研修プログラムの開発やコンサルティング事業を展開するリ・カレントは2022年3月29日、「人材育成に関する意識調査」の結果レポートを公開しました。同社は、20代人材の率直な考え・価値観を知ることが若手育成の設計に重要と考えています。一方で、現場で実際に育成を担う中堅や管理職層の意識については、「育成」という観点から深く掘り下げた調査も必要だと感じました。そこで、2021年秋に育成責任者・育成担当者を対象として「人材育成に関する意識調査」を実施しました。若手社員を育てている社員たちが「仕事」や「育成」をどうとらえ・何を感じているのか、調査結果を紹介します。
今回、育成担当者・育成責任者の意識調査結果として、育成を担う社員の本音が調査されました。調査のサマリーとして、以下が挙げられています。
1. 育成の目的=「業務指導」の観点にとどまる回答が半数を占め、「ポスト人材育成」の観点は2割以下に
2. 働く理由「報酬を得るため」が6割弱、組織は「報酬をもらう場所」が最も多く、若手意識調査と近似
3. 育てる・働くに関する価値観は立場の変化に反してほぼ変化せず 調査の概要は、以下の通りです。 ・調査対象:東京都で企業内の育成に関わる20代~60代1022名
・調査期間:2021年10月
・調査方法:選択回答および自由回答式インターネット調査
※構成比の数値は、四捨五入のため 100%にならないことがあります。
※実際の東京都の人口構成に合わせるために、回収サンプルに重みづけを行っています(ウェイトバック集計)
※非有効回答を含まないグラフもあります。 なお今回、実際の調査では東京都の2250名を広く回答者とした中から、企業内の育成に関わる20代~60代1022名に絞った回答結果を示しています。また、育成における立場ごとに主要な設問への回答結果を比較しています。さらに、2021年までの若手社員を対象とした調査における、価値観について聞いた同文設問の結果も比較掲載しています。 以下に、それぞれの調査結果の詳細を説明します。 1. 育成の目的=「業務指導」の観点にとどまる回答が半数を占め、「ポスト人材育成」の観点は2割以下に
育成観として「育成の目的のとらえ方」、つまり回答者が「育成の目的として一番重きを置くものは何か」が調査されました。「回答者が職場で育成で目指しているもの」をたずねた結果、全体では以下が上位となりました。 ・「業務に関する知識・技術・技能を伝えること」:54.6%
・「部下自身の目指す姿に沿ってキャリアアップを支援すること」:18.8% 「会社・組織のために必要な人を育てる」(ポスト人材育成)といった観点は15.7%と2割以下にとどまりました。
2. 働く理由「報酬を得るため」が6割弱、組織は「報酬をもらう場所」が最も多く、若手意識調査と近似
3. 育てる・働くに関する価値観は立場の変化に反してほぼ変化せず 調査の概要は、以下の通りです。 ・調査対象:東京都で企業内の育成に関わる20代~60代1022名
・調査期間:2021年10月
・調査方法:選択回答および自由回答式インターネット調査
※構成比の数値は、四捨五入のため 100%にならないことがあります。
※実際の東京都の人口構成に合わせるために、回収サンプルに重みづけを行っています(ウェイトバック集計)
※非有効回答を含まないグラフもあります。 なお今回、実際の調査では東京都の2250名を広く回答者とした中から、企業内の育成に関わる20代~60代1022名に絞った回答結果を示しています。また、育成における立場ごとに主要な設問への回答結果を比較しています。さらに、2021年までの若手社員を対象とした調査における、価値観について聞いた同文設問の結果も比較掲載しています。 以下に、それぞれの調査結果の詳細を説明します。 1. 育成の目的=「業務指導」の観点にとどまる回答が半数を占め、「ポスト人材育成」の観点は2割以下に
育成観として「育成の目的のとらえ方」、つまり回答者が「育成の目的として一番重きを置くものは何か」が調査されました。「回答者が職場で育成で目指しているもの」をたずねた結果、全体では以下が上位となりました。 ・「業務に関する知識・技術・技能を伝えること」:54.6%
・「部下自身の目指す姿に沿ってキャリアアップを支援すること」:18.8% 「会社・組織のために必要な人を育てる」(ポスト人材育成)といった観点は15.7%と2割以下にとどまりました。
2. 働く理由「報酬を得るため」が6割弱、組織は「報酬をもらう場所」が最も多く、若手意識調査と近似
回答者の仕事観についても聞きました。「何のために働くのか(働く目的・譲れないもの・価値観)を持っているか」をたずねた結果は、以下のようになりました。 ・「語れるほどではないが持っている」:52.2%
・「明確な形で持っている」:19.2% 上記を合わせると71.4%となり、7割を超える回答者が仕事観を持っていることが分かりました。
回答者の仕事観についても聞きました。「何のために働くのか(働く目的・譲れないもの・価値観)を持っているか」をたずねた結果は、以下のようになりました。 ・「語れるほどではないが持っている」:52.2%
・「明確な形で持っている」:19.2% 上記を合わせると71.4%となり、7割を超える回答者が仕事観を持っていることが分かりました。
また、先の設問で仕事観を「持っている」とした回答者の、具体的な「仕事観(働く目的・譲れないもの・価値観)」を複数選択でたずねた結果は、以下のようになりました。
・「報酬を得るため」:58.9%
・「自分が成長するため」:46.1%
・「社会に貢献するため」:39%
・「自分が成長するため」:46.1%
・「社会に貢献するため」:39%
さらに、「自身の所属する組織・会社」をどのようにとらえているかをたずねた設問では、以下の結果となりました。
・「業務の対価として報酬をもらう場所である」:35.0%
・「共通の目的を目指すチームである」:22.6%
・「自分が属する「居場所」である」:16.9%
・「共通の目的を目指すチームである」:22.6%
・「自分が属する「居場所」である」:16.9%
これらの結果は、リ・カレントが~2021年4月に実施した「若手社員の働くに関する意識調査(以降、若手意識調査)」の結果と同様のものになりました。
3. 育てる・働くに関する価値観は立場の変化に反してほぼ変化せず
今回の調査では、回答者の立場として以下を定義しました。 ・実際に育成を担当している社員=育成担当者
・育成の責任を負う社員=育成責任者(主に管理職を想定)
・育成の実務者・責任者ではないが育成的な関りを持つ社員=メンター そしてそれぞれに対し、「育てる」・「働く」に関する回答結果を比較しました。具体的には、「回答者の立場」を集計軸にとり、「育成責任者」「育成担当者」「メンター」の立場を持つ回答者が、それぞれどのような育成観・仕事観を示すかが詳しく調べられました。しかし結論として、育成の立場ごとの回答に有意な差異はほとんど見られなかったとのことです。
今回の調査では、回答者の立場として以下を定義しました。 ・実際に育成を担当している社員=育成担当者
・育成の責任を負う社員=育成責任者(主に管理職を想定)
・育成の実務者・責任者ではないが育成的な関りを持つ社員=メンター そしてそれぞれに対し、「育てる」・「働く」に関する回答結果を比較しました。具体的には、「回答者の立場」を集計軸にとり、「育成責任者」「育成担当者」「メンター」の立場を持つ回答者が、それぞれどのような育成観・仕事観を示すかが詳しく調べられました。しかし結論として、育成の立場ごとの回答に有意な差異はほとんど見られなかったとのことです。
立場ごとの違いが見られなかっただけでなく、「若手意識調査」ともほぼ同じ回答結果となりました。これらのことから、同社では「本来若手社員の仕事観を育む立場であり、また若手社員の仕事観のロールモデルにもなるべき育成関与者自身の仕事観・組織観が、立場に伴って成熟していないことが読み取れる」としています。
これからの若手社員育成に取り組む際には、若手社員たちの学びを支援・設計することに加えて、彼らを実際に現場で育てる育成側の社員や職場環境にも目を向けていく必要があると同社では考察しています。