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インタビュー

2022.01.25

【特別対談:杉原剛×鈴木康弘】データ活用を自走化し、データを使い倒すカルチャーを醸成せよ

広告運用のインハウス化やBIシステムの導入支援などを手掛けるアタラ。データの必要性が叫ばれる中、アタラでは企業のデータ活用をどう支援しているのか。全従業員がデータを活用するには何が必要だと考えているのか。企業が抱える課題とBI システム導入の効果について、アタラ CEOの杉原剛氏に聞きました。(聞き手:DXマガジン総編集長 鈴木康弘)

システムを自ら使い倒す“自走化”を支援

鈴木:まずはアタラさんが何をしている会社なのか。自己紹介をお願いします。

杉原:当社は2009年に設立し、今年で14期目を迎える会社です。主な事業は企業のマーケティングやデータ活用の支援で、具体的にはGoogle広告、Facebook広告などの運用型広告の最適化を図ったり、BIシステムの導入を支援したりしています。そのほか、広告レポート作成の自動化やマーケティング向けシステムの開発、Googleアナリティクスの設定や導入の支援なども手掛けています。50人ほどの会社ですが、いかにスピード感を持ってこれらの環境を構築するか。こんな目標のもと、企業のDXを支援しています。

鈴木:なぜアタラを設立したのか。杉原さんの経歴を含めて教えていただけますか。

杉原:私はもともと、通信会社に勤務していましたが、転職を機にネット広告やデジタルマーケティングに携わるようになりました。今で言うYahoo!広告やGoogle広告がちょうど台頭し出した頃ですね。そのとき、営業戦略担当としてさまざまなネット広告に関するプロジェクトに参加していました。このときの多くの経験から、顧客のデジタルマーケティングを支援できないかと考えるようになり、設立したのがアタラです。

 もっとも、私は技術者ではないのでコーディングなどのスキルを持ち合わせていません。ただし技術にはとても関心があります。そのため、営業やマーケティング担当者と技術者の間に入る立ち位置で、双方の課題解決に乗り出す機会が多かった。私のこんな立ち位置が、アタラの事業に受け継がれているのかもしれません。
写真:アタラ CEO 杉原剛氏

写真:アタラ CEO 杉原剛氏

鈴木:営業やマーケティング担当者は先端技術に疎いことが多い。一方、情報システム部門担当者は先端技術やプログラムに精通していてもマーケティング的な視点を持てず、細かな業務には踏み込めない。こうした両者の橋渡しを担える人って少ないですよね。杉原さんに限らず、御社のスタッフはこうした役割を担っているのでしょうか。

杉原:当社のスタッフは職人気質な人が多いですね。Google広告やFacebook広告、CRM、ダッシュボードなど、各分野のスペシャリストが多数いるので、そうした橋渡し的な役割を担うことが多いです。それぞれの得意分野で独り立ちできるスキルや知見を持ち、カンファレンスで講演したりメディアに取り上げられたりする人もいます。当社のスタッフは皆、こうしたスペシャリストになることを視野に入れていますね。志の高いメンバーが結集していると自負します。

鈴木:御社に相談する企業にとっては心強いですね。御社に依頼すれば、職人気質なスタッフ指導のもと、マーケティングやデータ活用環境をスピーディに構築できるということですね。

杉原:もちろん、環境構築を最大限バックアップします。しかし、当社が何より大切にしているのは、クライアントである顧客の「自走化」です。構築・運用実績が多数ある当社に頼めばシステムを短期間で構築できる、そう考えて相談してくる企業は少なくないでしょう。しかし、当社がゼロから構築・運用までのすべてを担当するのは、必ずしも顧客のためにはなりません。システム構築で大切なのは、導入したシステムを自分たちで使いこなせるかどうかです。そこで最初は私たちが積極的に関わって構築、運用しますが、徐々に顧客にバトンタッチしていきます。最後には当社が関わらずとも、デジタルマーケティングやデータ活用、さらには戦略立案も含めて自らできるようになる。そんな最終形を念頭に置いて支援しています。

鈴木:最近はユーザー企業と言えども、社内でシステムを開発するケースが増えていますね。「内製化(インハウス化)」という言葉も当たり前になりつつあります。御社が打ち出す「自走化」の重要性はさらに増していくでしょう。自走化を前提とした構築・運用支援。非常に重要な視点だと思います。

社内が活性化するカルチャーを育む

鈴木:御社では企業のデータ活用を支援するのが事業の柱の1つになっていますよね。いろいろな企業の相談に乗っていると思いますが、データをなかなか活用できないと苦労されている企業は、どんな課題を抱えていますか。

杉原:例えば広告業界に限って言うなら、データの分析結果をスピーディに活かせないといった問題があります。キャンペーン実施による効果をすぐに把握できるはずなのに、クライアントに対して月に一度、効果を報告しているだけのケースがあります。効果を迅速に把握し、次回のキャンペーン施策に活かしてPDCAを回すべきですだが、なかなか実施できない企業が多いですね。

 広告代理店がクライアントに効果を報告する際、使うレポート作成に時間がかかってしまうのも問題です。キャンペーンを実施した顧客に提出するレポートに載せるデータを、あちこちのツールやサービス、資料などから寄せ集めるケースは少なくありません。そのためレポート作成作業に時間がかかり、顧客への新たな提案を考える時間を割きにくい。ネット広告では効果を確認するのにさまざまな指標を参照する。それらを集めるだけで手いっぱいなんて広告代理店も珍しくないのです。

鈴木:データに基づく意思決定の遅れは、次回キャンペーンの成否に影響しかねない。御社の言う「スピード感」がデータを活用する上では重要になるわけですね。

杉原:データが部門ごとにサイロ化している問題もあります。データを効果的に活用するには、各部署が保有するデータ同士を掛け合わせるべきだと考えています。にもかかわらず、例えばマーケティング部門はマーケティングデータしか見ていないという企業が少なくないです。データが散在し、どこにどんなデータがあるのかを把握できずにいる企業も多いですね。

鈴木:データを活用しやすくするため、データはどんな姿で保管、運用されるべきだと思いますか。

杉原:社内に保有するすべてのデータが分析対象になる環境が望ましいですね。もちろん、正誤の怪しいものや重複するデータなどは除くべきだと思いますが。さらには社内のみならず社外データを積極的に取得し、社内外のデータを使って意思決定できる経営体制も望ましい姿ですね。

 こうした環境を構築できれば、社内のメンバーが自社の課題を共有しやすくなります。課題解決に向けたコミュニケーションも増えるでしょう。メンバー同士が自発的に議論し、具体的なアイデアも創出しやすくなるでしょう。このように社内が活性化するカルチャーを醸成することこそ重要だと思います。多くの経営者がこんな姿を望み、多くの企業がこうしたカルチャーを育めるポテンシャルを秘めていると思います。

鈴木:そのためにはすべての従業員が必要なデータにアクセスできる“データの民主化”こそ重要です。例えばマーケティング施策の結果を担当者自身が振り返って次回の施策につなげられるようにする。こうした環境づくりこそ徹底すべきだと思います。

杉原:当社ではBIシステムを活用し、企業の“データの民主化”を支援しています。BIシステムは経営層やデータサイエンティストなどの一部が使うのではなく、すべての従業員が使うべきだと考えます。先ほどの「自走化」や「内製化」の話題と重複しますが、これからは各業務部門の担当者がデータを活用すべきです。こうした環境を、BIシステム を軸に構築するのが当社の役割ですね。

50以上のSaaSと連携するDomo

鈴木:BI システムの中には、扱いにくいものも少なくない。すべての従業員が使いこなすには操作性や簡易性など、従来のB Iシステムにはない仕掛けや特徴が欠かせない。

杉原:当社はデータ分析基盤として、「Domo」というプラットフォームを提供しています。これはBIとしての機能はもとより、データの収集、蓄積、加工などの機能を包含するオールインワンパッケージです。各従業員が必要なデータを呼び出し、ダッシュボードを使って可視化します。すべての従業員がデータを活用することを想定したプラットフォームです。

鈴木:もう少し詳しく教えてください。

杉原:誰でもダッシュボードを容易に作成できるのが特徴です。DomoはさまざまなSaaSと連携するAPIを豊富に備えているのが売りで、各種CRM、freee、Googleスプレッドシート、Sansan、Dropbox、Slackなど、600種類以上のSaaSと連携できます。データベースのほか、エクセルやCSVといった構造化データを使ってダッシュボードを作成します。オンプレミスで運用するERPなどの基幹システムと連携することも可能です。ユーザーは連携するSaaSを選び、参照するデータとデータを取得する頻度を指定しさえすれば、ダッシュボードから最新データを参照できます。なお、DomoのAppStoreには業種別のテンプレートが多数公開されており、それらを使うことで簡単にデータを可視化できます。
図1:Domoを使った広告目標KPIに対する進捗モニタ...

図1:Domoを使った広告目標KPIに対する進捗モニタリング例

 どのデータを取り込むか、どのデータとどのデータを掛け合わせるかなどをノンプログラミングで実行できるのも特徴です。ユーザーはフロー図を描くようにデータの収集、加工の流れを示せばよく、Domoがフローに従って対象データの収集などを実行します。データの兆候から予測を立てることもフロー図から実施できます。

 共有機能も特徴の1つです。Domoはダッシュボードで可視化したデータを取引先などと容易に共有する機能を備えます。共有時に発行されるURLを取引先などに送れば、ダッシュボード画面を外部と共有できます。ダッシュボード画面では最新データが反映されるため、常に最新の分析結果を参照可能です。一度発行したURLをそのまま使え、取引先などと最新データに基づく打ち合わせなどが可能です。

 そのほか、スマートフォン用アプリを使ってダッシュボードを確認したり、RPAのような自動実行ツールを使ってデータの取得から可視化までの作業を簡略化したりすることも可能です。事前設定したしきい値に達したときにアラートを通知するなどの機能も備えます。

鈴木:最近は部署ごとにさまざまなSaaSを利用するようになりました。そのため今後は、データ分析基盤にDomoのような連携機能を備えているかどうかが重要になるでしょう。まさにビジネスユーザーが使うことに特化した仕組みを持つプラットフォームですね。

杉原:ありがとうございます。Domoを使えば、これまで掛け合わせなかったデータを容易に分析できるようになります。さらに分析結果を共有やチャット機能を使って他の社員などに簡単に知らせられます。こうした好循環が自然と生まれれば社内が活気づく、つまりカルチャーが醸成されるのかなと思います。

鈴木:Domoを導入すればカルチャーを醸成できる。

杉原:はい。データは経営戦略や施策に活かすべきですが、企業はデータ活用のその先を見据えるべきです。データ活用が定着すれば社内が活性化し、いろいろな提案や議論が自然と飛び交う。こんなカルチャーを持ち合わせた企業こそ、DXを成功へと進められるのではないでしょうか。

鈴木:実際にDomoを導入し、効果を上げた事例があれば教えてください。

杉原:物流会社の大和物流様は、経営指標とKPIを見える化するのにDomoを使っています。もともと経営に関わるデータが社内に散在し、データを意思決定に役立てられずにいた、業務の指標となるKPIをBIシステムで管理していたが、BIシステムが専門的で扱いにくかったなどの課題を抱えていました。そこで、必要なデータを容易に収集でき、かつデータ分析に詳しくなくても、ビジネスユーザーが気軽にデータを分析できるBIシステム を検討することになりました。その結果、これらの要件を満たすツールとしてDomoを採用しました。

 大和物流では、分析対象となるデータを段階的に増やして利用しています。当初は会計や販売、勤怠、輸配送、利益計画、顧客データが対象で、それらを掛け合わせるなどして使っていました。その後、競合分析に必要なデータや気象データを取り込み、自社保有のデータと掛け合わせる取り組みにも着手しています。天気が輸配送にどう影響するのかなどの気づきを得られるようにしています。

 導入効果は、社内の全従業員が同じデータを見て、同じ方向に向けるという点です。同じ会社の売上なのに、部署や参照データごとに数値が異なるなんてことも起こりません。Domoという共通認識のもとでアクションできるのが導入効果と言えるでしょう。

中堅・中小企業のデータ活用を支援

鈴木:アタラとして今後、どんな点に注力したいと考えていますか。今後の目標や抱負があれば教えてください。

杉原:企業のデータ活用はさらに進み、多くの企業がDXを見据えた取り組みを推進させるでしょう。これまでは大企業中心の取り組みだった気がしますが、2022年以降は中堅・中小企業にもその波が押し寄せると考えます。人手不足を背景に、中堅・中小企業こそITを駆使してデジタル化の波に乗らなければいけません。もちろん、中堅・中小企業の経営者の多くがデジタル化の波に乗らなくてはと理解しているでしょうが、具体的にどうすればよいか分からずに困っている気がします。当社は、こうした企業のデジタルマーケティングやデータ活用を強力に推進したいと考えます。さらには当社が支援せずとも自分たちでデータを使い倒し、さまざまな戦略や施策を回せる組織になってもらいたい。これからもITやデジタルを自走できる会社づくりをお手伝いできればうれしいですね。

鈴木:企業がDXを進める上で「自走」は大事なテーマ。御社の思いが多くの企業に届けば日本のDXは加速しますね。御社の今後の取り組みに、ぜひ期待しています。本日はありがとうございました。

杉原:ありがとうございました。

BIシステム導入支援サイト

https://bi-consulting.atara.co.jp

BIシステム事例集
https://bi-consulting.atara.co.jp/case/

アタラ合同会社ウェブサイト
https://www.atara.co.jp
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