当日のセミナーの様子を動画で公開しています。ぜひご覧ください。
段階的なアプローチこそ中小企業は不可欠
セミナー前半は「中小企業のDXの実態」と題し、真貝氏が講演。中小企業を取り巻く現状や船井総合研究所が中小企業のDXをどう支援しているのかなどを紹介しました。真貝氏は冒頭、中小企業のDXについて、「DXとはデジタルを駆使して変革を成し得るのがゴール。その意味で中小企業は、大企業より変革を進めやすい。中小企業のDXは今後、ますます進む」と推察。都市部の中小企業に限らず、地域を問わずDXは進むと言います。業種も問わないと指摘します。

写真:船井総合研究所 代表取締役社長 社長執行役員 真貝大介氏
中小企業がDXに取り組むアプローチにも言及します。「デジタル度」を縦軸、「変革度」を横軸にした図を示し、「デジタルと変革を同時に進めるケースは少ない。デジタル化に取り組む、変革に取り組むといったどちらかを優先するケースが目立つ」(真貝氏)と指摘。その上で、「DXを目指すのにデジタルが先か、変革が先かは問わない。大切なのは最初の一歩を踏み出せるかどうかだ。中小企業の場合、デジタル化などの新たな取り組みに反発する従業員がいるかもしれない。しかし、限られた業務で構わないので成果を出しさえすれば、従業員はデジタル化をポジティブに受け止めるはずだ。段階的にDXを目指すのが望ましい」(真貝氏)と強調します。特にデジタル化は、マーケティングやセールス領域で取り組むケースが多く、変革はサービスやオペレーションを変えるケースが多いと言います。一気にDXを目指すケースもあるが、「中小企業は自社の体力を考慮すべきだ。DXプロジェクトの再現性も踏まえたい。失敗を恐れる従業員に配慮するという点からも、段階的なアプローチを検討してほしい」(真貝氏)と注意を促します。

図1:セミナーでは、「デジタル度」と「変革度」を軸にDXのアプローチを解説
では同社は中小企業をどう支援しているのか。セミナーでは、その取り組みも紹介しました。1つが、ZOHO導入によるDXプロジェクト支援です。ZOHOとは、CRMやSFAのほか、メールや会計などのアプリケーション群を備えるSaaSで、安価なことから中小企業を中心に導入されています。真貝氏は中小企業にZOHOを勧める理由を、「ZOHOはマーケティングやセールス領域向けのアプリケーションが充実している。これらの業務はデジタル化に舵を切ることで業績が改善しやすい。成果を出すという点でZOHOは中小企業に向く。さらにデータを蓄積できるようになれば、それが資産となって次の施策に役立てることも可能だ」と言います。もっとも同社はZOHOだけを勧めるわけではなく、「企業の課題や目的に応じたソリューションを提案する」(真貝氏)と言います。
ZOHOを使った例として、顧客情報を蓄積する仕組みづくりも紹介しました。運営サイトに予約フォームやチャットボットを実装して問い合わせを自動化したケースを例示。サイト経由で問い合わせしてきた顧客やLINE登録者などをZoho CRMで管理し、商談や契約後といった状況別に把握できるようにすると言います。サイトのクリック率などをもとに顧客をスコア化し、高スコアで受注確度の高い顧客も洗い出せるようにします。チャットやタスク管理、クラウド契約などのZOHOのほかの機能と連携し、商談や契約のデジタル化も含めた支援策を提案します。セミナーではそのほか、ECやオンライン販売事業を立ち上げたいと考える事業者向けの支援策や、さまざまなデータを一元管理してBIで可視化するデータハブ構築の支援策なども紹介しました。
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