調査・リサーチ

    2022.01.13

    共創で求められる「インタープレナー(越境人材)」の実態をSUNDREDが調査/活動の障害として「所属組織のルール・制度」とする回答が約6割

    SUNDREDは2022年1月12日、「インタープレナー(越境人材)」についての実態調査を行った結果を発表しました。SUNDREDは、100個の新産業の共創を目指し、2019年7月より「新産業共創スタジオ」をJapan Innovation Networkと共同運営しています。同調査は、組織や所属の壁を越え、共創を通じて価値創造を行っていく新しいタイプの人材である「インタープレナー」をテーマに実施されました。調査の結果、「所属組織のルール・制度」がインタープレナーとして活動する上での障害だとする回答が約6割ありました。それを含め、インタープレナーが活躍していく環境を整備する上での課題が明らかになりました。

     SUNDREDによれば、「インタープレナー(越境人材)」とは、社会起点で越境しながら価値創造に取り組む「社会人」のことです。同社では、インタープレナーの理想の姿・行動を、下記の6項目で定義しています。

    【定義1】さまざまな社会の単位において、多様なメンバーとの対話を通じて社会起点の目的・課題を特定する。
    【定義2】特定した目的や課題を実現・解決するための仕組みを構想する。
    【定義3】課題解決や目的の実現のために、共感でつながって一緒に動いていくチームを組成する。
    【定義4】所属する組織など、自分が動かせるアセットを自在に動かす。
    【定義5】目的の実現・課題の解決をやり切って、それに応じた適切なインセンティブ、報酬を獲得する。
    【定義6】学びやつながり、新たな興味・関心をベースに、次の目的・課題に取り組み、自由に社会と価値交換して生きていく。

     今回の調査ではまず、インタープレナーの役割や、理想の姿・行動についての仮説を示しました。その上で、「インタープレナーとして活躍していきたいと思うか」、また「インタープレナーして活躍していくために障害となっていること」などについて質問を行いました。

     調査の概要は、以下の通りです。

    ・目的:インタープレナーが理想の姿・行動を実現するにあたっての障害を明らかにする
    ・対象者:SUNDREDが経済産業省関東経済産業局と共同で2021年9月10日から19日に開催したカンファレンス「Industry Up Week」の参加者、SUNDREDのインタープレナーコミュニティのメンバー、他
    ・調査方法:Webフォームによるアンケート調査
    ・実施期間:2021年9月7日~2021年9月19日
    ・回答者数:104人

     調査結果のサマリーとして、以下が挙げられています。

    ◎サマリー1
     自分自身のことをインタープレナーだと思う人の割合は85%、インタープレナーになりたい人(すでにインタープレナーである人を含む)は95%に上る。
    ◎サマリー2
     ・78%の人が【定義1】多様なメンバーと社会起点の目的共創のための対話を行っていると回答
     ・63%の人が【定義2】課題解決のための仕組みを構想していて、【定義3】共感でつながって一緒に動くチームを組成している
     ・【定義4】所属している企業や組織など、自ら動かせるアセットを動かして、プロジェクトを進めていくことができていると回答した人は46%とまだ少ない
    ◎サマリー3
     インタープレナーとして活躍していく上での障害としてなっているものは以下など。
     ①所属組織(関係する組織)のルール・制度(59%)
     ②インセンティブ・報酬(37%)
     ③共創プロセスの確立・共有、個社(個別の組織)の動き方・考え方(33%)

     以下に、各サマリーについての詳細を説明します。

    ◎サマリー1について
     『ご自身が「インタープレナー」であると思いますか?』という質問に対する回答では、「そう思う」が(「全くそう思う」「そう思う」「まあそう思う」を合わせて)85%となりました。

     また『「インタープレナー」になりたいと思いますか?』という質問に対する回答では、「そう思う」が(「全くそう思う」「そう思う」「まあそう思う」を合わせて)95%となりました。
    図1:自身が「インタープレナー」であると思うか、または...

    図1:自身が「インタープレナー」であると思うか、またはなりたいと思うか/SUNDRED調べ

     調査は、カンファレンスの参加者やインタープレナーコミュニティのメンバーを対象としたものであり、偏りがあることはもともと想定されていました。しかし、「インタープレナー」として活躍していきたいと考えている人材が相当数いることが改めて分かりました。

    ◎サマリー2について
     上記で挙げたインタープレナーの理想の姿である6つの項目に対して、実現度合いを質問しました。結果は以下のようになりました。

    【定義1】「さまざまな社会の単位において、多様なメンバーとの対話を通じて社会起点の目的・課題を特定する」78%
    【定義2】「特定した目的や課題を実現・解決するための仕組みを構想する」63%
    【定義3】「課題解決や目的の実現のために、共感でつながって一緒に動いていくチームを組成する」63%

     その一方で、以下については半数以下の実現度合いとなりました。

    【定義4】「所属する組織など自分が動かせるアセットを自在に動かす」46%
    【定義5】「目的の実現・課題の解決をやり切って、それに応じた適切なインセンティブ、報酬を獲得する」34%

     サマリー1で分かったように、今回の調査では、すでに「インタープレナー」である、もしくは「インタープレナー」になりたいと考えている人がほとんどの集団が対象となっています。その集団においても、所属する組織を動かしたり、目的の実現をやり切って適切なインセンティブを獲得する、というところまでは大半の人が至っていない、すなわち何かしら障害が存在している、ということが分かりました。
    図2:「定義1~6の各項目について、理想の姿が実現でき...

    図2:「定義1~6の各項目について、理想の姿が実現できているか」/SUNDRED調べ

    ◎サマリー3について
     『総合的に見て、あたなが「インタープレナー」として理想の姿を実現するにあたり、次のどの領域の障害が大きいと思いますか? 障害が大きいと思う領域を3つ選択してください。』という質問も行われました。この質問では、13の所定の領域を記載し、さらに自由回答欄を選択して自由回答の記述も可としました。以下が上位の回答となりました。

    ・「所属組織(関係する組織)のルール・制度」:59%
    ・「インセンティブ、報酬」:37%
    ・「共創プロセスの確立・共有、個社(個別の組織)の動き方・考え方」:33%
    ・「コミュニティ、出会いの機会:27%
    ・「適切なファイナンス」:25%
    ・「各セクターの分断、分断した政策・施策」:25%
    図3:「インタープレナーの理想の姿を実現するにあたって...

    図3:「インタープレナーの理想の姿を実現するにあたっての障害」/SUNDRED調べ

     また、同じ質問について経営層・役員クラス(全回答者数104名のうち19名)の回答のみを抽出した結果では、以下が上位の回答となりました。

    ・「適切なファイナンス」:58%
    ・「コミュニティ、出会いの機会」:53%
    ・「共創プロセスの確立・共有、個社(個別の組織)の動き方・考え方」:47%
    ・「インセンティブ、報酬」:47%
    ・「所属組織(関係する組織)のルール・制度」:37%

     多くのインタープレナーおよびその予備軍が、所属組織(関係する組織)との関係性に悩んでいること、また、経営者・役員クラスと実践者の課題認識についてはギャップが存在するということが明確になりました。
    図4:「インタープレナーの理想の姿を実現するにあたって...

    図4:「インタープレナーの理想の姿を実現するにあたっての障害(経営者・役員層)」/SUNDRED調べ

     SUNDREDは経済産業省関東経産局と共同で「令和3年度 越境人材を中核とした新産業共創エコシステム構築事業」を推進しています。

     今回の調査の結果を受け、SUNDREDと経済産業省関東経産局では、第3回目となる「越境人材ミートアップ」を2022年1月21日に開催します。各分野の有識者や当事者であるインタープレナーたちと、具体的な障害についての内容や、役職者と当事者との認識の相違の背景について対話を通じて明らかにします。そして、新産業共創の主役となるインタープレナーが社会においてさらに活躍していくために行うべき環境整備について、詳細検討・とりまとめを行います。また、2022年2月24日に行われるイベント「Industry-Up Day 2022 Spring」において政策提言の骨子について発表を行うことが予定されています。

     同社はこれらの活動を通じ、すべてのセクターに顕在・潜在しているインタープレナーが自律した社会人として覚醒できるよう支援します。オープンかつフラットな対話を通じて共感する「目的」を共創し、自ら「ナラティブ」(ストーリー)を語り働きかけていくことで、それぞれが動かせるアセットを動かして目的を達成していく、そして所属する組織や地域において継続的に新たな成長軸を創出していく、そうした新しいパラダイムにおける価値創造の仕組みの環境整備・社会実装を進めていきます。
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