実践者インタビュー

    2022.04.21

    プロジェクト成功のカギは、PMIが提唱する独自の“世界共通言語”

    プロジェクトの専門家などで構成する「PMI(Project Management Institute)」。1969年の協会発足以来、プロジェクトマネジメントの重要性を訴求し続け、現在の会員数はグローバルで約70万人の規模を誇ります。そんなPMIが、組織やプロジェクトの専門家、チェンジメーカーへ影響を与えるトレンドをまとめた「グローバル・メガトレンド2022」を発表しました。多くの企業がDXプロジェクトを進める中、どんな事象に目を向けるべきか。プロジェクト成功には何が必要か。レポートのポイントと企業が気を付けるべき点を、PMI Japan, Leadの杉山俊彦氏に聞きました。

    プロジェクトマネジメントに影響を与える6つのトレンド

     目標達成に向け、同時にいくつも走らせることが多いプロジェクト。DX推進の機運が高まる中、プロジェクトの進捗やリスクを管理する体制の重要性が増しつつあります。しかし足元を見ると、「そもそもプロジェクトのノウハウやスキルに精通する人材がいない」「プロジェクトごとに進め方やルールが違う」「プロジェクトの状況を把握できない」などの声は少なくありません。プロジェクトの成功率を引き上げるため、企業はプロジェクトの手綱をどう握ればよいのか……。

     こうしたプロジェクトの管理体制構築や課題解決を支援するのがPMIです。PMIはプロジェクトマネジメントをリードする機関で、「チャプター」と呼ぶ支部を世界に300拠点以上構え、コミュニティを通じて国や業界特有のプロジェクトの課題解決を図ります。さらに、PMIが策定するプロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP)®の資格は、世界中の組織で活用され、プロジェクトの専門家がプロジェクトやチームをリードする能力を持っていることを証明するものです。プロジェクトマネジメントに関する資格のデファクトスタンダードとして多くの業界から認知され、PMP資格取得者数は国内で4万1000人、PMPを含む資格取得者数は世界で延べ139万人を数えます。

     そんなPMIが、プロジェクトを推進する企業や団体向けに注意すべき動向をまとめたレポートを公開しました。それが2022年2月28日に発表した「グローバル・メガトレンド2022」です。レポートでは、プロジェクトマネジメントに影響を与えるトレンドとして6つの事象を提起します。
    ・デジタル・ディスラプション
    ・気候変動危機
    ・人口動態の変化(高齢化)
    ・経済の変化(サプライチェーンの脆弱性など)
    ・労働力不足
    ・市民運動と平等運動(DE&I)

     中でも注目が「デジタル・ディスラプション」です。一般的には「破壊的なイノベーション」を指しますが、ここでは新型コロナウイルス感染症のまん延を機に、企業のデジタル化が一気に進んだことも内包します。リモートワークの促進により、多くの企業がコミュニケーションやコラボレーションを支援する各種ITツールを導入しました。最新のテクノロジーを活用したツールを使い始めるケースも目立ちます。レポートではこうした働き方の変化こそ注意すべきだと警鐘を鳴らします。

     なぜデジタル・ディスラプションがプロジェクトマネジメントに影響するのか。PMI Japan, Leadの杉山氏は、「新たなITツールの導入は業務効率や生産性の向上に大きく寄与する。一方で、データ漏洩やプライバシーの喪失といったリスクを負う可能性を見逃してはならない。コロナによる環境変化は、ITツールの導入を“待ったなし”で加速させた。ただ、安全性を十分検証せず導入に踏み切ったケースは少なくない。IT導入プロジェクトでは、ITツールを迅速に導入することに主眼を置きがちだが、データの保管場所や第三者による漏洩リスクなどのセキュリティ対策も並行して徹底しなければならない。これからのプロジェクトマネジメントにおいては、例えばセキュリティ1つを見ても、構成するメンバーの担当領域ごとにセキュリティを階層化し、各領域でマネジメントを構築しなければならない」と指摘します。
    写真: PMI Japan, Lead 杉山俊彦氏

    写真: PMI Japan, Lead 杉山俊彦氏

     事業を飛躍的に成長させる手段として、最新テクノロジーの動向にも注意すべきと杉山氏は続けます。「DXにより新規事業をプロジェクト化して進める企業が増えた。このとき、アイデアを具現化する手段として最新テクノロジーを理解しておくことが大切だ。」と強調します。

     とりわけAIの動向を見守るべきと杉山氏は指摘します。「AIは消費者が意識しない至るところで使われ出している。多くの企業が意思決定やリスクマネジメント、データ分析などを強化する目的でAIに投資している。こうした流れはさらに加速するだろう」(杉山氏)と言います。なお「グローバル・メガトレンド2022」では、AIなどの技術を採用する割合がさらに高まる分析結果も掲載。IoTやブロックチェーン、仮想現実、音声認識などのテクノロジーを抑え、AIの採用がもっとも進むと分析しています。
    図1:AIの採用率は2021年の21%から2026年に...

    図1:AIの採用率は2021年の21%から2026年には49%まで上昇すると予測

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