伊藤忠商事は2021年2月1日、人工知能(AI)を活用した需要予測と発注最適化ソリューションを導入しました。食品卸のグループ会社である日本アクセスから食品メーカーに商品を発注する際に使用します。伊藤忠商事と日本アクセスはこれを機に、食品のサプライチェーンにおけるDXを本格展開していく考えです。
本ソリューションでは、さまざまなデータをもとに機械学習モデルを構築します。小売の業務データ(在庫・売上・発注)、卸の業務データ(在庫・入出荷・商品毎の発注ロット)に加えて天候データやカレンダー情報をAIに読み込ませ、商品別の推奨発注量を算出します。算出した推奨発注量を既存の発注システムに転送し、各メーカーに最適な商品数を発注できるようにします。
ソリューションを利用することで、各メーカーへの発注業務の簡略化によって担当者の業務負荷が軽減するほか、過剰在庫を解消する効果を見込めます。
via www.itochu.co.jp
同社は日本アクセスと2020年より、小売店の販売データなどを活用した需要予測と発注自動化の実証実験を進めてきました。そこで一定の在庫削減効果と発注業務の効率化を確認したため、対象となる物流拠点を一部の拠点から全国規模に拡大することになりました。
対象となる商品は、一部の顧客向けの飲料や酒、菓子など、約1000種類の常温商品です。ただし今後、対象商品を順次拡大する予定です。顧客やカテゴリも拡大させるほか、原材料の調達などのサプライチェーン全体への適用も視野に入れます。さらに、取引先メーカーの工場の稼働や倉庫の効率化、小売のフードロスや機会ロスの削減を見据えたサービスの提供も目指します。
なお同社は2018年より、DXを推進するための基盤づくりに着手しています。2019年12月にはウイングアーク1stを持分法適用会社化したほか、2020年3月にはDXのコンサルティングに強みを持つAKQA CORPと業務提携契約を締結、2020年11月にはブレインパッドとの資本業務提携を締結してDXの推進体制を整備しています。データ活用による効率化や新規事業創出をうながし、新たな商品・サービスの提供を目指すとしています。