調査・リサーチ

    2022.03.16

    IT企業社員の役割は10年前から大きく変化、管理職には“コンプライアンスの重視”/ラーニングエージェンシー調べ

    ラーニングエージェンシーは2022年3月8日、「情報通信業の社員に求められることの変化」について調査した結果を発表しました。これは2021年10月11日~12月13日の期間、ビジネスパーソン5,099人を対象に同社が実施した「組織・チームのあり方の変化に関する意識調査」の中から、業界別として抽出したものです。調査の結果、情報通信業の社員は、10年前から求められることが大きく変わったと回答しました。管理職には「コンプライアンスやモラルの重視」、一般社員には「チームで協力して成果を上げる」が大幅増で最上位になりました。

     この10年間の大きな社会的変化の中で、管理職や、一般社員(非管理職)の役割もまた変化してきています。人材育成サービスを提供するラーニングエージェンシーは、5,099名のビジネスパーソンにアンケートを実施しました。そして管理職および一般社員に求められる役割がどのように変化したのかを調査しました。

     「組織・チームのあり方の変化に関する意識調査」の概要は、以下の通りです。

    ・調査対象者:同社が提供する研修(会場型・オンライン型)、オンライン講演の受講者
    ・調査時期:2021年10月11日~2021年12月13日
    ・サンプル数:<情報通信業のみ>1,319人/<他業種(情報通信業以外の全業種)>3,780人

     今回はその中から、「情報通信業の社員に求められることの変化に関する調査」として、情報通信業について分析が行われました。調査結果の概要は、以下の通りです。

    ●情報通信業ビジネスパーソンの4割が、この10年で役割が「変化した」と回答
    ●管理職のあるべき姿は「コンプライアンス・モラル」が8割、「効率性」「対話」が7割
    ●管理職に求められる能力は「IT・デジタルリテラシー」「マネジメント」が過半数
    ●一般社員は「チームで協力して成果を上げること」や「自ら現場で判断すること」が期待されている

    ●過半数が一般社員に「IT・デジタルリテラシー」「言語化する力」「タイムマネジメント」を求める

     それぞれの調査結果の詳細を以下に説明します。

    ●情報通信業ビジネスパーソンの4割が、この10年で役割が「変化した」と回答
     まず、10年前と現在を比較したときに、情報通信業の管理職や一般社員に「求められることは変わったのか」をたずねました。

    ・(管理職)求められることが変わった:41.8%
    ・(一般社員)求められることが変わった:44.0%

     いずれも約4割となっています。一方、「わからない」という回答も多く、管理職の変化については52.3%が、一般社員の変化については46.1%が選ぶ結果になりました。役割の変化については見極めている段階の人が多いといえます(図1・図2)。
    図1・図2:管理職・一般社員へ求められることの変化/ラ...

    図1・図2:管理職・一般社員へ求められることの変化/ラーニングエージェンシー「情報通信業の社員に求められることの変化に関する調査」

     以降の設問は、情報通信業で、求められる管理職や一般社員の姿が10年前と比べて「変わった」との回答者のみにたずねたものです。

    ●管理職のあるべき姿は「コンプライアンス・モラル」が8割、「効率性」「対話」が7割
     まず、情報通信業で「10年前に求められていた管理職像」と、「現在求められている管理職像」をそれぞれ複数回答で聞きました。「10年前に求められていた管理職像」の上位回答は、以下の通りです。

    ・「トップダウンで物事を進める」:74.3%
    ・「部下に自分の模倣を求める」:61.9%
    ・「前例を踏襲する」:60.9%

     しかし、「現在求められている管理職像」で上位となった回答は以下の通りです。

    ・「コンプライアンスやモラルを重視する」:81.9%
    ・「時間内で効率的に終わらせる:74.5%
    ・「対話を重んじる:70.5%
    図3:求められる管理職像の変化/ラーニングエージェンシ...

    図3:求められる管理職像の変化/ラーニングエージェンシー「情報通信業の社員に求められることの変化に関する調査」

     特に大きく変化した項目は、以下の通りです。

    ・「トップダウンで物事を進める(-56.7pt)」
    ・「部下に自分の模倣を求める(-55.5pt)」
    ・「前例を踏襲する(-45.5pt)」
    ・「コンプライアンスやモラルを重視する(+69.7pt)」
    ・「時間内で効率的に終わらせる(+59.6pt)」
    ・「対話を重んじる(+56.2pt)」
    ・「部下に自分とは異なる強みの発揮を求める(+53.4pt)」

     全体として、情報通信業の管理職は、10年前よりも例えば過度な残業をさせないなど、コンプライアンスやモラルを重視し、部下と対話して効率的に仕事を進められるよう管理、調整する役割を求められているといえます(図3)。

     しかし「現在求められている管理職像」と「現在の管理職の傾向」を複数回答でたずねた結果を見ると(図4)、現場では、まだそうした管理職像に追いついていないのが現状のようです。双方のスコアの差が大きい回答は、以下の通りです。

    ・「時間内で効率的に終わらせる(-38.5pt)」
    ・「ボトムアップで物事を進める(-37.6pt)」
    ・「前例にないことを行う(-36.6pt)」
    ・「コンプライアンスやモラルを重視する(-36.0pt)」
    ・「対話を重んじる(-34.9pt)」
    図4:求められる管理職像と現在の傾向/ラーニングエージ...

    図4:求められる管理職像と現在の傾向/ラーニングエージェンシー「情報通信業の社員に求められることの変化に関する調査」

    ●管理職に求められる能力は「IT・デジタルリテラシー」「マネジメント」が過半数
     次に、情報通信業の「管理職像が変化した理由」を3つまで選んでもらった上位の回答結果が、以下です。

    ・「働き方(雇用形態や勤務時間・場所など)が多様化した」:66.8%
    ・「市場環境が変化・複雑化した:50.4%
    ・「従業員満足度や従業員の働きがいを重視する世の中になった」:45.0%

     顧客の要望に合わせて、常駐先でシステムを納期内に開発することを最優先する働き方から、働き方の柔軟性や社員の満足度を高める方針に重心が移ってきていることがうかがえます(図5)。
    図5:管理職像が変化した理由/ラーニングエージェンシー...

    図5:管理職像が変化した理由/ラーニングエージェンシー「情報通信業の社員に求められることの変化に関する調査」

     こうした変化の中、管理職に対して「特に重視されるようになってきたスキルや知識」では、以下が最も多い結果となりました。

    ・「IT・デジタルに関するリテラシー」:54.4%

     また、「マネジメント」(51.7%)も過半数が選んでおり、情報システム業として必須の「プロジェクトマネジメント」(38.7%)よりも多い結果となりました。また、「コーチング」(42.3%)「言語化する力(相手に合わせた表現で伝える力)」(40.8%)も比較的多く選ばれており、ITスキルに加え、コミュニケーション力の向上が必要と感じられていることが分かります(図6)。
    図6:重視されるようになってきたスキルや知識/ラーニン...

    図6:重視されるようになってきたスキルや知識/ラーニングエージェンシー「情報通信業の社員に求められることの変化に関する調査」

    ●一般社員は「チームで協力して成果を上げること」や「自ら現場で判断すること」が期待されている
     管理職像が変化する一方、情報通信業の一般社員に求められることも変化しています(図7)。「10年前に一般社員に期待されていたこと」のトップ3は、以下の回答です。

    ・「定型的な業務を確実に遂行する」:81.3%
    ・「上位層の方針や判断をこまめに確認し、行動する」:59.6%
    ・「個人として成果を上げる」:52.6%

     それに対し、「現在、一般社員に期待されていること」のトップ3は以下の通りです。

    ・「チームで協力して成果を上げる」:76.3%
    ・「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する:70.4%
    ・「自ら現場で判断し、行動する:69.5%

     特に10年前から大きく変わったのは、以下のような回答です。

    ・「定型的な業務を確実に遂行する(-47.5pt)」
    ・「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する(+55.5pt)」
    ・「自ら現場で判断し、行動する(+45.5pt)」
    ・「チームで協力して成果を上げる(+45.0pt)」

     プロジェクトマネージャーや常駐先の顧客の指示に従って定型的な業務をしっかりこなす姿から、自分で判断しつつもチームのメンバーと協力し、臨機応変に業務を進める姿に変わったといえます。なお、他業種(情報通信業を除く全業種)と比較してみると、以下のようなことが分かりました。

    ・「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する」:他業種では50.5pt増/情報通信業では55.5pt増
    ・「自ら現場で判断し、行動する」:全体で39.4pt増/情報通信業では45.5pt増

     これについて、情報通信業ではDX推進など、顧客もプロジェクトマネージャーも正解を持っていない案件において、状況を見ながら自ら判断し、役割を遂行することがより強く求められている、と推察しています。
    図7・図8:一般社員に求められることの変化/ラーニング...

    図7・図8:一般社員に求められることの変化/ラーニングエージェンシー「情報通信業の社員に求められることの変化に関する調査」

     しかし、一般社員でも、「現在期待されていること」と「実際担っている役割」には乖離があるようです(図8)。特に大きなスコアの差が見られた項目は、以下の通りです。

    ・「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する(-37.7pt)」
    ・「周囲を巻き込みリーダーシップをとる(-36.1pt)」
    ・「自ら現場で判断し、行動する(-34.6pt)」
    ・「チームで協力して成果を上げる(-22.5pt)」

     これについては、一般社員ではチームの中でどう働くか、どのようにして自分で判断しリーダーシップをとっていくかといった課題があると推察しています。

    ●過半数が一般社員に「IT・デジタルリテラシー」「言語化する力」「タイムマネジメント」を求める
     ここで、情報通信業の「一般社員に期待されることが変化した理由」について3つまで選んでもらいました(図9)。以下のような結果となりました。

    ・「状況の変化が早くなった」:56.9%
    ・「チームメンバーの特性やレベル感が多様化した」:41.2%
    ・「顧客やマーケットのニーズが多様化した」:40.6%
    図9:一般社員に求められることが変化した理由/ラーニン...

    図9:一般社員に求められることが変化した理由/ラーニングエージェンシー「情報通信業の社員に求められることの変化に関する調査」

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