特別対談

    2022.05.20

    【特別対談:東小薗光輝×鈴木康弘】財務諸表ではなく定性的な人間性を評価する与信審査サービス、債権保証と組み合わせることで利用拡大図る

    AIを使った与信審査サービスを提供するH.I.F.。サービスを提供し、顧客から信頼を勝ち取るまでの道のりには、創業者のさまざまな出会いと経験、そして強い思いがあった。創業者であるH.I.F. 代表取締役の東小薗光輝氏に、創業に至る経緯と、他に類を見ない同社の与信審査サービスの強みを聞きました。(聞き手:DXマガジン総編集長 鈴木康弘)

    「与信」が企業や人の可能性を広げる

    鈴木:H.I.F.の事業内容をご紹介いただけますか。

    東小薗:当社はAIを活用した与信審査サービスを提供する会社です。売掛取引が可能な企業やお金を貸しても大丈夫な人を調べたいという企業向けに、与信審査技術を軸とした金融サービスを提供します。債権を流動化するサービスや企業の売掛金を保証するサービスを手掛けるほか、企業の請求業務を代行するサービスも提供しています。

    鈴木:東小薗さんはもともと金融業界で経験を積まれてきたのですか。H.I.F.を設立した経緯を教えてください。

    東小薗:これまでずっと金融畑で経験を積んできたわけではありません。これまでの経歴をお話しすると、我が家は母子家庭で、私が高校3年生のとき、母が交通事故に遭って働けなくなってしまったんです。自分で生計を立てなければならず、大学進学を諦めて陸上自衛隊に入りました。しかし、このまま自衛隊で働き続けるのはどうかという思いが少なからずありました。私と同じく、家庭の事情や金銭的な理由で将来の可能性を潰さざるを得ない人に手を差し伸べられないか。そんな思いも常に持っていました。自分がこうした状況を変える仕組みを作れないか。そこで起業しようと思い立ったのです。
    写真:H.I.F. 代表取締役 東小薗光輝氏

    写真:H.I.F. 代表取締役 東小薗光輝氏

    鈴木:陸上自衛隊出身で金融サービスを提供する会社の代表。ユニークなご経歴ですね。陸上自衛隊を辞めてすぐにH.I.F.を起業したのでしょうか。

    東小薗:いえいえ。強い思いこそあれ、起業するための知識などありませんでした。起業するには何が必要かを考えた結果、行き着いたのが「お金」でした。そこでお金に関する知識やノウハウを身に着けようと、金融系の会社に転職しようと考えました。このとき入社したのが、いわゆる金融事故を起こした人などが利用する消費者金融。ここで金融業界はもちろん、お金に関するさまざまな知識を学びました。

     中でも契機となったのが「与信」との出会いです。過去に破産したり債務整理したりした経験のある人でも、子供のための入学金を準備したい、介護する祖父や祖母の入院費や手術費を工面したいというケースは当然あります。しかし、過去に金融事故を起こしたという理由だけで一般的な与信審査は通りません。

     そこで、当時の会社は、ユニークな視点で審査を実施していたんです。一般的な審査項目となる「年収」や「借入金」などを使わず、“人間性”という定性的な情報に基づき審査していたのです。これなら、一般的な与信審査が通らない人でも、与信を与えられる。つまり、その人たちの可能性を潰さず、広げることができたのです。こうした仕事に関わるうちに、与信への関心がますます高まっていきましたね。その後、いくつかの会社を経験したのち、旅行会社のエイチ・アイ・エス(HIS)に入社しました。
    写真:DXマガジン総編集長 鈴木康弘

    写真:DXマガジン総編集長 鈴木康弘

    鈴木:HISといえば旅行業というイメージ。金融領域との結びつきが必ずしも強くない気がします。なぜHISを選んだのですか。

    東小薗:HISの事業に必ずしも興味を持ったわけではなく、はじめから「起業」することを目的に選びました。「企業規模が大きい」「事業が多角化している」、そして「金融事業を持っていない」という3つの条件に絞って会社を徹底的に調べた結果ですね。HISは当時、長崎県佐世保市にある「ハウステンボス」を買収するなど、事業の拡大と多角化に乗り出しており、「ここしかない」という思いで入社を決意しました。何が何でもという思いから、採用面接時には「給料はゼロで構いません」「契約社員で結構です」と言い切りましたね。

    鈴木:ものすごい熱意ですね。どうしてもHISに入社したかった。

    東小薗:そうですね。ただし、HISで出世したいという考えはまったくありませんでした。結局、給料を受け取る形で入社しました。1年で正社員になり、2年で管理職になり、3年間勤めました。

    鈴木:HISでは起業のためにどんなことを経験したのですか。

    東小薗:入社して3年目のタイミングで、HISの代表である澤田秀雄氏が起業塾を立ち上げたんです。私にとってはまさに「運命」を感じましたね。起業塾で実践的なノウハウなどを学ぶ中、HISに対して「与信を与える事業をグループで持つべき」と強くプレゼンしたんです。そうしたら、「それなら君がやってみたら」と言われ、立ち上げたのがH.I.F.なんです。

    鈴木:なるほど。「運命」としか言いようがない出会いがあったんですね。ちなみに起業に際し、どんなことを心掛けたり注意したりしましたか。

    東小薗:私なりの何とかなるという極意があるんです。それは、私自身は何の能力も持っていません。だからこそ、プライドなしにいろいろな人に頼めるんです。これが成功させるには大切ではないでしょうか。自分で何でもやろうとせず、手伝ってといろいろな人に相談して頼らせてもらう。こんな姿勢も起業には必要だと思いますね。
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