調査・リサーチ

    2022.07.12

    総務担当の約9割が“リスキリングは必要”、実施している企業は3割未満

    総務専門誌「月刊総務」を発行する月刊総務は2022年7月5日、「リスキリング」(学び直し)に関する調査を実施した結果を発表しました。企業がリスキリングに取り組む理由、実施の課題などが調査されました。

     今回の「リスキリングに関する調査」は、全国の総務担当者を対象に実施され、157名から回答を得ています。調査概要は、以下の通りです。

    ・調査名称:リスキリングに関する調査
    ・調査機関:自社調査
    ・調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
    ・調査方法:Webアンケート
    ・調査期間:2022年6月15日〜2022年6月21日
    ・有効回答数:157件

     調査結果の概要として、以下のような項目が挙げられています。

    ●約9割がリスキリングの必要性を感じているが、実際に取り組んでいる企業は3割未満
    ●「リスキリング」に取り組む理由と、取り組んでいない理由
    ●リスキリングに取り組んでいる企業で、教育プログラムを用意できているのは約3割、8割以上が進捗管理をしていない
    ●リスキリングの1人あたりの年間予算は「1万円未満」が最多


     以下に、それぞれの調査結果の詳細を説明します。

    ●約9割がリスキリングの必要性を感じているが、実際に取り組んでいる企業は3割未満
     最初に、「リスキリングとは何か」知っているかをたずねました。その結果、以下のようになりました。

    ・「よく理解している」:14.6%
    ・「なんとなく理解している」:36.3%

     上記を合わせて約半数(50.9%)が、リスキリングを理解していることが分かりました。
    図1:「リスキリングとはなにか知っていますか」/「月刊...

    図1:「リスキリングとはなにか知っていますか」/「月刊総務」調べ

     次に、「リスキリングの必要性を感じているか」をたずねました。その結果は、以下のようになりました。

    ・「とても必要」:50.3%
    ・「やや必要」:36.3%

     上記を合わせて約9割(86.6%)が、必要性を感じているという結果になりました。
    図2:「リスキリングの必要性を感じていますか」/「月刊...

    図2:「リスキリングの必要性を感じていますか」/「月刊総務」調べ

     「必要だと思う理由」と「必要ないと思う理由」をそれぞれ答えてもらった結果は、以下のようになりました。
    <必要だと思う理由 / 一部抜粋>
    ・時代の変化、技術の進歩に伴い知識を得る必要性を感じてはいるものの、日々の業務上では中々そのような機会が得られず、より自発的に活動する必要があると感じている
    ・急激な環境変化で働き方が大きく変わってきており、社員の底上げが必要と感じているので
    ・職種によって、従来の知識や技術では仕事が無くなってきており、新しい分野への職域拡大が必要となるため
    ・メンバーシップ型からジョブ型への移行が必要と感じるため
    ・60歳以降も長くイキイキと働くため
    ・ITリテラシーに不安のあるメンバーが一定数存在することが、ITサービスの導入やデータ活用を円滑に進めることへのハードルとなっている側面があるため
    <必要ないと思う理由 / 一部抜粋>
    ・経営側と雇用される側の意識が異なる
    ・デジタルスキルやテクニックに関しての情報収集スキームを自分自身で獲得すればよいと思うため
     また、会社でリスキリングに取り組んでいるかも聞きました。その結果は、以下のようになりました。

    ・「とても取り組んでいる」:2.5%
    ・「やや取り組んでいる」:24.2%
    ・「全く取り組んでいない」:73.2%
    図3:「あなたの企業ではリスキリングに取り組んでいます...

    図3:「あなたの企業ではリスキリングに取り組んでいますか」/「月刊総務」調べ

     実際にリスキリングに取り組んでいる企業は3割に満たない(26.7%)ことが分かりました。

    ●「リスキリング」に取り組む理由と、取り組んでいない理由
     次に、リスキリングに取り組んでいる企業を対象に、リスキリングに「取り組む理由」をたずねました。その結果、以下が上位の回答となりました。

    ・「業務効率化のため」:76.2%
    ・「デジタルリテラシーを底上げするため」:52.4%
    ・「イノベーションを起こすため」:52.4%
    図4:「リスキリングに取り組む理由を教えてください」/...

    図4:「リスキリングに取り組む理由を教えてください」/「月刊総務」調べ

     リスキリングに取り組んでいない企業には、リスキリングに「取り組んでいない理由」をたずねました。その結果、以下が上位の回答となりました。

    ・「何をすればよいかわからないから」:44.3%
    ・「実施するためのスキルやノウハウがないから」:41.7%
    ・「経営陣の理解がないから」:33.9%
    図5:「リスキリングに取り組んでいない理由を教えてくだ...

    図5:「リスキリングに取り組んでいない理由を教えてください」/「月刊総務」調べ

    ●リスキリングに取り組んでいる企業で、教育プログラムを用意できているのは約3割、8割以上が進捗管理をしていない
     以降の調査は、「リスキリングに取り組んでいる企業」(n=42)を対象に行われました。まず、リスキリングの教育メニューはどのように決めているかをたずねました。その結果は、以下のようになりました。

    ・「会社が教育プログラムを用意している」:31.0%
    ・「社員自身が学びたい内容を選択している」:69.0%

     教育プログラムを用意できている企業は、約3割にとどまりました。会社が教育プログラムを用意しているとした回答者に、プログラムの策定方法も聞きました。

    <教育プログラムの策定方法 / 一部抜粋>
    ・社外の専門家に任せた
    ・人事部門が社外セミナーなどの受講を経験し、プログラムに反映した
    ・自社オリジナルのカリキュラムを確立している
    ・e-ラーニングを体験した

     リスキリングに取り組んでいる企業を対象に、リスキリングの「進捗管理をしているか」をたずねました。その結果は、以下のようになりました。

    ・「個人の習熟度を管理している」:14.3%
    ・「個人に任せている」:85.7%

     8割以上がリスキリングの進捗管理をしていないという結果が出ました。

     また、リスキリングの実施で「課題に感じていること」を聞いた結果では、以下のような回答順になりました。

    ・「社員のモチベーション」:76.2%
    ・「時間の確保」:66.7%
    ・「教育プログラムの策定(何を学ぶか)」:64.3%
    ・「学習方法(どうやって学ぶか)」:59.5%
    ・「予算の確保」:45.2%

     その他、「課題に感じていること」として、以下のような回答があったとのことです(一部抜粋)。

    ・予算の都合で一部のマネジメント社員にのみ教育の機会を与えているが、社員全員に機会を提供したい
    ・社員のモチベーションに任せる部分が多く、個人間格差が大きくなる
    ・自発的に学んでほしいが会社の押し付けになっていないか心配
    ・職種転換を前向きにとらえ、抵抗なく学習できるようにするためのマインドセット
    ・自社に何が適切なリスキリング教育なのか判断しづらい

    ●身につけさせたいスキルは「プロジェクトマネジメント」「企画力・構築力」「ロジカルシンキング」など
     リスキリングで「どんなスキルを身につけさせたいと思うか」たずねた結果は、以下が上位に挙げられました。

    ・「プロジェクトマネジメント」:73.8%
    ・「企画力・構築力」:69.0%
    ・「ロジカルシンキング」:64.3%
    図6:「どんなスキルを身につけさせたいですか」/「月刊...

    図6:「どんなスキルを身につけさせたいですか」/「月刊総務」調べ

     また、リスキリングの「対象者をどのように決めているか」たずねた結果では、以下のように「全社員対象」が59.5%で最多となりました。

    ・全社員を対象としている:59.5%
    ・職位:21.4%
    ・職種:16.7%
    ・年代:11.9%
    ・事業部:7.1%
    ・その他:9.5%

    ●リスキリングの1人あたりの年間予算は「1万円未満」が最多
     リスキリングに取り組んでいる企業を対象に、リスキリングの1人あたりの年間予算についてもたずねました。以下のように、「1万円未満」が35.7%で最多となりました。

    ・「1万円未満」:35.7%
    ・「1万円以上~3万円未満」:28.6%
    ・「3万円以上~5万円未満」:19.0%
    ・「5万円以上~10万円未満」:9.5%
    ・「10万円以上」:7.1%

     調査の総評として月刊総務では、「アンケートの中で、教育プログラムや進捗管理を社員の自主性に任せている企業が多いことがわかりましたが、リスキリングのあるべき姿としては、企業がもっと主導する必要があります。」としています。また、経営戦略として積極的な投資ができるかどうかが、これからの企業成長を左右するだろう、と結論付けています。

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