ECプラットフォームとともにフルフィルメント業務向けの支援サービスを提供するSCSKプレッシェンド。EC市場を取り巻く環境が刻々と変わる中、顧客に対してどんな価値を提供するのか。顧客のEC事業をどのように成功へと導くのか。SCSKプレッシェンド 上席執行役員の桑原良和氏に話を聞きました。(聞き手:DXマガジン総編集長 鈴木康弘)
鈴木:SCSKプレッシェンドとはどんな会社なのでしょうか。現在の事業を始められた経緯、事業内容を教えてください。
桑原:2007年に創業した当社は、システム会社のCSKと、F1層(20歳から34歳の女性)向けのファッションやグッズを手掛けるECモールを運営していた会社の合弁企業としてスタートしました。手掛けていたECモールの事業基盤をサービス化し、ファッション業界の顧客を中心にECシステムやフルフィルメント業務を支援する事業を展開してきました。 SaaS型のECプラットフォームと物流、カスタマーサービス、商品撮影・原稿作成などのシェアード型の業務サービスを提供しています。システムだけの提供もありますし、当社が顧客の商品を預かり在庫管理業務まで代行する、すべてのシステムから業務まで含めてご提供するなどさまざまなケースがあります。顧客のニーズや状況に合わせたサービスを提供しています。
桑原:2007年に創業した当社は、システム会社のCSKと、F1層(20歳から34歳の女性)向けのファッションやグッズを手掛けるECモールを運営していた会社の合弁企業としてスタートしました。手掛けていたECモールの事業基盤をサービス化し、ファッション業界の顧客を中心にECシステムやフルフィルメント業務を支援する事業を展開してきました。 SaaS型のECプラットフォームと物流、カスタマーサービス、商品撮影・原稿作成などのシェアード型の業務サービスを提供しています。システムだけの提供もありますし、当社が顧客の商品を預かり在庫管理業務まで代行する、すべてのシステムから業務まで含めてご提供するなどさまざまなケースがあります。顧客のニーズや状況に合わせたサービスを提供しています。
鈴木:EC事業に注力したい多くの企業が、在庫管理などの物流業務までなかなか手が回りません。EC事業を拡大させたい企業にとってバックヤード業務をアウトソースできるのはとても助かりますね。実業務に関わることで蓄積されるノウハウは、他のシステム会社が持ちえない御社ならではの強みだと思います。
桑原:ありがとうございます。当社がサービスを外販し出した2009年当時、「ECを始めるけど何をすればいい?」といった顧客からの相談が少なくありませんでした。そこで、ECを取り巻く業務を一気通貫で支援できるようにしたのが始まりです。その後、時代の変遷とともにサービスをブラッシュアップし、変化する顧客ニーズに追随するサービス群を整備し続けています。 例えば、B2B向けの在庫とEC在庫を自社の倉庫で一括管理したいが、適切な運営管理ができないというような顧客には、統合物流業務のコンサルティングや運営上必要となるWMSを提供することもあります。我々がサービスを提供するためのノウハウや仕組みそのものを顧客内部で利用いただくようなケースとなります。 また、運用業務支援においても、バックオフィス業務中心から売上を最大化するための業務までカバーし、より包括的に支援できる体制へと切り替えてきました。
鈴木:現在も顧客の多くがファッション業界なのでしょうか。どんな企業が御社のサービスを利用していますか。
桑原:最近はファッション業界以外にも、雑貨やキャラクター商品など、さまざまな業界でご利用いただいています。企業規模としては大手が多いですが、大手で培った経験やノウハウをモデル化して利用しやすいテンプレートを用意しており、ECを活用した事業変革、事業課題の解決等が必要なケースにおいては、比較的小さな規模のお客様でもご採用いただくケースが増えています。
鈴木:EC市場と言えば、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたと思います。コロナ前と現在で、御社への相談内容に変化は見られますか。
桑原:ありがとうございます。当社がサービスを外販し出した2009年当時、「ECを始めるけど何をすればいい?」といった顧客からの相談が少なくありませんでした。そこで、ECを取り巻く業務を一気通貫で支援できるようにしたのが始まりです。その後、時代の変遷とともにサービスをブラッシュアップし、変化する顧客ニーズに追随するサービス群を整備し続けています。 例えば、B2B向けの在庫とEC在庫を自社の倉庫で一括管理したいが、適切な運営管理ができないというような顧客には、統合物流業務のコンサルティングや運営上必要となるWMSを提供することもあります。我々がサービスを提供するためのノウハウや仕組みそのものを顧客内部で利用いただくようなケースとなります。 また、運用業務支援においても、バックオフィス業務中心から売上を最大化するための業務までカバーし、より包括的に支援できる体制へと切り替えてきました。
鈴木:現在も顧客の多くがファッション業界なのでしょうか。どんな企業が御社のサービスを利用していますか。
桑原:最近はファッション業界以外にも、雑貨やキャラクター商品など、さまざまな業界でご利用いただいています。企業規模としては大手が多いですが、大手で培った経験やノウハウをモデル化して利用しやすいテンプレートを用意しており、ECを活用した事業変革、事業課題の解決等が必要なケースにおいては、比較的小さな規模のお客様でもご採用いただくケースが増えています。
鈴木:EC市場と言えば、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたと思います。コロナ前と現在で、御社への相談内容に変化は見られますか。
桑原:店舗の売上増加を見込めない中、自社商品をECサイトに集中投下させる動きが加速しました。しかし、在庫は店舗をはじめ各所に分散しているし、ECサイト向けの効果的な販売施策も分からない。こうした課題が顕在化するようになったのです。比較的限定的だった当社への相談内容は一転し、コロナ禍ではいろいろな相談を受けるようになりましたね。 一方、コロナがようやく落ち着きつつある中、お客様が店舗に戻り始めています。そこで、店舗での販売をECでどうサポートするか、ECとして何ができるのかを考える企業が増えています。店舗とECによる相乗効果を模索する企業が増えたと感じます。
鈴木:オンラインとオフラインの融合を意味する「OMO(Online Merges with Offline)」がいよいよ現実味を帯びてきたと言えますね。店舗かECかを問わず、全社として売上をどう最大化するかという考え方が広がっていくと感じます。こうした企業に対し、御社はどんな支援を心掛けているのでしょうか。
桑原:当社として、OMOの推進には注力しています。当社の主力サービスであるSaaS型ECプラットフォーム「F.ACE」では、店舗を含めた会員情報や在庫情報を統合管理できるようにしており、ECからも店舗からもその情報を活用したサービスが実現できる機能を提供しています。例えば、EC上で店舗の在庫を表示しお客様が取り置きの予約をする機能や店舗で在庫がない場合にECの在庫を販売する機能、ECで店舗の在庫を販売する機能などです。 また、ECサイトで店舗スタッフがコーディネートなどの情報を発信することについては一般化していますが、そのスタッフと直接つながってオンライン接客を受けられるソリューション「Salesfloor」の取り扱いも実施しています。Salesfloorは北米中心にMacy’sなどの百貨店でも活用されている仕組みであり、オンラインがさらに普及していく中で国内においても活用が広がっていくものと考えています。 その他、統合在庫管理や店舗を含めてすべてのお問い合わせを受け付けするカスタマーサービスなどの事例もあります。
鈴木:顧客の中にはOMOやオムニチャネルなどの言葉を理解するものの、これらをITでどう実現するのかが分からないというケースが多いのではないでしょうか。また、実現するには様々な仕組みをインテグレーションする必要がありハードルも高いと思われますが、御社はどう支援すべきと考えますか。
桑原:当社が提供するF.ACEは、標準的なOMO機能が予め具備されており、従来の店舗を中心とした仕組みに合わせてカスタマイズするのでなく、ECをベースとした仕組みを拡張して店舗からも利用できるような考え方で実装されています。これにより、高度なOMOを短い期間でコストを抑えて実現することが可能です。 導入構築に際してはOMO機能を利用した業務フローなども整理されているため、スムーズにプロジェクトを進めて行くことが可能です。顧客の要件や状況を理解した上で、顧客内部の仕組みや利用すべき外部サービスなどを含めた構築支援を実施しています。
鈴木:とても心強いですね。ITシステムは導入することより、運用して使いこなすことの方が大事ですものね。そのための支援や配慮が御社ならではの強みではと感じます。
桑原:我々のビジネスは、ソリューションの提供だけではなく、それを活用して顧客が課題を解決していただくことです。仕組みを構築するのはある意味スタート地点であり、そこから先、お客様が新しい仕組みを利用してどのようにビジネスを成長させられるかが一番重要なポイントだと考えています。 当社はSaaS型ECプラットフォームを提供していますが、レベニューシェア型のビジネスモデルを採用します。もしくはトランザクションに応じたサービスフィーをいただくビジネスモデルとなっています。つまり、顧客の成功が当社の成長を支えているのです。そのため、導入後の顧客向けに日々の運用の最適化はもちろん、お客様の改善活動や事業変革を支援する専門チームを設置しています。 当社ではこれまで、さまざまな顧客のEC事業を支援してきました。そこには先進的な取り組みも多く、こうしたノウハウを社内に蓄積しています。専門チームではこれまでの実績に基づくノウハウや知見を活用し、顧客と伴走しながら課題解決に取り組んでいます。消費者をどう呼び込むか、コンバージョンさせるのか、業務プロセスをどう効率化するなどの視点で顧客と一緒に取り組むのが当社の役割だと考えます。
鈴木:顧客と一緒に課題解決を試みる取り組み、とても素晴らしいと思います。EC事業強化の一環で、グローバル展開を視野に入れる企業もあるのではないでしょうか。こうした企業も支援されるのでしょうか。
桑原:はい。グローバル展開を視野に入れる企業は少なくありません。これまでも外部のサービスを組み込んでサイトを多言語に翻訳し越境型で販売をすることなどは順次対応してきました。しかしながら、より本格的に展開する上では販売先の地域に合わせたサイト、コンテンツ、商品展開、マーケティングなどをなくして大きな拡大は望めません。国内で培ってきた顧客の事業成長に寄り添って伴走していくサービスをグローバルパートナーと連携しながら準備しており、近い将来にご案内できるかと思います。
鈴木:SCSKプレッシェンドとして今度、顧客にどんな新たな価値を提供していきたいと考えますか。
桑原:顧客と話す中で、当社に求められているのは優れたECプラットフォームをただ提供することではないと感じています。むしろ、これからの変化に対し、一緒に取り組んで乗り越えていくパートナーとしての役割こそ求められているのではと感じます。顧客が目指す目標を共有し、伴走して成果を共有していくこのモデルを磨き、より踏み込んだ顧客との関係性も探って参ります。 また、我々のサービスをこれからの環境変化に対応したものとしていくことも必要だと考えています。サービスサステナビリティやダイバシティなどの観点で顧客に寄与するサービスについても取り組んで参ります。
鈴木:貴重なご意見、大変参考になりました。本日はどうもありがとうございました。
桑原:こちらこそありがとうございました。
鈴木:オンラインとオフラインの融合を意味する「OMO(Online Merges with Offline)」がいよいよ現実味を帯びてきたと言えますね。店舗かECかを問わず、全社として売上をどう最大化するかという考え方が広がっていくと感じます。こうした企業に対し、御社はどんな支援を心掛けているのでしょうか。
桑原:当社として、OMOの推進には注力しています。当社の主力サービスであるSaaS型ECプラットフォーム「F.ACE」では、店舗を含めた会員情報や在庫情報を統合管理できるようにしており、ECからも店舗からもその情報を活用したサービスが実現できる機能を提供しています。例えば、EC上で店舗の在庫を表示しお客様が取り置きの予約をする機能や店舗で在庫がない場合にECの在庫を販売する機能、ECで店舗の在庫を販売する機能などです。 また、ECサイトで店舗スタッフがコーディネートなどの情報を発信することについては一般化していますが、そのスタッフと直接つながってオンライン接客を受けられるソリューション「Salesfloor」の取り扱いも実施しています。Salesfloorは北米中心にMacy’sなどの百貨店でも活用されている仕組みであり、オンラインがさらに普及していく中で国内においても活用が広がっていくものと考えています。 その他、統合在庫管理や店舗を含めてすべてのお問い合わせを受け付けするカスタマーサービスなどの事例もあります。
鈴木:顧客の中にはOMOやオムニチャネルなどの言葉を理解するものの、これらをITでどう実現するのかが分からないというケースが多いのではないでしょうか。また、実現するには様々な仕組みをインテグレーションする必要がありハードルも高いと思われますが、御社はどう支援すべきと考えますか。
桑原:当社が提供するF.ACEは、標準的なOMO機能が予め具備されており、従来の店舗を中心とした仕組みに合わせてカスタマイズするのでなく、ECをベースとした仕組みを拡張して店舗からも利用できるような考え方で実装されています。これにより、高度なOMOを短い期間でコストを抑えて実現することが可能です。 導入構築に際してはOMO機能を利用した業務フローなども整理されているため、スムーズにプロジェクトを進めて行くことが可能です。顧客の要件や状況を理解した上で、顧客内部の仕組みや利用すべき外部サービスなどを含めた構築支援を実施しています。
鈴木:とても心強いですね。ITシステムは導入することより、運用して使いこなすことの方が大事ですものね。そのための支援や配慮が御社ならではの強みではと感じます。
桑原:我々のビジネスは、ソリューションの提供だけではなく、それを活用して顧客が課題を解決していただくことです。仕組みを構築するのはある意味スタート地点であり、そこから先、お客様が新しい仕組みを利用してどのようにビジネスを成長させられるかが一番重要なポイントだと考えています。 当社はSaaS型ECプラットフォームを提供していますが、レベニューシェア型のビジネスモデルを採用します。もしくはトランザクションに応じたサービスフィーをいただくビジネスモデルとなっています。つまり、顧客の成功が当社の成長を支えているのです。そのため、導入後の顧客向けに日々の運用の最適化はもちろん、お客様の改善活動や事業変革を支援する専門チームを設置しています。 当社ではこれまで、さまざまな顧客のEC事業を支援してきました。そこには先進的な取り組みも多く、こうしたノウハウを社内に蓄積しています。専門チームではこれまでの実績に基づくノウハウや知見を活用し、顧客と伴走しながら課題解決に取り組んでいます。消費者をどう呼び込むか、コンバージョンさせるのか、業務プロセスをどう効率化するなどの視点で顧客と一緒に取り組むのが当社の役割だと考えます。
鈴木:顧客と一緒に課題解決を試みる取り組み、とても素晴らしいと思います。EC事業強化の一環で、グローバル展開を視野に入れる企業もあるのではないでしょうか。こうした企業も支援されるのでしょうか。
桑原:はい。グローバル展開を視野に入れる企業は少なくありません。これまでも外部のサービスを組み込んでサイトを多言語に翻訳し越境型で販売をすることなどは順次対応してきました。しかしながら、より本格的に展開する上では販売先の地域に合わせたサイト、コンテンツ、商品展開、マーケティングなどをなくして大きな拡大は望めません。国内で培ってきた顧客の事業成長に寄り添って伴走していくサービスをグローバルパートナーと連携しながら準備しており、近い将来にご案内できるかと思います。
鈴木:SCSKプレッシェンドとして今度、顧客にどんな新たな価値を提供していきたいと考えますか。
桑原:顧客と話す中で、当社に求められているのは優れたECプラットフォームをただ提供することではないと感じています。むしろ、これからの変化に対し、一緒に取り組んで乗り越えていくパートナーとしての役割こそ求められているのではと感じます。顧客が目指す目標を共有し、伴走して成果を共有していくこのモデルを磨き、より踏み込んだ顧客との関係性も探って参ります。 また、我々のサービスをこれからの環境変化に対応したものとしていくことも必要だと考えています。サービスサステナビリティやダイバシティなどの観点で顧客に寄与するサービスについても取り組んで参ります。
鈴木:貴重なご意見、大変参考になりました。本日はどうもありがとうございました。
桑原:こちらこそありがとうございました。
SCSKプレッシェンド株式会社
https://www.presc.jp/
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上席執行役員 桑原良和氏