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スピード感ある開発体制に移行、旧態依然からの脱却図るクレディセゾンのDX戦略

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DXマガジンは2023年4月18日、定例のDX実践セミナーを開催しました。今回のテーマは「金融DXへの挑戦 ~クレディセゾンDX成功の秘訣~」。クレディセゾンの小野和俊CDO兼CTOをゲストに迎え、同社のDX推進状況や基幹システムの更新、人材育成などの取り組みなどを掘り下げます。

当日のセミナーの様子を動画で公開しています。ぜひご覧ください。

内製化に舵を切るクレディセゾンのDX戦略

 セミナーの冒頭、小野氏は自社を取り巻く環境の変化を指摘します。「インターネットやスマートフォンの普及により、顧客の購買チャネルがデジタルシフトしている。当社はこれまで、リアルチャネルを中心としたペイメント事業を強みにしてきた。しかし、その成長モデルは鈍化している。デジタルに強みを持つ競合他社の隆盛により、クレジットカードの新規会員数や取扱高が伸び悩んでいる。デジタルシフトに追随するビジネスモデルへの転換を迫られている」(小野氏)と、危機感を募らせます。
そこで同社は2019年から2020年にかけてデジタル組織を新設します。「基幹システムの更改などの問題を残しつつも、スピード感を持ってシステムを開発できる望ましい方法を模索した。外注依存状態だった開発を内製化したり、クラウドを活用して短期導入したりすることも当然視野にいれる。最新の動向を徹底的に追及する体制構築を目指した。理想のチームを少数でもいいので作ろうと考えた」(小野氏)といいます。組織立ち上げ当初は、約320人にるIT部門の中から8人をデジタル組織にアサインしたといいます。
その上で現在運用するシステムの全容把握に務めます。全部で100以上あるシステムを大きく3つに分類します。顧客管理や入出金管理などの基幹システム、入会審査や与信管理などのコア業務アプリ、DMPやMAなどのデジタルサービスに分類しました。「全社のシステムアーキテクチャの課題を洗い出した。特に基幹システムは存在が大きすぎる。普遍的な機能だけに絞り込み、安定化と固定化に主眼を置くことだけを目指した」(小野氏)といいます。さらに、不十分なシステム間連携にはAPIを使った連携基盤の開発、開発スピードの遅さについては、内製開発組織を新たに立ち上げるとともに、クラウドを使って加速できるようにしたといいます。デジタル組織は当初、デジタルサービス領域の開発を担うことにしました。
もっとも、デジタル組織は初めから順調に稼働したわけではありません。「内製化に舵を切ったものの、これまで内製化に取り組んだ経験のないメンバーでは、具体的な進め方すら分からない。既存のIT部門との連携は必須だが、デジタル組織と既存IT部門との間でカルチャーも大きく異なっていた。さらに、外部への依存が長く続く中で『発注者しぐさ』が染みついてしまった。つまり、外部の事業者に依頼するように、内部の部署に依頼する姿勢が問題だった」(小野氏)と、デジタル組織立ち上げ後も課題が山積する状況だったと振り返ります。
こうした経緯を踏まえ、同社は2021年9月、クレディセゾンのDX(CSDX)を策定し、推進に乗り出します。「お客様の感動体験を創出する『CX』と、社員の体験を転換する『EX』を重視した。これらに関係しないシステム開発は不要と割り切った。最新のデジタルを活用するのはもちろん大事だが、顧客や社員の体験価値創出に主眼を置いた。そのための手段としてシステムやテクノロジを考えるべきと判断した」(小野氏)と言います。
図1:クレディセゾンのDX(CSDX)のビジョン

図1:クレディセゾンのDX(CSDX)のビジョン

via クレディセゾン
 内製化も加速させます。「外部ベンダーをまったく利用しないわけではない。内製化とハイブリッドな開発体制を構築すべきと考えた。外部ベンダーだけの選択肢では、スピードは遅いままだしコストも高くつく。柔軟性に欠けるし、ノウハウは社内に残らない。案件によっては内製化し、これら課題を解消できるようにした」(小野氏)と、内製化のメリットを指摘します。具体的にはデジタル部門がビジネス部門と一体となって、業務の課題解決につながるシステムを検討できるようにしました。「柔軟なシステム開発を実現する伴走型内製開発を加速させた。システムを作るデジタル部門と、システムを望むビジネス部門が融合した開発体制が望ましいと判断した」(小野氏)といいます。これにより柔軟に開発できるようになるほか、開発コストを削減できるといいます。
 一方、デジタル人材の創出にも乗り出します。人材育成制度を拡充するなどし、2024年度までにデジタル人材を1000人規模に拡充するといいます。「2021年度のデジタル人材は150人だったが、現在は約300人に増えている。2024年度は社員の20%にあたる1000人をデジタル人材として輩出する予定だ」(小野氏)と、人材育成も加速させるといいます。
図2:デジタル人材の創出

図2:デジタル人材の創出

via クレディセゾン
 こうした数々の取り組みを進めた結果が効果として表れ出しています。内製開発案件の開発コスト削減率は0%から61.8%に上昇(2019年度から2022年度までの累計見込み)。ソフトウエアによる累計業務削減時間は0時間から73万時間に達するといいます(2019年度から2022年度までの累計見込み)。入会年度別のネット会員比率は2019年度の75.8%から2022年度は86.4%に上昇しています。
図3:クレディセゾンが取り組んできたデジタル化

図3:クレディセゾンが取り組んできたデジタル化

via クレディセゾン
 クレディセゾンは今後もデジタルを活用したビジネスモデル構築を推進する考えです。「過去の経験やデータからではなく、未来のあるべき姿を考ええ逆算する『バックキャスティング方式』を採用し、ビジネスモデルを検討する。現在の延長戦から想定される姿を描く『フォアキャスティング方式』では大きな変革を見込めない」(小野氏)と指摘します。理想を模索し、その理想を実現するための方策を考えることが必要だと訴えました。

経営者や役員を巻き込んで全社推進体制を構築

 セミナーの後半は、DXマガジン総編集長の鈴木康弘との対談を実施。テーマに沿って意見を交わしました。日本企業が抱える課題というテーマに対して小野氏は、「日本企業はDXの必要性を感じている。しかし、その多くは外部の考えを受け入れにくい文化が残っている。つまり、自社はこうだとDXを許容しない姿勢が根深い。自分たちが常に正しいという考えがDX推進にブレーキをかけている」(小野氏)と指摘します。鈴木も「DXを正しく認識しないまま取り組む企業が目立つ。これではDXを正しい方向へと導けない」と指摘。DXに取り組む企業が増えているものの、その多くは正しい理解を伴わないまま進めていると考察します。
DXを進めるための社内の体制に関するテーマでは、鈴木は「経営者の意識改革が何より必要だ。経営者自ら主導しなければDXは成功しない。すぐに答えが出るわけではないのであきらめずに続けるべきだ」と指摘。小野氏も「経営者の熱量はさることながら、役員の意識改革にも目を向けなければならない。システムについての理解、最新技術の動向なども知っておくべきだ」と指摘します。クレディセゾンでは実際、役員を対象にノーコード・ローコードを扱うブートキャンプを実施したといいます。「率先垂範で役員が取り組んでいる姿勢を示すことが必要だ。これにより社員の『自分たちも』という意識が芽生える。全社にDXを根付かせるなら、経営者や役員をいかに取り込むかがカギである」(小野氏)と指摘しました。
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