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コラム

業務改革の課題解決に役立つ3つの視点、迷走しない進め方とは

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DXに取り組むなら、まずは既存の業務にメスを入れるべきです。業務改革を断行し、無駄のない効率的な業務体制構築を目指します。ここでは業務改革を進めるときの手順とポイントを解説します。なお、本連載はプレジデント社「成功=ヒト×DX」の内容をもとに編集しております。

業務改善ではなく業務改革を目指す

 DXを推進する体制を整えたら、いよいよDXに踏み出します。まず初めに手を付けるべきは、「未来を想像し、業務を改革する」ことです。 参考:DX推進体制を構築するポイントはこちら
「優秀なメンバーを集めるだけでは不十分、DXを進める体制構築で最も大切な6つの極意」
「DXの成否を決める「推進体制」、構築に必要な3つのポイント」  筆者のもとには、DXに取り組むものの、期待した成果がなかなかでないと相談に来る人がいます。こうした相談者の多くが、DXをシステム導入と勘違いしています。特に現状の業務を変えずにシステム化していることが、成果を出せない要因の1つと考えられます。  もっとも、業務を見直す「業務改善」でも成果を出しにくいでしょう。DXでは「業務改善」ではなく「業務改革」を目指すべきです。  では、「業務改善」と「業務改革」では何が違うのか。この差を正しく理解することも、DXを進めるには必要です。  「業務改善」は、過去の延長線上にある考え方です。部門や個人の視点から、身近な課題を解決します。あらかじめ敷かれたレールの壊れた箇所を修繕していくイメージです。リスクは小さいものの、得られる成果があまり大きくないという点が重要です。  「業務改革」は、過去にとらわれない考え方です。未来のあるべき姿を目指すのが特徴、ゼロからビジネスを再構築します。ロケットで未開の新天地を目指すイメージです。リスクは大きくなることが見込まれますが、その分大きな成果を期待できるのが何より重要です。  DXを進めるにあたり、その真髄は業務改革にあると受け止めるべきです。

周囲を「事実と論理」で説得して理解を深める

 では、業務改革を進める上で難しいことは何か。それは、周囲への理解です。  改革を進めようとすると、慣れ親しんできた習慣を変えることに嫌悪感を示す人が現れます。自分にとって身近ではない課題に立ち向かう業務改革を特に避けようとします。「自分が理解できる範囲」を基準に、改革を歓迎する人、抵抗する人に分かれてしまうのです。  DXを進めるようと前向きな姿勢を示す人でも、いざ自分の業務内容が変わることを知ると態度が一変、なんてケースも少なくありません。「この仕事は今後も必要です」「これまで多くの成果を出してきました」などと、変わることを恐れて保守的な考え方にとどまってしまうのです。  こうした状況をどう打破すべきか。それが、周囲の人に理解してもらうことです。「事実と論理」で説得し、理解してもらうのが有効です。全社視点で現在の業務をガラス張り化するのは効果的です。課題に対し、優先順位を設けて解決するようにします。もっとも、この方法では時間がかかりすぎると思う人がいるでしょう。しかし筆者の経験上、この方法が一番近道です。継続的な業務改革を進めるのに役立ちます。
next〈 2 / 2 〉:洗い出した課題を解決する3つの方法

業務フロー図を作成し、業務をガラス張りにする

 業務改革を進めるにはまず、現在の仕事をガラス張り化します。会社全体の仕事を明確にすることから始めます。業務の流れを示したフロー図を活用するのが有効です。フロー図を使うことで、次の課題を洗い出すことができます。
・複数の部署で重複仕事が発生している
・部署間の責任が不明確である
・情報が正しく伝達されず、何度も同じ説明をしている
・ルーティンワークでも、人によってやり方が違う
・部署ごとにシステムを導入していても、十分活用されていない  フロー図をすべての業務に適用することで、他部署の業務をいかに知らないかに気付くはずです。多くの企業が部署などの単位で業務を効率化する「部分最適」の状態で、全体を俯瞰したとき、実は生産性を落としているという状態に陥っているのです。こうした気づきを得る意味でもフロー図の作成は効果があります。

全体を俯瞰して、課題を整理し解決する

 業務のフロー図を描いたら、次は課題を洗い出します。ポイントは全社視点で業務を捉えなおすこと。これにより、属人化やコミュニケーション不足、仕事の非標準化などの原因を次々見つけられるはずです。  課題を洗い出したら、課題を整理することも忘れてはなりません。ここでも全社視点を意識します。1つの原因が複数の課題を生み出しているケースがあります。例えば、不明確な役割、属人的なマネジメントなどの原因が目立ちます。  その上で課題に優先順位を付与します。緊急度や重要度などを基準に順位を設定します。大切なのは、自社への貢献度の高いものを優先すべきということです。その方が将来的に目指すべき目標へ早く近づくことができます。当たり前な考え方かもしれませんが、貢献度を無視し、根拠のない優先順位で課題解決を進める企業は決して少なくありません。時間や労力を無駄なく使うためにも、正しい優先順位を付与することが大切です。  最後が、課題の解決です。課題を解決する方法は次の3つです。
1.課題に該当する業務を止める
2.アナログな手法で解決する
3.システムで解決する
 この順番で課題解決に取り組みます。課題を早期に解決できるほか、高い投資効果を見込めます。

業務改革は、会社の将来を担う人材を育成する

 業務改革は、過去の無駄を洗い出すための取り組みにとどまりません。それ以上に期待できる効果が「人材育成」です。  業務改革はプロジェクトメンバーを中心に、多くの社員がその取り組みに関わることになります。オープンな議論を交わしたり、互いの理解を深めたりする機会が多く創出されます。このプロセスを経験することで、全社を意識した考え方が培われます。この考え方こそDXには不可欠です。停滞気味のDXを大きく前進させるためにも、こうした経験を積んだ人材を育成すべきです。この変化こそが、業務を継続的に改革する企業風土を醸成するのです。
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本連載は、プレジデント社刊行の「成功=ヒト×DX」の内容をもとに、筆者が一部編集したものです。
プレジデント社「成功=ヒト×DX」
筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任。

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