特別対談

    2022.07.01

    【特別対談:中川哲×鈴木康弘】テクノロジーの価値を最大限に引き出すデジタルアダプションプラットフォーム、「定着化」促すDXソリューション

    誰もが迷いやストレスなくデジタルシステムを使いこなせるようにする「WalkMe」。システムの利用定着を図ることが企業のDXを加速させられると強調します。その意図とは。WalkMe ディレクター ストラテジック エンタープライズ セールス 中川哲氏に思いを聞きました。(聞き手:DXマガジン総編集長 鈴木康弘)

    誰でも迷わずシステムを使いこなせるように

    鈴木:WalkMeの事業内容やミッションを教えていただけますか。

    中川:当社は2011年にイスラエルで創業した会社で、社名でもある「WalkMe」というソリューションを開発、提供しています。これは、企業情報システムにガイダンスやナビゲーションを付与するもので、システムの操作が分からないといった人を想定したソリューションになります。「誰もが迷いやストレスなくデジタルシステムを使いこなせる世界を創ること」をミッションに掲げ、ITリテラシーのレベルに関わらず、誰でも迷わず操作できるシステム環境を構築し、最適な体験でソフトウエア(SaaS)を活用することに注力しています。

    鈴木:ITシステムを使い倒すためのソリューション。ユニークな発想ですね。なぜ、こうしたソリューションを提供しようと思いついたのでしょうか。開発の経緯を教えてください。

    中川:実は創業者が、母親に銀行のオンラインバンクのやり方を教えてほしいと何度も頼まれたのがきっかけです。電話越しに教えるには、自分も同じ画面を見て説明しなければなりません。しかし、時間をかけどもなかなか伝わらず、何度教えても次回にはまた同じことを教えてほしいと言われてしまう。こんな原体験がきっかけですね。オンラインバンクに限った話ではなく、デジタルを苦手にする人は、操作画面の導線から外れてしまうことがよくあります。今後、デジタルが普及したら、デジタルを使い倒すため「デジタルアダプション」は絶対必要になる。そんな思いで開発したのが「WalkMe」です。

    鈴木:ガイダンスやナビゲーションを付与するとは、具体的にどんなイメージでしょうか。

    中川:“カーナビ”をイメージしていただくと分かりやすいと思います。ドライバーはカーナビに目的地さえ登録すれば、知らない道でも指示通り進めば目的地に必ず着けますよね。この考え方を企業情報システムの世界に持ち込んだのが「WalkMe」です。

     システム画面で、「ここをクリックして」や「ここにデータを入れて」などのポップアップを表示するガイダンス機能を備えます。操作方法を説明するチュートリアル用のボタンを追加したり、入力すべきボタンや入力欄以外をグレーアウトして視認性をより高めたりといったことも可能です。
    図1:ポップアップを入力先や入力内容をガイダンスする

    図1:ポップアップを入力先や入力内容をガイダンスする

     入力した情報やデータが正しいかをチェックするエンゲージメント機能も特徴の1つです。ガイダンスの指示に従って登録したデータに誤りはないか、抜け漏れはないか、型や形式は指定通りのものかなどをチェックします。例えばCRMツールに社名を登録するとき、「株式会社」が前株か後株かを覚えていない。そんなときは正しい社名情報を調べられるWebサービスと「WalkMe」を連携することで、入力ミスを防げます。
    図2:入力したデータが正しい形式かなどをチェックする

    図2:入力したデータが正しい形式かなどをチェックする

     さらにユニークな使い方として、システムのUIをボットとの会話のみに限定し、ボットからの質問に答えた会話内容を「WalkMe」が識別してシステムに登録するといったこともできます。例えば「担当者名は」「日付は」「金額は」などの質問に答えさえすれば、「WalkMe」がCRMツールに案件管理に必要な情報を登録してくれるというわけです。

    鈴木:なるほど。非常に興味深いソリューションですね。ここまで丁寧に操作方法を教えてくれれば、ITリテラシーに関係なく、絶対操作に迷わないでしょうね。ちなみに、システムのどの場所にポップアップを表示させるか、どのデータをチェックするかなどをユーザー側で自由に決められるのでしょうか。

    中川:はい。「WalkMe」はユーザーが設定変更できるエディター機能を備えています。ポップアップを自在に設定できるほか、ポップアップの表示色やテキストの“トンマナ”を揃えるといったこともユーザー側で指定できます。エディター機能はノーコードで扱えるため、エンジニアでなくても使えるのが特徴です。

     加えて当社では、ユーザーがどこで操作につまずいているのか、どこで離脱したのかといった情報をAIで分析して、途中で離脱しそうな操作や場所を抽出し、そこを手厚くナビゲートするといったことにも取り組んでいます。ユーザーもダッシュボード画面でこうした情報を把握できるため、エディター機能でナビゲートの改善に取り組めます。
    図3:ダッシュボードでWalkMeの利用状況を確認できる

    図3:ダッシュボードでWalkMeの利用状況を確認できる

    鈴木:「WalkMe」はどんなシステムにも取り付けられるのでしょうか。

    中川:Webベースのシステムであれば使えます。主要なSaaSはもとより、Webブラウザを使ったオンプレミス型システムでも実装は可能です。「WalkMe」はWebブラウザに常駐し、HTMLコードから入力項目やボタンの場所や意味を理解し、ポップアップなどを表示させる仕組みとなっています。

    鈴木:SaaSがアップデートしてボタンの位置などが大きく変更した場合、ポップアップを表示させる位置をすべて再配置しないといけないのでしょうか。

    中川:すべて再配置する必要はありません。当社が用意するテストツールを使えば、位置を変更しなければならないポップアップを洗い出せます。従来のまま使えるもの、再配置すべきものに振り分けて設定し直すことが可能です。

     また、WebブラウザではなくOSに搭載可能な「WalkMe」の提供も開始しました。最大の特徴は、複数のシステムをシームレスに使えるようにできる点です。1つの業務を完了させるのに、複数のシステムを横断して行うケースは珍しくないと思います。その場合、各システムがサイロ化されていてシステムドリブンなので、人がシステムに合わせに行かないといけない状態です。「WalkMe」上であれば、自社がイニシアティブを持って業務ドリブンへとデザインすることができるようになります。「WalkMe」が作業手順に従って必要なシステムを自動で呼び出してくれるので、ユーザーは「次に何のシステムに何を入力すればいいのか…」などと迷わずに作業を終えることが可能です。

    鈴木:せっかく導入したシステムを使いこなせず、システムを導入する側と利用する側の「期待」と「現実」のギャップに苦しんでいる企業って少なくないですよね。こうした企業に最適なソリューションですね。

    中川:従業員のITリテラシーの幅が広い企業に向いていると思います。また、自社の関係会社に同じシステムを使ってもらいたいというケースにも向いています。例えば保険代理店や自動車ディーラーなどです。海外では、離職率の高い業界、業種で使われるケースも多いですね。

    鈴木:従業員数が多い大企業はもちろんですが、ITのサポートに手が回らない中小企業でも活用できるソリューションかもしれませんね。

    中川:確かに企業規模や業種を問わないソリューションだと思います。大半の業務でシステムが使われるようになった今、従業員のITリテラシー向上が求められるようになっています。しかし、従業員教育やシステムの導入研修、マニュアル制作まで十分手が回らないという声は多い。こうした手間を省けるようになるのが「WalkMe」のメリットだと考えています。

     「WalkMe」は現在、グローバルで2000社が導入しています。国内に限ると、日本法人を設立して3年目ですが、70社ほどの企業が導入しています。
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