タナベコンサルティングは2022年11月8日、人材の採用や育成制度に関する調査結果を発表しました。全国の経営者・役員・管理職・一般社員197人を対象に、採用や育成の課題、企業が求める人物像などを聞いています。
新卒採用に関する課題を聞いた結果が図1です。
「求める人材からの応募が少ない」が31.9%でもっとも多く、「母集団形成が不十分」(24.1%)と合わせると、56.0%の企業が応募が少ない状況に危機感を抱いていることが分かります。
人材育成に関する課題を聞いた結果が図2です。
今年度に限ると、「教育計画の見直し」と回答した企業が54.3%でもっとも多く、昨年度に比べて8.4%増加しています。2位の「自発的に学ぶ風土づくり」(53.8%)は昨年比で7.6%増加、3位の「OJTのレベルアップ」(46.2%)は昨年比5.1%増加と、上位の回答は3つとも昨年より増加しました。
一方、昨年と比べて減少しているのは、「e-ラーニングの導入」(昨年比-7.1%)、「教育予算の削減」(昨年比-5.5%)、「社内研修のデジタル化」(昨年比-3.5%)でした。デジタル化による課題は昨年から今年にかけて解消されつつあるようです。
今後の人材育成・研修で注力したい取り組みを聞いた結果が図3です。
「社内研修」が48.7%でもっとも多く、「OJT」(42.6%)、「外部研修(リアル受講)」(42.1%)が続きます。外部の研修やeラーニングよりも自社で実施する研修やOJTを重視する傾向が読み取れます。
特に不足している、もしくは強化したいと感じる人材を聞いた結果が図4です。
「マネージャー(管理職)」が63.5%で、昨年より9.9%増加しています。2位は「専門・技術のスペシャリスト人材」(44.2%)、3位は「営業に携わる人材」(30.5%)でした。調査を実施したタナベコンサルティングによると、顧客のニーズが多様化・専門化する中、対応可能なスペシャリスト人材が求められているといいます。
企業はどんな人材を求めているのかを聞いた結果が図5です。
「指示以外のことも自律的に行動できる人材」が57.9%でもっとも高く、昨年を16.3%上回りました。「指示を正確に行動できる人材」(10.7%)を求めている会社の割合が少ないことから、指示の遂行は大前提だと考えられるようになっていると推察されます。
2位は「コミュニケーション力が長けており、良好な関係を構築できる人材」(49.2%)、3位は「チームワークを尊重できる人材」(37.6%)でした。企業は組織・チームを意識し、社員同士で協力し合って働ける人材を求めていることが読み取れます。
人事制度の課題について聞いた結果が図6です。
結果は、昨年同様「評価制度」(53.8%)がもっとも高くなりました。「賃金制度」(40.6%)や「経営戦略との連動」(28.9%)が続きます。タナベコンサルティングによると、人材の定着には人事制度(HRポリシー・等級制度・評価制度・賃金制度)が経営戦略と連動しているかの見直しが急務だと指摘します。今後は、採用活動だけではなく、入社後のサポート体制の構築まで、一連の流れを意識した戦略的な採用が求められると分析します。
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