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インタビュー

従業員の働きやすさに目を向け、オムニチャネル化を支える働く環境と人事制度の提案へ~日本オムニチャネル協会 管理分科会リーダーに聞く

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オムニチャネルの振興を主たる事業とする日本オムニチャネル協会。「商品」「売場」「販促」「CS」「物流」「管理」の6つの分科会を活動主体とし、会合を定期的に開催するなどして現場の課題解決に取り組みます。ここでは「管理」分科会のリーダーである大山広倫氏と、前リーダーの林雅也氏に、活動内容や主な課題、今後の取り組みなどを聞きました。

―管理分科会の主なテーマ、活動内容を教えてください。 林:小売・流通業のオムニチャネル化で重視すべきは「顧客」です。ただし、管理分科会にとっては顧客とともに「従業員」が重要だと考えます。オムニチャネル化が進めば、これまでと業務内容が変わります。業務が変われば従業員の働き方も変わるし、各種申請フローなども変わる。管理分科会の対象であるバックヤード業務そのものを見直さなければなりません。このとき、従業員が負荷なく働けるか。管理分科会は、こうした従業員の働き方、満足度に注力しています。  人事や財務、総務などが主となる管理業務は、オムニチャネルとは一見無関係と思われがちです。むしろ、業務部門は「邪魔な存在」と思っているかもしれません。しかし、オムニチャネル化の根幹は「人」であり、推進するのは社内の「従業員」にほかなりません。管理部門として従業員の働き方に積極的に関与し、働きやすい環境を構築することで企業のオムニチャネル戦略を後押しできるのではと考えます。  オムニチャネル戦略を継続的に実施すると、必ず「人」や「コスト」の問題に突き当たります。これらの課題を解消するのが管理部門の役割です。オムニチャネル化を推進する部署と連携し、人やコストの課題解決に取り組む。継続的な施策を支えられるのは管理部門しかないと考えます。  そこで管理分科会では、オムニチャネル化による業務内容や管理内容を見直し、従業員にとって何が変わるのか、何が負荷となるのかから洗い出しています。その結果をもとに、具体的にどんな対策を講じるべきか。どんな組織、人事制度、人事評価を設けるべきかなどを検討しています。
写真:日本オムニチャネル協会 管理分科会 前リーダー ...

写真:日本オムニチャネル協会 管理分科会 前リーダー 林雅也氏

―オムニチャネルを目指すにあたり、分科会ではどんな課題を議論しているのでしょうか。 大山:オムニチャネル化により顧客とのタッチポイントが広がります。そこではタッチポイントごとにITやデジタルが使われ、スタッフもそれらを使いこなすことが求められます。このときの活用スキルをどう習得させるか。これは一例にすぎませんが、多くの企業が従業員育成を課題の1つと捉えています。管理分科会としてこの課題に向き合い、具体策や必要なスキルを考えています。中には店舗担当者にPCを貸与していないケースも見られます。PC操作といった基本的なスキルも含め、まずは従業員のITリテラシー向上に取り組めればと思います。  そのほか、管理部門の既存業務から、取り組むべき課題を洗い出しています。例えば従業員の満足度を上げるための具体的な施策、分科会参加企業が過去に実施した満足度向上策の改善点、評価に用いるKPI、コラボレーション環境の構築などです。個社ごとに考え方や取り組み方は異なるケースがあるものの、具体策をまったく講じられずにいる企業向けに、1つでも施策を例示できればと思います。
写真:日本オムニチャネル協会 管理分科会 リーダー 大...

写真:日本オムニチャネル協会 管理分科会 リーダー 大山広倫氏

―課題に対し、分科会ではどんな解決策を模索していますか? 林:さまざまな解決策が考えられますが、解決手段としてITの活用を模索しています。満足度向上策の実施状況や満足度の推移などをITツールで管理できればと思います。何を管理すべきか、そのためにはどんな機能を備えるべきかなど、具体的な要件の洗い出しから始めています。さらにはオムニチャネル化に伴い、人材の最適な配置方法、従業員のモチベーションのアップ方法、新たなシステム導入時のセキュリティ対策など、多岐にわたって解決策を検討しています。 大山:従業員が社内の必要なデータにアクセスしやすくする「データの民主化」にも取り組むべきと考えます。オムニチャネル化を成功させるためには、ECサイトと実店舗の連携強化が不可欠です。このとき重要なのがデータです。蓄積するデータを分析できるようにするには、どこにどんなデータがあるのかを従業員が把握できなければならない。ECサイトで取得する購買履歴などはもとより、実店舗で取得する来店履歴なども含めて、さまざまなデータを一元管理する情報収集基盤の構築、誰がどのデータにアクセスできるかといった権限の付与、さらには分析結果を可視化するBIなどを考えるべきです。足元を見ると、POSデータの収集すらままならない企業も散見されます。こうした企業向けにも、オムニチャネル時代の情報収集基盤の在り方を提示できればと考えます。 ―管理分科会の今後の予定、目指すべきビジョンを教えてください。 林:管理部門がオムニチャネル化の推進を支える立場であることを周知できればと考えます。現在の管理分科会を見ると、管理部門に属する参加者は必ずしも多くありません。今後は多くの管理部門在籍の人に参加してもらい、自分の関わる仕事がオムニチャネル化に必要な業務だと捉えてくれたらと思います。管理分科会で議論する内容を参加者が自社に持ち帰り、管理部門が陰ながらオムニチャネル化を支えられるようになってくれればうれしいです。 大山:もちろん管理部門以外の参加者も広く集めたいと思います。特にITベンダーの声はできるだけ多く拾えればと考えます。オムニチャネル化によって自社の業務を見直すことになれば、そこで使われるシステムの要件も変わってくる。このとき、どんな要件を望むべきか、機能やそこで使うテクノロジにはどんなものを採用すべきかなど、いろいろなナレッジを分科会で共有してもらえればと考えます。  管理分科会が目指すのは、従業員の働きやすさの創出です。そこには安全管理や福利厚生、健康管理、法務など、さまざまな業務が関わってくるでしょう。オムニチャネル化によってこれらの業務をどう変えるべきか。どんな業務が支障をきたすのかを調べ、管理部門がオムニチャネル推進の障壁ではなく、推進を後押しできるようになれればと考えます。

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