LINEを使った一斉配信がかえってユーザー離れを加速
鈴木:Micoworksさんの事業内容を教えていただけますか。
前川:当社はコミュニケーションツールの定番である「LINE」を活用した、企業向けの支援サービス「MicoCloud」を提供する会社です。多くの企業がLINEの公式アカウントを用意し、LINE経由でさまざまな情報を発信していると思います。しかし、LINEの標準機能を使うだけでは情報を効果的に発信できません。そこで、LINEの公式アカウントをより活用できるようにする拡張機能を当社では提供しています。
鈴木:LINEをただ使うだけでは不十分とのこと。LINEが効果的に情報発信できない理由を詳しく教えていただけますか。
前川:企業がLINE公式アカウントを使って発信する情報は一斉配信がほとんどです。例えばアパレルブランドを展開する店舗がLINE公式アカウントを使って登録者に情報発信するとします。一斉配信だと男性向けの衣類情報も女性向けの衣類情報も関係なく、同じ内容が登録者に届いてしまいます。もちろん年代や嗜好も関係ありません。こうした一斉配信で届く情報は、公式アカウントをフォローする登録者にとって本当に有益なのでしょうか。不必要な情報ばかり届く公式アカウントからの送信をブロックしたり、通知をオフにしたりする人も少なくないと思います。
LINEを使った一斉配信は便利な半面、大事な顧客接点を失う可能性もあるのです。8000万人を超えるとも言われるLINEユーザーとの接点喪失は、大きな痛手を招きかねません。

写真:Micoworks MicoCloud事業本部 MicoCloud事業本部長 前川大介氏
鈴木:一斉配信ではなく、適切な情報を届けられるようにするのが御社の役割ということですね。
前川:はい。LINE公式アカウントの登録ユーザーを分類できるのが「MicoCloud」の強みです。例えば、おもちゃ箱の中にはぬいぐるみもあるし、模型もあるし、ボードゲームもある。それらを色分けし、ぬいぐるみだけ、模型だけ、ボードゲームだけといった具合に探し出せるのです。こうした「ターゲティング」機能こそ、LINE公式アカウントを運用する企業に求められる機能だと思いますね。
鈴木:とても便利なサービスですね。御社は設立当初から、LINE向けのサービスを提供してきたのでしょうか。設立の経緯を教えていただけますか。

写真:DXマガジン 総編集長 鈴木康弘
前川:当社はもととも、学生の就職活動支援を目的にLINE向けのサービスを提供していました。例えばメーカーの営業職、金融業の事務職など、条件を絞り込んで自分に合う就職先を探し出す用途で使われていました。しかし、学生の就職支援の用途以外にも使えるのではという考えのもと、さまざまな業種向けに事業を展開するに至りました。現在は百貨店/小売、人材紹介、EC、スクール/塾、ウェディングなどの事業を展開する企業を中心に導入されています。当社の調べでは導入企業の継続利用率は99.5%と高く、多くの企業が満足するサービスだと自負しています。
当社では、「知りたいと伝えたいをつなぐ、コミュニケーションプラットフォームを創る」というビジョンを打ち出しています。ITやテクノロジの進化によってコミュニケーション手段は多様化し、容易なコミュニケーションも可能になりました。しかし一方、ミスコミュニケーションも増えていると感じます。こうした不具合を解消したい。そんな思いでコミュニケーションプラットフォームを開発、提供しています。
鈴木:ミスコミュニケーションをどう防ぐかといったテーマの重要性はますます高まりそうですね。そんなとき、御社のビジョンが多くの企業に突き刺さるのかもしれませんね。
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