市場動向

    2021.07.27

    東大の研究室、Web基盤のデジタルツインプラットフォームをOSSとして公開

    東京大学大学院情報学環 渡邉英徳研究室は2021年7月26日、WebGIS(Geographic Information System:地理情報システム)基盤の「Re:Earth(リアース)」を公開したことを発表しました。「Re:Earth」は、同研究室が汎用的WebGISプラットフォームとして、各種データシステムの開発や運用を手掛けるユーカリヤと共同で開発したものです。オープンソース・ソフトウェア(OSS)として公開し、各分野で自由に活用できるようにします。

     Re:Earthは、現実の物理空間の情報を、バーチャル空間にそのまま環境再現する「デジタルツイン」の基盤となるWebGISプラットフォームです。今回、そのデジタルツインの基盤となるソースコードが公開されました。各分野で自由に活用できるようにするため、以下のような目的が掲げられています。

    ・複雑・大規模化する地理空間(フィジカル空間)データの手軽な活用環境の提供
    ・地理空間データの管理・分析・可視化のための汎用WebGISの実現
    ・多様な分野に向けたプラグイン開発による機能拡張

     Re:Earthは、最新のWeb技術を用いて開発されました。これまでWebブラウザでは実現が困難とされていた本格的なGIS環境を、インストール不要でどこからでも手軽に利用することが可能となっています。今回のOSS化により、本体・プラグインの開発者を含む各国のエンジニアと、世界的なOSSコミュニティを形成する計画が進められています。

     同研究室ではこれまで「Google Earth」や「Cesium」などのデジタルアースを用いて、以下のようなさまざまな分野のデータをバーチャル空間に分析・可視化する研究を行ってきました。

    ・平和活動
    ・企業間取引
    ・震災
    ・文化財

     そして今回、これまでの研究で得た知見を多くの人たちに提供するWebプラットフォーム化を目指し、ユーカリヤと共同で「Re:Earth」を開発しました。

     Re:Earthの特徴として、以下の3点が挙げられています。

    1. 実用性:ノンコードによる情報のマッピング
     ・専門技術なしでも扱うことができ、独自のWebアプリケーションの公開が可能
     ・情報の作成や更新・公開設定などをエンジニアへ依頼したり、難しいプログラミングを行ったりする必要がない
     ・物語性のある「ストーリーテリング」タイプのビジュアライゼーションも、コーディングなしに実現可能
    図1:「Re:Earth」の特徴:ノンコードによる情報...

    図1:「Re:Earth」の特徴:ノンコードによる情報のマッピング

    2. 独自性・新規性:各分野に対応できるプラグインシステム
     ・最先端のWeb技術を用いたプラグインシステムの実装により、各種の分析や可視化がプラグインで柔軟に対応可能
     ・プラグインシステムにより、クライアントがノンエンジニアであっても、管理・運用可能なシステムを実現できる

     プラグインの例としては、以下の項目が挙げられています。
     ・フロントエンドプラグイン(ベータ版):「デジタルアース上のオブジェクト」「画面上のウィジェット」「インフォボックス内のブロック」を拡張
     ・バックエンドプラグイン(開発中):「インポート・エクスポート可能なデータフォーマット」「演算処理」等を拡張

    3. 実用性・新規性:柔軟なウィジェット配置システム
     ・デジタルアースをベースとして、さらに統計グラフや時系列などの表現を、ウィジェット配置システムによって実現可能
     ・ドラッグ&ドロップ操作で、ウィジェットを直感的に配置可能
     ・スマートフォンでの表示にも対応
    図2:「Re:Earth」の特徴:柔軟なウィジェット配...

    図2:「Re:Earth」の特徴:柔軟なウィジェット配置システム

     Re:Earthは、以下のような最新のWeb技術を用いて開発されました。

    ・ フロントエンド:React(UI開発用JavaScript ライブラリ)・TypeScript(Microsoft開発のOSSプログラミング言語)・Cesium(3D地図表示が可能なOSS JavaScriptライブラリ)・Resium(React上でCesiumコンポーネントを扱えるライブラリ)
    ・ バックエンド:Go(Google開発のOSSプログラミング言語)
    ・ API:GraphQL(API開発用のクエリ言語)
    ・ クラウド:Docker(コンテナ仮想化によるアプリケーション開発プラットフォーム)・Google Cloud Storage(オンラインストレージ)
    ・ DBMS:MongoDB(データベース管理システム)
    ・ 認証:Auth0(IDaaS)
    ・ フロントエンドのプラグイン実行環境:WebAssembly + QuickJS
    図3:「Re:Earth」の開発環境

    図3:「Re:Earth」の開発環境

     クラウドネイティブアプリケーションとして開発されたため、クラウドやサーバーレス環境で動作します。また、高品質・高速なアプリケーションをローコストで開発してすばやく提供することが可能です。

     同研究室では今後、AWS(Amazon Web Services)をはじめ、対応する外部サービスを拡張していく予定です。それにより、さまざまな環境でのアプリケーションの展開が可能になります。
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