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女性をターゲットにしたメディアを2カ国で展開、C Channel森川社長が見据える動画メディアの可能性

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今回は、C Channel 代表取締役社長の森川亮氏が登場。C Channelを創業した経緯や女性向け動画メディアに注力する理由などを掘り下げます。さらには森川社長のC Channelにかける思いとチャレンジする姿勢について、DXマガジン総編集長の鈴木康弘が切り込みます。【夢を実現していく変革者たち。~SUZUKI’s経営者インタビュー~ #4】

鈴木:森川社長のこれまでの生い立ちを、幼少期を含めて教えてください。

森川:小学生のころ、実は合唱団に入っていて歌手をしていたんです。ピンクレディさんや五木ひろしさんと同じステージに立ったこともあるんですよ。地元では当時、人気者でしたね。ただ、声が出づらくなって挫折し、その後はドラマーに転向しました。海外の放送局に「天才ドラマー」として取り上げてもらったこともあったほどでした(笑)。

そんなとき、ドラムを自動演奏するドラムマシンが登場したんです。プロを視野に入れていた私は、「ドラマーという仕事がなくなるのでは」と思いましたね。しかし、テクノロジを使ってエンターテインメントの世界を変えたい。そう思うようになり、大学ではコンピュータ工学を学びました。ただコンピュータをあまり好きになれず、代わりにジャズに没頭していきましたね。そこで音楽に携わる仕事に就きたいと思い、卒業後はテレビ局(日本テレビ放送網)に入社します。

鈴木:日本テレビではどんな仕事に携わったのですか。

森川:当時はコンピュータに精通する人材が少なく、コンピュータ工学を学んだ私はコンピュータシステム部という部署に配属されました。正直、毎日が嫌で仕方なかったですね(笑)。とはいえ、いつまでも塞ぎ込んでいるわけにはいきません。報道用のニュースを管理するシステムの開発などに携わりました。日本初となる選挙用の出口調査システムも開発しました。データ解析の仕組みを備え、過去のデータと出口調査を比較して当選かどうかを見極めるというものでした。

視聴率を分析するシステムの開発にも携わりました。当時は稀なクライアント/サーバー型システムで、GUIにタッチパネルも装備していました。視聴率を分析することがなかった当時、毎分視聴率といって1分単位で視聴率がどう推移するのかを把握できるようにしたんです。例えば、番組のどのタイミングでCMを入れると視聴率が増減するのかを探れるようにしました。一般的にCMを流すと視聴率は下がります。そこで、「CMの後で」といったフリをCM前に入れるとどれだけ効果があるのかなどを検証するのに使われました。

その後、インターネット事業を立ち上げるために異動します。ネットやデジタル放送、BS放送などに関わる中で、これからはインターネットや動画配信の時代が到来すると確信するようになりましたね。しかし当時の上層部の中には、「インターネットの勢力が増せばテレビ局自体が危うくなる。だからネット事業に力を入れるな」という考えも聞こえてきましたね。

鈴木:テクノロジの新たな波を許容しない、認めたくない。そう考える人がいたわけですね。

森川:さらにその後、「もっと面白いことをしたい」と思うようになってソニーに転職しました。当時はガラケーにカメラさえ搭載されていない時代。そんなときに現在のスマートフォンのような端末を企画し、プロジェクトリーダーを担当することになりました。しかしソニーは端末用の自社OSがなく、「OSを開発してくれないか」と言われ、OS担当にもなりましたね。そんな中、ブロードバンド事業を立ち上げる話があり、その立ち上げに参画することになりました。当時の日本のブロードバンド導入世帯はわずか20万世帯。そんな状況下で動画配信を専門とする会社を設立することになったのです。やはり時期尚早という感が否めませんでしたね。ただ、韓国ドラマを有料配信したところヒットしたんです。そこで、配信に向く韓国ドラマを探そうと韓国のITサービスを調べたところ、現地では動画よりオンラインゲームが人気でした。「動画よりゲームが先に人気になる」と思い、ハンゲームジャパン(現:LINE)に転職することにしたのです。2003年のことですね。

鈴木:なるほど。ここでLINEに携わることになるわけですね。

森川:はい。ハンゲームジャパンに入社したころは「Yahoo! BB」のサービスがまさに導入され始めた時期で、オンラインゲームが急成長していきました。入社当時の売上高は一桁億円でしたが、わずか3年で数十億円まで急成長しましたね。その後、代表取締役社長に就任し、韓国のインターネットサービス「NAVER」を日本で展開したり、ライブドアがグループ入りしたりと攻勢に転じました。そんな中、2011年に東日本大震災が発生。これを機に開発すべきと持ち上がったのが「LINE」でした。結果としてLINEがヒットし、当時の売上高数百億円からLINEを提供開始後には売上高1000億円まで成長することになったのです。

その後、「50歳を前にこれからの人生をどうしよう」と考えるようになりました。LINEは外資系企業だったのに加え、当時は日韓問題が複雑化し、日本のためになる事業を打ち出しにくい側面もありました。残りの人生は日本のためと考えるようになり、C Channelを立ち上げることにしました。

鈴木:ここまで振り返ると波乱万丈ですね。

森川:そうですね(笑)。振り返ると、どの局面でもテクノロジが関わっていたなと思います。デジタルを機に何もかもが変わっていった。そう感じますね。

5万人のインフルエンサーを要し2カ国でメディアを展開

鈴木:森川社長はC Channelの従業員をどう育成しようと考えていますか。

森川:大それた結果や取り組みは期待しません。むしろ当たり前のことをしっかりできるようになる。これがファーストステップですね。その次は、それらをどれだけ早く数多くこなせるようになるか。この積み重ねが重要だと思います。以前は結果にこだわった育成方針を打ち出していました。しかし、結果って運に左右されますよね。それなのに結果だけを追い求めると、従業員も直属の上司もストレスが溜まるだけかなと思います。「できることをきちんとこなす」。人材育成ではこの基本的な方針が何より大切だと考えます。

鈴木:御社は「人と技術の力で 笑顔を作り 世界を元気にする」というミッションを掲げています。ここで使われている「人と技術の力」の意味を教えてください。

森川:IT企業って技術さえあれば何でもできると思いがちですよね。しかし、本当に大切なのは「人」です。人がいることで初めて技術も活かせるようになるのです。何を人が担い、技術がどこまでを担うのか。双方の役どころを正しく設計することが力を発揮させるには必要だと考えます。人と技術を調和することで世界や社会が豊かになると考えます。

鈴木:森川社長はこれまで、新たな取り組みや施策を次々と打ち出してこられました。しかし日本の経営者に目を向けると、イノベーションを本気で起こそうとする意識が低いと感じます。新たな事業を創出せねばと危機感を募らせるものの、日本企業が積極的にイノベーションを起こそうとしているとは思えません。こうした現状をどう思いますか。

森川:言葉を選ばずに言うと、新しいことに取り組もうとする人が迫害される社会。そんな風潮さえ感じます。一方、失敗をしたくない、傷つきたくない、そう考える人も増えていますね。こうした閉塞感がイノベーションに真剣に向き合おうとしない要因となっているのではないでしょうか。

鈴木:失敗なしに成功はありえません。成功させるにはどれだけ失敗したかが大事だと思いますね。

森川:その通りです。私も数多くの失敗を積み重ねてきました。だからこそ、得られたことも多いと思います。初めから成功する人なんていません。失敗を恐れずに挑戦すべき。周囲も新たな取り組みを許容すべき。こうした姿勢と風土がイノベーションには欠かせませんね。

鈴木:最後に、次代を担う若い世代に向けてメッセージをいただけますか。

森川:先のことは誰にも分かりません。だからといって尻込みしたままでよいのでしょうか。分からないことを恐れるのではなく、分からないからこそチャンスがある。こう汲み取ってほしいですね。さらに、分からないということは自分で何でも創り出せるとも言えます。その可能性を自らの力で手繰り寄せてほしい。そう願います。

鈴木:本日は森川社長の楽しい生い立ちからC Channelのビジネスモデルまで教えていただき、ありがとうございました。

森川:こちらこそ貴重な時間をいただき、ありがとうございました。

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