周囲から慕われ、人を寄せ付けるにはどんな態度、姿勢であるべきか。大切なのは「謙遜」ではなく「謙虚」な姿勢です。具体的にどう示せばよいのか。2つの言葉の意味と、謙虚な人の思考について考えます。【週刊SUZUKI #19】
ではどんな態度、姿勢が望ましいか。どれだけ成功して成長しようとも、一貫すべきは「謙遜ではなく謙虚であれ」です。
「謙遜」と「謙虚」。似ている言葉ですが意味は異なります。「謙遜」は自信のない人が示しがちです。自分を守ろうとする人も示しがちです。「私にはまだまだ…」「私なんて…」などの姿勢を美徳と捉える日本文化は根強いものの、決して望ましい姿ではありません。むしろ止めるべきです。
一方の「謙虚」は一般的に、自信のある人が示す姿勢です。成長意欲のある人も備えます。これまでの経験から来る自信を覗かせる半面、知りたい、学びたいといった貪欲さを持ち合わせています。自分をさらけ出し、周囲から教わろうとする姿勢で溢れています。
もし「自分は謙遜しがち」と認めている人は、意識すれば「謙虚」な姿勢に変われます。謙遜か謙虚か分からない人は、周囲の反応を探るべきです。声をあまりかけてもらえない、相談してもらえないなどと感じていれば、謙遜によって自己防衛しているかもしれません。自分の領域に入るなと、暗にアピールしているのかもしれません。
常に謙虚で、「知りたい」という姿勢を全面に出すべきです。こうした姿勢が周囲との溝を埋め、人を寄せ付ける魅力となるのです。
私自身、常に謙虚でありたいと思い続けています。当社では今度、「eスポーツ」に関するセミナーを開催します。熱狂的なファンが支持するeスポーツですが、私はまったくの無知です。しかし、どんなことも否定から入るべきではありません。自分にとってプラスになるはずと謙虚な姿勢を見失わないよう意識すべきと考えます。
なぜeスポーツは多くの人を魅了するのか。国際大会がイベントとして成功しつつあるのか。次期オリンピックの正式種目になるだろうと言われているのか。今度のセミナーでは、こうした「知りたい」という姿勢を包み隠さず、eスポーツに精通するゲストにぶつけるつもりです。eスポーツに詳しい人にとっては素人同然の質問をするかもしれません。しかし、「知りたい」「学びたい」という姿勢を隠さず示すことが、ゲストの「教えよう」という気持ちを引き出すきっかけになるはずです。
未知の業界や分野であってもつながりを持つきっかけとなるのが謙虚さです。その業界に精通しているか、共通言語で会話できるかどうかは問題ではありません。「知りたい」「学びたい」という謙虚さを持ち続けられるか。この姿勢が人同士をつなげ、業界や企業、組織や世代といったさまざまな壁を壊す際の礎となるのです。
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任