NTTデータはこれまで、以下のような項目について検討を行ってきています。
・マイナンバーカードのICチップを利用した生命保険会社によるマイナンバーの生前収集
・「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の改正を受けた金融機関での手続きのオンライン化の検討
また、コロナ禍における非対面での手続きのニーズの高まりもあります。そこで同社は、オンラインとリアルが融合する社会の実現に向け、2つのeKYC(電子的本人確認)サービスを開発しました。1つはマイナンバーカードを利用する「マイナPocket」サービス、もう1つは「AnserParaSOL」での本人確認サービスです。
これらのeKYCサービスにより、本人確認手続きのスピードアップや事務コスト削減を期待できます。そして利用者は、いつでもどこでも手軽に非対面で手続きを行うことが可能となります。
それぞれのサービスの概要は、以下の通りです。
(1)企業向けスマホアプリ「マイナPocket」
利用者は、マイナンバーカードをスマートフォン(スマホ)にかざしてマイナンバーカードの暗証番号を入力します。それにより、金融機関を含む企業各社は、以下の業務が可能になります。
・利用者の本人確認
・マイナンバー収集
・現況確認/異動検知(電子証明書の失効状態の確認など)
マイナPocketは、2021年10月より提供開始します。
同アプリによる本人確認は、犯罪収益移転防止法に対応しています。そのため金融機関が、口座開設や保険関連などの各種手続きに使うことも可能です。利用企業は、QRコードをWebサイトや案内文書に記載することで、利用者を同サービスへ誘導できます。SDK(ソフトウエア開発キット)が提供されるため、自社のアプリにマイナPocketの機能を組み込むこともできます。
ファーストユーザーとして、第一生命保険が2021年10月から顧客のマイナンバー収集業務に利用します。

図1:マイナPocketによる本人確認・マイナンバー取得フロー
なお今後、同アプリは、本人確認書類を撮影し、券面の顔写真とセルフィーによる犯罪収益移転防止法対応の本人確認にも対応予定とのことです。
(2)金融機関向けAnserParaSOL「本人確認サービス」
利用者がスマートフォンを用いて本人確認書類と自身の容貌を撮影するだけで、金融機関による利用者の本人確認業務ができるサービスです。同サービスは、既に2021年8月よりサービス開始しています。
NTTデータが提供している共同利用型インターネットバンキングサービスの「AnserParaSOL」上で提供します。AnserParaSOLを利用している金融機関は、大きな負担なくサービスを利用できます。また、利用者は、口座開設からすぐに取引開始できるというメリットがあります。
同サービスは、犯罪収益移転防止法に準拠し、「マイナンバーカード、運転免許証、運転経歴証明書、在留カード」といった本人確認書類に対応しています。そのため、幅広い利用が期待できます。NTTデータが提供するアプリバンキングサービス「MyPalleteフルサービス/Lite」から連携することも可能です。
ファーストユーザーとして京都銀行が2021年8月から口座開設業務に利用開始しています。また、西日本シティ銀行は2022年2月の導入を予定しています。

図2:金融機関における口座開設フロー(サービス導入前/サービス導入後)
NTTデータは、非対面取引を行う幅広い企業や金融機関にこれらeKYCサービスの展開を目指します。
今後「マイナPocket」では、以下のような機能の追加を行っていく予定です。
・本人確認書類およびセルフィーの撮影
・照合機能
・マイナポータルAPIを利用した特定健診結果や年金情報の取得機能
・マイナンバーカードを利用した顧客管理への応用機能
また、「AnserParaSOL」では、投信口座開設業務におけるマイナンバー収集・保管といった機能追加を、2021年度内に行う予定です。