EC事業本格化見込むも肝心のデータ活用が進まず
来店者数増加、客単価アップ、優良顧客の囲い込み……。店舗を運営する企業の多くが、売上向上のための施策を打ち出し、店舗の売上アップに努めています。そんな中、襲った新型コロナウイルス感染症。多くの実店舗が売上減少に直面し、売上の回復すら見込みにくい状況下にあります。そこで今、実店舗を構える多くの企業が、新たな収益源として本腰を入れ始めているのがEC事業です。
とはいえ、実店舗とECサイトでは運営ノウハウが異なります。来店者数増加や客単価アップなどに向けた実店舗向けの施策が、ECサイトに当てはまるとも限りません。
とりわけデータを効果的に活用できずにいる企業が少なくないようです。ECサイトの構築支援やECビジネスのコンサルティング事業などを展開する株式会社ecbeing デジタルマーケティング統括部 ECマーケティング&コンサルティング部 兼 ゼクスタント部 西﨑潤氏によると、「実店舗ではPOSデータや来店カウンターツールを使い、日々の売上や来店者数などを管理している。しかし、購入者の性別や年齢などの属性まで追い切れずにいるケースが大半である」と指摘。ECサイト事業者も「実店舗と比べてデータを取得しやすいにも関わらず、データを活用できずにいる企業は多い。『何が』『どれだけ』売れたのかを把握するものの、実店舗同様に購入者の性別や年齢まで追い切れていない。大事なのは『誰が』。購入者や会員の属性を細かく把握することが求められる」と強調します。

株式会社ecbeing デジタルマーケティング統括部 ECマーケティング&コンサルティング部 兼 ゼクスタント部 西﨑潤氏
使いやすさに主眼を置く分析ツール「Sechstant」
そこで、購入者一人ひとりの属性をもとに利用状況を分析し、店舗やECサイトの緻密なマーケティング施策の立案を支援できるようにしたのが、「Sechstant(ゼクスタント)」です。
Sechstantは、データを格納する「Google Cloud Storage」、データを統合・加工する「Google Big Query」、分析結果を可視化する「Tableau」で構成するデータ分析ソリューションです。店舗やECの会員情報や注文履歴、商品・在庫情報、クーポンやキャンペーンの実施情報、キャンセル・返品情報などのさまざまなデータを統合し収集、分析し、実店舗やECサイトの施策立案を支援します。
20種類以上の分析テンプレートを標準装備し、面倒な設定なくすぐに使い始められるのが特長です。「データ分析に精通しない店舗やECサイト運営者でも簡単に使えるツールを目指す。データを収集・分析、可視化する場合、BIで何を見たいか、そのためにCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)にどのようなデータを連携するかを事前に設計するケースがほとんど。Sechstantはこうした事前設計なしに運用を開始できるのが強みだ」(西﨑氏)と言います。注文の明細分析はもとより、F2転換分析、併売分析、アクティブ会員分析、定期継続・解約分析などの用途別のテンプレートを自由に利用することが可能です。ほかにも、ページごとの閲覧後購入率の把握、新規購入者がよく見るページの把握、新規購入者の獲得につながりやすい流入経路の把握、新規購入者が購入する商品や、商品の想定ターゲットに購入されているかなどの把握に役立ちます。

Sechstantの全会員セグメントダッシュボードの画面

SechstantのF2転換分析ダッシュボードの画面
商品のリピート率を確認するテンプレートの場合、商品別の平均リピート回数、リピート率、リピート購入した会員数などを確認できます。さらに何回リピート購入したのか、性別や年代別のリピート割合なども可視化し、どの商品のプロモーションを展開すべきか、どの年代に対してキャンペーンを実施すべきかなどの施策立案を支援できるようにしています。

Sechstantの注文分析 詳細用ダッシュボードの画面

Sechstantのアクティブ会員分析ダッシュボードの画面
カスタマイズすることで、テンプレートでは可視化できない分析結果も表示します。「導入企業の中には、店舗スタッフを評価する指標を可視化した例がある。具体的には、スタッフが用意したコンテンツを見た人が、ECや実店舗で商品を購入したかどうかを分析結果として可視化した。自社固有の課題がある企業ほど、独自の視点でデータ分析に取り組む」(同氏)と言います。