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セミナー

DXの取り組みは“勝つまで諦めるな”、毎日の成長を感じられる楽しみこそDXの魅力/日本オムニチャネル協会 フェロー対談

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日本オムニチャネルとDXマガジンは2021年10月27日、共催特別セミナーを開催しました。第1回となる今回のテーマは「DXをすすめるための組織の動かし方」。日本オムニチャネル協会のフェロー2人をゲストに招き、日本オムニチャネル協会会長兼DXマガジン総編集長である鈴木康弘がモデレータとして、組織の現状について議論を交わしました。

 第1回目のゲストは、パルコ 執行役員 CRM推進部兼デジタル推進部担当の林直孝氏と、βace 取締役COO 中川政七商店 CTOの緒方恵氏。林氏は、国内に18店舗(2021年11月時点)を展開するパルコのCRM/デジタル推進担当役員。デジタルマーケティングやWEBコミュニケーションなどの部署を経て、現在はパルコのデジタル化をけん引しています。
緒方氏は、東急ハンズのデジタル部門責任者を経て、中川政七商店の執行役員CDOとしてDXを推進。現在は取締役を退任し、“パートタイムオフィサー(PTO)”というユニークな肩書きでDXに携わる傍ら、チョコレート専門店を運営するβaceの取締役としてDX推進を主導しています。
今回は日本オムニチャネル協会のフェローでもある2人に、「DXに取り組む企業の現状」「DXに対する社員意識の向上」「DXをすすめるための組織の動かし方」という3つのテーマについて聞きました。
写真:パルコ 執行役員 CRM推進部兼デジタル推進部担...

写真:パルコ 執行役員 CRM推進部兼デジタル推進部担当の林直孝氏(写真中央)、βace 取締役COO 中川政七商店 CTOの緒方恵氏(写真左)、日本オムニチャネル協会会長兼DXマガジン総編集長 鈴木康弘(写真右)

DXに取り組む企業の現状

 林氏は企業の現状として、自社の取り組みを紹介。パルコが進めるDXを3つのステップに分け、順を追って説明しました。最初のステップは、デジタル専門部署を設立した2013年。当時の状況を林氏は、「スマートフォンの契約数が爆発的に増え、スマホユーザーと店舗が常につながる時代に入った。そこで当社は、スマートフォンを含めた顧客接点を増やす『テックタッチ』という施策を打ち出した。リアル店舗のファンをいかに増やすかに主眼を置いた取り組みに注力していた」と振り返ります。SNSやO2O(オンライン・ツー・オフライン)サービスなど、あらゆる顧客接点創出を模索したといいます。
 次のステップが、2013年ごろから注目され出した「オムニチャネル」への対応。林氏は、「当時のパルコはオムニチャネルをどう捉えたのか。その答えの1つが、施設に出店してもらうテナント企業と長期にわたって関係を築く仕組みづくりだった。具体的には、テナント企業向けに集客支援やCRMを構築して顧客にアプローチできる体制を模索した」といいます。「24時間PARCO」というビジョンのもと、テナントショップのスタッフと顧客がコミュニケーション可能なオムニチャネルプラットフォームの構築を目指しました。
そして3rdステップが、2017年ごろから取り組み出した「店舗のデジタル化」です。具体的にはAIやIoTなどの最新テクノロジを接客にどう活かすか。販売や在庫、商品管理データをテナント企業にどう還元するかなどに取り組み出します。施設内で利用可能なWi-Fiのログや店舗設置の温度・降雨センサー、店舗とWebサイトの購買情報など、あらゆるデータを収集・統合し、AIを使って接客品質向上のための施策立案を目指します。「店頭での利用が難しいVRも含め、さまざまなテクノロジの利用を模索する。まだ実験的な取り組みにとどまるが、こうした取り組みが近い将来、店舗のデジタル化に必要だと考える」(林氏)と、将来を見据えます。
一方、緒方氏は、企業がDXに取り組むために必要なポイントを整理し、解説しました。緒方氏はDXを「会社をアップデートするための手段」と位置づけ、その重要性は今に始まったわけではなく、同氏がDXに関わりだした2008年ごろから重要な考え方であると指摘しました。  そのうえで会社に必要な力について、次の式を踏まえることが大切だと述べました。
会社の力=ビジョン×競争戦略×組織能力
※競争戦略=ビジネスモデル×経営戦略
※組織能力=マネジメント×仕組み×個人の力
この式をどう読み解くか。緒方氏はここで言うビジョンについて、「大企業になるほどぼけてしまう。そのため目的が不明瞭になる。より具体的なビジョンを作りこむべき」と、ビジョン策定を重要性を伝えました。その上で競争戦略と組織能力に目を向けるべきといいます。「変化に対応するためにアップデートしたという経験を蓄積すべき。この経験を作ることができれば、これからの高いハードルも乗り越えられる。こうした実績が効率化や生産性に寄与し、空いた時間を新規事業開発などに割けられる。そのための戦略や組織づくりを目指すべき」(緒方氏)と述べます。なお、競争戦略と組織能力は、大企業なら競争戦略を重視し、スタートアップ企業なら両方を重視しなければ自社の力に結実しないといいます。
写真:両氏の経験に基づくDXの勘所が紹介された

写真:両氏の経験に基づくDXの勘所が紹介された

DXに対する社員意識の向上

 では、DX推進を加速するため、社員のモチベーションをどう高めればよいのか。  林氏は、「DX推進の環境や体制をただ整備すればいいわけではない。大切なのは、店舗の販売員が活用する仕組みを作れるかだ。販売員の利用が浸透しなければ利益に結び付かない」と、店舗スタッフの利用を前提とした取り組みが必要だと指摘します。
そのため同氏は、オンライン販売などの仕組みや使い方を周知する集合研修を店舗ごとに実施したといいます。ただ話して説明するだけではなく、オンライン販売などの仕組みを活用して効果を上げた店長の声を映像として流しました。「店長の『100万円売れた』などの声を届けるのが効果的。システムが難しくて使えないと考える店長に対し、実績を上げた店長の『簡単』という声も大事。こうしたメッセージを発信し続けることでシステムの定着と利用促進を図った」(林氏)といいます。
 2年前から対応したアプリのQR決済機能も、「マニュアルを漫画にして、QR決済機能が難しくない、便利というイメージを持ってもらうようにした。機能を実際に利用する店舗販売員の立場になって導入・定着を心掛けた」(林氏)と続けます。
さらに林氏は、「オンライン販売などの新たな仕組みは、成果が出始めることで販売員の意識が変わる。つまり、デジタル化しただけでは意味がない。デジタル化とともに販売員の“意識変え”をセットで進めなければ、改革は成し得ない」と指摘します。
緒方氏は、社員意識を向上させるためには、前提として「変化を恐れない企業文化を育むことが重要」(緒方氏)と指摘します。その上で、「意識改革」「生産性向上」「売上向上」「利益向上」の4つを順を追って求めるべきだと続けます。
社員の意識改革を成し得るためには、具体的に組織の再編成や改革の必要性を言語化することが大切だといいます。さらに環境の構築やOJTといった取り組みにも目を向けるべきだと指摘します。こうした意識改革によって生産性や効率性が向上し、売上向上に結び付くといいます。「売上が増えれば社員のテンションも必然と上がる。社員が率先して取り組み出せば評価も高くなるし、給料も上がる。こうした好循環を生み出す土壌を形成すべきだ」(緒方氏)と、社員の意識改革を前提とした環境整備の必要性を訴求します。
緒方氏は「デジタル化という変化を嫌う社員は少なくない。しかし、デジタル化は便利だと分かれば勝手に浸透するもの。便利と気付けば、変化してみようと新たな一歩を踏み出す社員も出てくる。こうした流れを作り出しさえすればDXは加速する」と、社員基点の取り組みが必要だと説明しました。
特に、労務や財務など、作業が煩雑で非効率な業務からデジタル化に取り組むことで、「効果は出やすいし、変化を嫌う社員にも聞く耳を持ってもらいやすい。年末調整など、頻繁に作業する機会はないが、手間のかかる業務にSaaSを導入すれば効果を見込みやすい」(緒方氏)といいます。
さらに同氏は、言語化することの必要性も訴求します。「社員の意識を変えるには、言語化するのが大前提。自社が何のためにDXに取り組むのか。何を目指しているのか。さらには人事考課の仕組みなどを言語化し、社員のテンションを上げられるようにすべきだ。自社の取り組みが社会にどう貢献するのかといった視点も考慮すべき」(緒方氏)と、ポイントを指摘します。もしデジタル化によってオペレーションが複雑化するなら、「十分なOJTを実施することで社員の懸念を払しょくすることも大切である」(緒方氏)と続けました。

DXをすすめるための組織の動かし方

 最後にDXを進めるために大切なことを2人に聞きました。林氏は、漫画のフレーズを例に、基本的な姿勢を徹底することの大切さを説明しました。  林氏が強調するのは「勝つまで諦めない」という姿勢。漫画「ドラえもん」と「スラムダンク」のワンシーンを例示し、勝つことに執着すべきと指摘しました。
見たろドラえもん。 かったんだよ。 ぼくひとりで。 もう安心して帰れるだろ、ドラえもん。
ドラえもん6巻「さようならドラえもん」より
あきらめたらそこで試合終了ですよ…?
スラムダンク第241話「4POINT」より
林氏は、漫画のシーンを読みつつ、「成果が出にくい取り組みは疲れるし、成果が出るまで時間がかかる。成果を出すための方程式も確立されていない。そんな中でもデジタル化やDXを推進するには、やはり『諦めない気持ち』を持ち続けるしかない。いかに諦めずに取り組み続けられるかが、DXでは必要だ」(林氏)と結びました。
一方の緒方氏は、これまで話してきた内容を整理しつつ、組織を束ねて前進するためには、次の7つのポイントを徹底すべきと説明しました。
・会社の向いている方向性や目的に共感している
・自分の行っていることに意味があると感じている
・それが社内もしくは社外で正当に評価されていると感じている
・自分が成長すべき方向が理解できており、会社内でそれの実現が可能だと感じている
・上司もしくは周り尊敬すべき人材や共闘できる人材が多い
・これらを支える風通しのいい/一体感のある企業文化・体質
・良質な業務環境
これらのポイントを踏まえ、「心が奮えているか、貢献できているか、成長できているか、一人ではないか、真っ当であるかを考えるべきだ。先進的な取り組みでは、感動や成長、進化、欲求を満たさないと変化は起こらない」(緒方氏)と、社員一人一人の気持ちの変化がDXには不可欠であると述べました。
さらに組織を前進させるポイントとして、組織のリーダーの姿勢にも言及します。「成長意欲の高い人が、DXの先進事例を見るべき。こうした人なら刺激を受け、実行力のある取り組みへと具現化できる。自分に期待する人こそ、リーダーとしてふさわしい」(緒方氏)と続けます。なお、中川政七商店やβaceでも、組織を前に動かす人として、成長意欲の高い人をアサインしているといいます。
最後に緒方氏は、DXの取り組みについて、「DXに取り組みたくないとネガティブに捉えるべきではない。こうした業務では日々、新しい業務が起こる。これを楽しいと思ってほしい。この領域に足を踏み入れれば、昨日より毎日200歩成長できる。こんな成長できる業務はほかにはない。前向きにチャレンジしてほしい」と、DX業務の魅力を伝えました。
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