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コラム

DXプロジェクト始動時の注意点、抵抗勢力との衝突を想定した対策を

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プロジェクトはスムーズに進めるべき――。DXを進めるデジタル推進プロジェクトも例外ではありません。プロジェクトを円滑に進めるには、起こり得るトラブルを事前に想定し、対処法を準備しておくことが不可欠です。ではデジタル推進プロジェクトで起こり得るトラブルとは。ここではプロジェクト始動前に考えておくこと、想定されるトラブルと対処法を整理します。なお、本連載はプレジデント社「成功=ヒト×DX」の内容をもとに編集しております。

デジタル推進プロジェクトの始動

 前回前々回とDX推進プロジェクトを構築する上で必要な点に触れてきました。では始動させるにあたり、何に注意すべきか。まずは何より、DXを進める目的と目標を明確することが大切です。 ・参考:前回の記事「優秀なメンバーを集めるだけでは不十分、DXを進める体制構築で最も大切な6つの極意」
・参考:前々回の記事「DXの成否を決める「推進体制」、構築に必要な3つのポイント」
 目的とは、プロジェクトが目指すべき姿で、言葉や絵で表せるものです。例えば、「顧客はリアルでもネットでも顧客の都合で購買できるようにする」「社内を完全ペーパーレス化し、連絡目的の会議を撤廃する」といった具合です。誰でもイメージしやすい言葉で表現することが大切です。  目標とは、目指すべき具体的な指標で、数値で表せるものです。例えば、「2年後には売上130%、売上構成のうち20%はネットでの売上を達成する」「1年後には販管費30%削減」などです。明確な数値を定めることが大切です。  目的と目標の両方を設定することが欠かせません。目標の数値だけを設定すると、プロジェクトは息苦しいものになります。目的だけを設定すると、プロジェクトが空想で終わりかねません。目的、目標ともプロジェクト内で徹底的に議論して設定することが大切です。本音で意見をぶつけ合い、未来を語り、現状を悩み、目指すべき会社の姿を描くべきです。

プロジェクト最大の役割は変革

 プロジェクトの最大の役割は「変革」です。そのためプロジェクトメンバーは、変革の考え方である「変革のプロセス」を理解しておくべきです。ドイツの社会心理学者クルト・レヴィンによると、変革のプロセスには3つのステップがあります。
解凍(揺さぶりをかけ過去を忘れさせる)

変革(向かうべき方向や考えを共有・実行する)

再凍結(共有された方向に向かい進み続ける)  最初のステップは「解凍」です。既存の価値観や伝統、方法論などの組織文化を破壊し、新たな組織文化をつくる準備をするフェーズです。現状維持を願う抑止力や抵抗が強く働くため、これらの対処に気を付けることが大切です。  次のステップは「変革」です。「解凍」のステップで変革の必要性が社内で共有されると、新たな行動や考え方の導入、改革プランの実行などが率先垂範で実行されていきます。大事なのは、変革のモチベーションが全社的に高いうちに「変革」ステップを進めることです。モチベーションが下がるとせっかくの変革のチャンスを逃しかねません。  最後のステップは「再凍結」です。ここで言う再凍結とは、全員が変革に向かって進み出したことを習慣化させることをいいます。従業員の変革意識を定着させるとともに、継続的な改善サイクルの確立も図ります。  プロジェクトではこのサイクルを何度も回し続けます。これにより企業は変革します。
next〈 2 / 2 〉:抵抗勢力と折り合いをつける2つの方法

全社を巻き込む配慮を怠らない

 プロジェクトメンバーは、プロジェクトが全社員を代表して進めていることを忘れてはなりません。大切なのは、周りを巻き込む配慮です。プロジェクトで何をしているのか分からないという状況は好ましくありません。活動状況をガラス張りにし、周囲に対してプロジェクトの取り組みを能動的に発信することが必要です。  筆者がリーダーとしてDXを推進していたときは、変革後の自社の姿を映像化し、グループ社員も含めて映像を見てもらうようにしました。打ち合わせ時の議事録を誰でもアクセスできるようにするなど、オープンなプロジェクト運営を心掛けました。  さらに周囲の社員だけでなく、取引先企業も積極的に巻き込みました。これによりプロジェクトはより大きく、より強固になります。実行するのは大変ですが、その分、成功したときの喜びは大きいものです。一緒に喜べる人が増える、楽しみも増えると考えるようにしましょう。

抵抗勢力と折り合いをつける2つの方法

 DXを進める過程で問題となりがちなのが、抵抗勢力をどう対処するかです。筆者は主に2つの方法で抵抗勢力と折り合いをつけてきました。

1:徹底したコミュニケーション

 筆者の場合、決定権を持つ人が集まる場で現状などを報告し、その場で承認を得る方法を取ってきました。人は決定の場に自分が参加していれば満足し、反対意見を言わなくなります。抵抗勢力の中で一番影響がある人と、個別に毎日話をするのも効果的です。定期的に相談して意見を求め、その意見を取り込むことができれば、一転して応援者になってくれます。

2:プロジェクト責任者である経営者から話をしてもらう

 経営者から抵抗勢力に話をつけるという方法は、いわば最終手段です。早い段階で用いると、かえって恨みを買います。「ここぞ」というタイミングで使うのが望ましいでしょう。  抵抗勢力は必ず生まれ、プロジェクトの前に立ち塞がります。こうした事態をあらかじめ想定し、対処方法を準備しておくのが得策です。これによりプロジェクトをスムーズに進められるようになります。
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本連載は、プレジデント社刊行の「成功=ヒト×DX」の内容をもとに、筆者が一部編集したものです。
プレジデント社「成功=ヒト×DX」
筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任。

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