SNSでは、猫型配膳ロボットにまつわる真偽不明の逸話がいくつか拡散されています。
『食器の片付けが終わっていないのに帰り始めてしまい、店員さんに「バカ!まだだってば、んもー!」とスイッチのある頭を叩かれていた』だとか、『「もうダメにゃん…充電足りないにゃん……」と言ってたかと思えば、しばらくして「充電してにゃああああ!」と叫び出した』などなどです。
こんなエピソードも広まるほど、見かけることが増えた猫型配膳ロボット。「ルンバ」の上に配膳棚を搭載したような形状ですが、上部の耳とディスプレイに描かれた顔で猫を模しているのが特徴です。
猫型配膳ロボットで普及が進むのが「BellaBot」。中国深センのAIスタートアップであるPudu Technologyが開発したロボットです。
BellaBotには、かわいい見た目によらず、高度な機能を搭載しています。
たとえば、3D障害物回避センサー。混雑する店内でも、人やモノにぶつからずに移動します。また、トレー部分には、赤外線センサーを配置。料理の有無を感知します。さらに、20台までの連携運転も可能としています。
世界中で普及するBellaBot。2021年のPudu Technology社の記事によると、中国市場での販売台数は累積1万台を突破。2021年の海外販売は1万台以上になる見通しと記されています。
日本では2,300もの店舗で3,250台が導入されていると、提携するDFA Roboticsが2023年1月に発表しています。
さらに、2023年3月には、千葉県富津市の食事処「漁師料理 かなや」にて、国内最多となる10台のBellaBotが稼働していることが公表されました。
求人を出しても応募が来ない状況が続いていたというこの料理店。450席もある広い店内は、従業員の労働負荷が高い状況でした。
そこで、社長が「BellaBot」8台の導入を決定。ロボット8台の稼働で、多い時には1週間で合計3,319食を配膳し、人による配膳は5割以上を減ったといいます。
「かなや」では、さらに、その後の店舗改修を機に、2023年3月には2台を追加導入。報道関係者向けにお披露目会も実施されました。
コロナウイルスや人手不足の影響により、需要が高まるBellaBot。今後は飲食店にかぎらず、商業施設や医療機関などでも見かける機会が増えそうです。