどの自治体がいつどんな社会課題を提示してくるのか分かりません。自社の強みを活かせる公募が自治体から出てくるのを待つしかありません。さらに、合致する公募が見つかっても、提案時には大量の資料が必要。採用時に提出した成果物は自治体のものとなるため、他の自治体へ横展開するのも難しいなども問題もありました。

     これに対し、逆プロポでは、企業が自治体からアイデアを募る体制を取ります。応募があった自治体の中からアイデアを選定し、実現のために必要な初期費用を企業が寄付し、その後は自治体と企業が一緒にサービス開発を進めます。応募に必要な書類はA4用紙1枚で済むほか、開発したサービスを他の自治体に横展開も可能です。企業にとっては社会課題に精通する自治体と新規事業を模索でき、自治体にとっては企業のリソースを活用して社会課題の解決に乗り出せるのがメリットです。

     なお、逆プロポ上で動く案件の大半がDXに関するものだといいます。その意味で逆プロポは、DXを推進・輩出するためのプラットフォームとも言えます。「DXを推進したいと考える企業は、取り組みの精度をどう高かめていくのかに悩んでいる。社会課題に直面する自治体と共創することで、その答えを見つけられるはず」と、スカラ アライアンス事業部 事業部長の伊佐治幸泰氏は指摘します。

     今後はWebサイトに蓄積するデータから“社会課題解決データベース”を構築し、解決スピード向上を目指します。「今まで経験値だと思っていたことの8割はナレッジとして蓄積できる。スカラの強みはデジタル。AIエンジンを使うことで、社会課題に関する大半の相談に答えられるようにする」と、Public dots & Company 代表取締役 CEOの伊藤大貴氏は意気込みます。

    ※「逆プロポ」関連事業は、「DXスタートアップ革命」本誌取材時はPublic dots & Companyとスカラの共同事業でしたが、本メディア公開時点では「SOCIALX」の事業となります。
    Information
    企業/団体名 株式会社Public dots & Company
    所在地 東京都渋谷区
    事業内容 コンサルティング事業、教育・スコアリング事業、共創事業
    取り組む課題 行政や企業だけで変革、解決するのが難しい社会課題を、官民の共創で解決できるようにしたい
    解決策 官民共創を加速するWebサイトを構築し、自治体の社会課題解決を図る
    Information
    企業/団体名 株式会社スカラ
    所在地 東京都渋谷区
    事業内容 IT / AI / IoT 事業、投資・インキュベーション事業、HR・教育事業、コンサルティング事業、ECプラットフォーム事業、グローバル事業
    取り組む課題 顧客企業やパートナーとともに、社会問題の解決につながるビジネスを共創したい
    解決策 IT/AI/IoTを中心とする事業領域のポートフォリオを通じて、自治体と企業をつなぐWebサイトを構築し、価値創造と社会問題解決を図る
    本連載は、日本経済新聞出版刊行の「DXスタートアップ革命」の内容を一部編集したものです。
    日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」(守屋実監修)
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    筆者プロフィール
    守屋実
    1992年、ミスミ入社、新規事業開発に従事。2002年、新規事業の専門会社エムアウトをミスミ創業者の田口弘氏と創業、複数事業の立ち上げと売却を実施。2010年、株式会社守屋実事務所を設立。新規事業創出の専門家として活動。ラクスル、ケアプロの立ち上げに参画、副社長を歴任後、ジーンクエスト(ユーグレナグループ)、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会、サウンドファン、ブティックス、SEEDATA(博報堂グループ)、AuB、みらい創造機構、ミーミル(Uzabase グループ)、JCC、テックフィード、キャディ、セルムなど数々の企業の役員、理事などを歴任。JR東日本スタートアップのアドバイザー、JAXA上席プロデューサー、博報堂フェロー、内閣府の有識者委員などを務める。2018年にブティックス、ラクスルを2カ月連続で上場に導く。著書に『新しい一歩を踏み出そう! 』(ダイヤモンド社)。近著は『起業は意志が10 割』(講談社)。
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