寄稿・連載

    2022.03.25

    読みやすいメールの書き方とは?

    新規事業を成功させるためには、周囲を巻き込み賛同を得られる企画書や資料のクオリティこそが重要。「意味が分からない」「理解しにくい」という文章を並べるだけでは事業推進すらままなりません。では簡潔で要領を得た文章で「伝える」ためにはどんな工夫が必要か。【DX時代を生き抜く文章術 第18回】は、メールを書くときの基本スタンスと読みやすくするポイントをまとめます。なお、本連載は「即!ビジネスで使える 新聞記者式伝わる文章術」(CCCメディアハウス)の内容をもとに編集しております。

     「で、結局何が言いたいの?」

      送られてきたメールを前に、そう思ったことはないでしょうか。

    「あなたのメールを読むと、イラつきます」

      こんな苦情を受けたことがある人は手を挙げてください。

      要領を得ないメールは、本当にイラつくものです。

      ですが、そんなメールを、あなたも送っていたとしたら……。

     ビジネスの世界では、謝罪をしなければならない場面に多々遭遇します。会って話をしている時は、相手の表情で自分が失言したことに気づきますが、メールでは難しい。ビジネスでは、メールでの失言をわざわざ指摘してくる人はほとんどいません。相手にとって、そんな指摘は時間のムダ。メールのやりとりで不快に感じても、「この人は信用ならない」と、すっぱり縁を切るか、必要最低限の付き合いをすればいいからです。

     そうならないためにも、メールの正しい作法を知っておく必要があります。

     敬語など、相手を気遣う〝言い回し〟も重要です。

     これは、依頼なのか、報告なのか。文章の最後まで読まないと相手の目的がつかめないメールも意外に多いものです。

     「利用できません」、「すべて一任しております」、「煮詰まったのでご相談させてください」といった、間違った表現を使う人も目立ちます(正しくは「ご利用いただけません」、「すべて」と「一任」が重複表現に、「煮詰まったので」ではなく「行き詰まったので」)。

     メールを書く時には、3つの原則を意識しましょう。

     まず、読み手が「理解しやすい」ように、「一文に1つの要素だけ書く」ということ。「~して、~になり、~もまた、~とともに……」。頭に浮かんだことをそのまま書いて、一文に2つ以上の内容を盛り込むと、「結局、何?」と読み手に思われてしまいかねません。

     そして、読み手の「不安」や「不満」を生まないために、「結論」を先に書く。これが2つ目です。

     「単なる現状報告かと思ったら、最後の数行で緊急の確認メールだと気づいた」。こんなケースは少なくありません。特に「伝えづらい依頼メール」の場合、現状報告や言い訳から始まり、それが長くなってしまいがちです。

     3つ目は、使い方をよくわかっていない敬語表現を乱発しない、ということです。「その件は、当社の販売担当に伺っていただけるとよろしいかと存じます」。このように、なんとなく丁寧そうだからという理由で間違った敬語を乱発する人も多いです。この例文では、シンプルに「その件は、〇〇にお問い合わせいただけますか」でよいでしょう。

     読みやすいメールの文章は、企画書や提案書よりさらにコンパクトに書くことが重要です。

     具体的には6つのポイントがあります。1行は30文字以内を目安に短く区切り、3~5行ごとに空白行を入れると読みやすくなります。伝えたい項目が複数ある場合は箇条書きで書くのが鉄則。記号で強調したり、罫線で区切ったりするのもよいでしょう。文章内の漢字の割合を最小限にとどめる配慮も必要です。

    【読みやすいメール文章の6大ポイント】
    ・1行は30文字以内に
    ・3~5行ごとに空白行を入れる
    ・箇条書きでまとめる
    ・記号や罫線を活用する
    ・「漢字3:ひらがな7」で書く
    ・全体の文章は40行以内、2画面分を目安に


     そして、メールに盛り込む要素として、次の8つが欠かせません。件名(具体的なタイトル)、宛名、挨拶、名乗り、導入、用件、結び、署名。

     特に大事なのは、用件の前に「目的」をハッキリ伝える導入部分です。この1文があるかないかで、メールの評価が大きく変わります。読み手をイライラさせないための必須項目と覚えておきましょう。

    ・件名(具体的なタイトル)
     受信者が見たときに、すぐに内容を理解できる件名をつける。単に「ご報告」よりは「11月7日の定例会のご報告」とした方がベター。日時やキーワードを具体的に書く。文字数の目安は20字以内とする。

    ・宛名
     相手の会社名、部署名、名前を正確に書く。特に会社名は「(株)」などと省略せずに、「株式会社〇〇」、名前もフルネームで書きたい。2つの敬称が重なる「○○部長様」は間違った表現でNG。複数の場合は「〇〇の皆様」「関係各位」などとする。

    ・挨拶
     「お世話になっております」が書き出しの基本パターン。時候の挨拶は長くなるので省きたい。時候の挨拶を使うほど気を遣う相手なら、メールではなく手紙か電話で連絡しましょう。初めての場合は「はじめまして」「この度はお世話になります」のようなフレーズを使う。

    ・名乗り
     メールは顔を見て話す時と違い、自分が「どこの誰か」をハッキリ伝えることが重要。電話した直後であっても、会社名と名前はセットで書く。

    ・導入
     用件の前に目的をハッキリ伝える。メールの冒頭で読み手に「このメールは何のために書かれたものなのか」を伝えることが大切。「状況説明」は後にして、まず目的を伝える。

    ・用件
     1通のメールに一つの要件が原則。ダラダラと書かれた文章は読みづらく、理解しにくい。同じ内容でも「箇条書き」でスッキリまとめると、わかりやすくなる。

    ・結び
     メールの印象は「結び」で決まる。「ご対応のほど何卒よろしくお願い申し上げます」「今後とも何卒宜しくお願い申し上げます」などと相手を気遣いつつ、「〇日16時までにご連絡ください」と返信を促す一言を入れる。

    ・署名
     読んだ相手が連絡したいとき、わざわざ名刺を探さなくてすむように、メールの署名は必須。個性で勝負する個人事業主は別として、〝軽いノリ〟の署名は避けた方がいい。
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    本連載は、CCCメディアハウス刊行の「即!ビジネスで使える 新聞記者式伝わる文章術」の内容を一部編集したものです。
    CCCメディアハウス「即!ビジネスで使える 新聞記者式伝わる文章術」(白鳥和生著)
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    筆者プロフィール
    白鳥和生
    株式会社日本経済新聞社 編集 総合編集センター 調査グループ次長。
    明治学院大学国際学部卒業後、1990年に日本経済新聞社に入社。編集局記者として小売り、卸・物流、外食、食品メーカー、流通政策の取材を担当した。「日経MJ」デスクを経て、2014年調査部次長、2021年から現職。著書(いずれも共著)に「ようこそ小売業の世界へ」(商業界)「2050年 超高齢社会のコミュニティ構想」(岩波書店)「流通と小売経営」(創成社)などがある。日本大学大学院総合社会情報研究科でCSRも研究し、2020年に博士(総合社会文化)の学位を取得。消費生活アドバイザー資格を持つほか、國學院大学経済学部非常勤講師(現代ビジネス、マーケティング)、日本フードサービス学会理事なども務める。
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