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総編集長コラム

社内のどこにも優秀な人材がいない? 経営者が今後欲しがる“優秀な人材”とは

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DX時代を迎えた今、企業が捉える「優秀な人材」の定義が変わりつつあります。これまで求められていた素養や経験、スキルとはまったく異なるポイントが優秀さを表す指標に置き換わっています。企業は今後、どんな人材を求めるようになるのか。さらに、求められる人物像の1つ「マルチスキル人材」の育成方法も含めて考察します。なお、本連載はプレジデント社「成功=ヒト×DX」の内容をもとに編集しております。【DXマガジン総編集長コラム】

優秀な人材がいない?

 DXが進むことで企業や社会はどう変わるのでしょうか。これまで、DXがもたらす未来の姿として、「ハイブリッド・ワーキングの開始」と「デジタル生産性の向上」といった2つの変化を取り上げてきました。 参考:ハイブリッド・ワーキングとデジタル生産性に関する記事はこちら
コミュニケーションのデジタル化が生産性向上に大きく寄与、魅力的な職場づくりも不可欠に
デジタルとアナログの適正なバランスが「ハイブリッド・ワーキング」の可能性を広げる  今回は、DX時代に求められる人物像を考えます。  企業の経営者と話をしていると、「社員から良いアイデアが出てこない」「こちらが指示するまで動かない」「革新的な人材を採用したい」などの声をよく聞きます。特に大手や老舗と呼ばれる企業の経営者に多いと感じます。  しかし、こうした企業に優秀な人材は本当にいないのでしょうか。新卒で優秀な人材を多数採用してるはずです。にもかかわらず、なぜ「社内に人材がいない」と嘆くのでしょうか。  企業で良い人材が育たなくなっていることが理由の1つと考えられます。時代の変化とともに、企業に求められる人材も変化します。つまり、これまでと「優秀」の定義が変わりつつあるのです。  これまで企業は、自社への帰属意識の高い社員を大量に育成してきました。社員も意識して周囲の空気を読み取り、同質化していったのです。当時は、こうした人を「優秀」であると考えてきました。  しかし、インターネットの普及に伴って情報量が増えた結果、「情報を集める」ことより「情報を活用する」ことに主眼が置かれるようになりました。この変化が、企業に求められる「優秀な人材」の定義を変えることになります。つまり、上司からの指示を確実に遂行する「同質化人材」ではなく、新たなアイデアを生み出す「能動的人材」が求められるようになっていったのです。  これからは、周囲から「変わっている」「協調性がない」などと思われる人材にスポットライトが当たるようになるでしょう。お互いの意見をぶつけ合い、新しいアイデアを生み出すことが、企業にとって「価値ある人材」だとみなされるようになります。  社員は「異質な人材」を目指すべきです。もっとも、「変わり者」や「協調性のない人」という意味ではありません。周囲に忖度しなかったり、自分の軸(主義・主張)を持っていたりという意味です。「自分の軸を持った自立した人」とも言えます。こうした人材が、これまでの常識を打ち破り、自社をDXによって新たなステージへ導いてくれるのです。

優秀なのは「マルチスキル」を持つ人材

 多くの経験とスキルを持つ「マルチスキル人材」も、より求められるようになるでしょう。  これまでのスキルといえば、1つの職種を極める「シングルスキル」が一般的でした。しかし現在、デジタルによってさまざまな縦割りの壁が壊れています。そのため全社視点や業界視点での改革が起きつつあります。こうした状況にマルチスキル人材が向くのです。これまでのさまざまな経験やスキルにより、相手の立場を理解できるようになるのです。こうした相手への姿勢や歩み寄りが、さまざまな壁を超えた改革を進めやすくするのです。  もっとも、シングルスキルを否定するわけではありません。唯一無二のレベルにまでスキルを高めれば、十分すぎるスキルを習得していると言えます。しかし多くの人のように、一般的なレベルのスキルを1つだけ持っているだけでは生き残れないでしょう。  海外に目を向けると、弁護士資格を持つ医師など、複数の資格を持っている人は決して珍しくありません。例えば、プログラミング経験のある営業担当者なら、顧客に対して深い提案をできるようになるでしょう。小売業界を経験したエンジニアなら、小売業の業務や課題を踏まえたシステムを提案できるでしょう。複数のスキルを意識的に習得することで、より広い分野で活躍できるようになるのです。  筆者も20代はSEとして「システムをつくる」スキルを習得してきました。30代は営業や事業企画に携わり、ベンチャーを起業する経験を積みました。「会社をつくる」ためのスキルを習得してきました。40代は大きな組織の中で、「事業をつくる」経験を積みました。周囲を説得したり、多くの人を動かしたりするスキルを習得してきました。  そして50代の今、自己資本で起業した会社で「人をつくる」ことを事業の柱として取り組んでいます。そのための経験とスキルを日々、積み重ねています。  マルチスキル人材になるには、今いる環境の中で自分のスキルを常に見直すことが大切です。その上で、足りないところを補う努力も必要です。

企業がマルチスキル人材を育てるには

 マルチスキルを持つ人材を育成するには、「環境」の変革が必要です。「環境」こそが人を育てるのです。「常に新たな気持ちで、自分の本心に従って行動し、自分の軸(主義・主張)をつくりあげていく」ことを心掛けるのが大切です。  企業は、従業員が複数の仕事に取り組める環境を積極的につくり出すことを意識すべきです。例えば、中途採用を積極的に実施し、組織に新しい風を吹かせる環境づくりが有効でしょう。異業種や企業規模の異なる会社と環境づくりを進めると、「環境」の変革を起こしやすくなるでしょう。  「責任を明確にし、各々が自由に判断し、行動できる環境を提供する」を実現できれば、人材は自然と育ちます。「自分の軸」を持った人材、複数の仕事を通じてマルチなスキルを持つ人材を育成することは今後、個人でも企業でも必要不可欠なテーマとなっていくことでしょう。
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本連載は、プレジデント社刊行の「成功=ヒト×DX」の内容をもとに、筆者が一部編集したものです。
プレジデント社「成功=ヒト×DX」
筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任。
前回までの記事はこちら
#1 他人任せの意識がDXを停滞させる
#2 「デジタル格差」が迷走に拍車をかける
#3 社内の人材育成が、DXを成功に導く
#4 「経営者の決意」が変革の第一歩
#5 DX推進に消極的な経営者を説得せよ、経営者タイプに応じた効果的な説得方法とは?
#6 リスクは回避せずに受け入れろ! 弱腰な経営者のもとでDX成功はあり得ない
#7 DXの成否を決める「推進体制」、構築に必要な3つのポイント
#8 優秀なメンバーを集めるだけでは不十分、DXを進める体制構築で最も大切な6つの極意
#9 DXプロジェクト始動時の注意点、抵抗勢力との衝突を想定した対策を
#10 業務改革の課題解決に役立つ3つの視点、迷走しない進め方とは
#11 業務の流れと課題を丸裸にする業務フロー図の描き方
#12 業務の課題を原因や優先度で分類、3つの方法で課題解決を模索せよ
#13 ITは自社でコントロールし、クラウドを前提とした柔軟なシステム像を描け
#14 システム全容を見える化し、機能・技術・費用・組織の4視点で課題を追求せよ
#15 ITシステム導入を成功へ導くならクラウドファーストとノンカスタマイズが鉄則

#16 DXによる変革は「定着」がカギ、継続的な意識改革で6割の社員を味方につけよ
#17 変革を社内に根付かせるなら、抵抗勢力と真正面から向き合え
#18 DXの成功にもっとも必要なのは「人」、社員の自立とマルチスキルを支援してデジタル変革者を育成せよ
#19 DXがもたらす4つの変化、新たな社会常識を踏まえて変化に備えよ
#20 デジタルとアナログの適正なバランスが「ハイブリッド・ワーキング」の可能性を広げる
#21 コミュニケーションのデジタル化が生産性向上に大きく寄与、魅力的な職場づくりも不可欠に

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