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DXセミナー

2022.02.14

社員によるデータ分析の企業風土を醸成、グッデイがゼロから目指したデータドリブン経営の姿

日本オムニチャネル協会は2022年2月1日、DXマガジンと共催セミナーを開催しました。第6弾となる今回のテーマは「なぜ九州のホームセンターが、国内有数のDX企業になれたか」。ゲストのグッデイ 代表取締役社長 柳瀬隆志氏が、データドリブン経営に踏み切った経緯や効果、今後の取り組みについて紹介しました。

当日のセミナーの様子を動画で公開しています。ぜひご覧ください。

経営者自らITツールを勉強

 九州北部を中心にホームセンターを展開するグッデイ。1978年に一号店をオープンしたのを皮切りに、現在は福岡、大分、佐賀、熊本、山口に計64店舗を構えます。

 店舗展開を加速させることで成長してきた同社ですが、柳瀬氏がグッデイ事業に参画した2008年当初は「暗黒期だった」(柳瀬氏)と振り返ります。「当時はメールすらなく、社内外との連絡は電話とFAXのみ。ウェブサイトももちろんない。販促といえば紙のチラシしかなく、インターネットも社内から接続できなかった」(柳瀬氏)と、アナログな業務が数多くあったと言います。

 こんな状態から十年余り。柳瀬氏はどんな改革を断行し、グッデイをDX企業へと変貌させたのか。

 柱となる改革の1つが「データ分析」です。「私が事業に参画した翌年、創業以来初となる赤字に転落した。これがデータ分析に踏み出す契機になった。赤字になったのは人件費高騰が主な要因だが、会社として数字に基づき考える習慣がなかったのが根本的な要因だと感じた。予算も成り行き任せで、中には“数字を見ると感覚が鈍る”なんて考える人さえいた」(柳瀬氏)と、データを活用する企業風土醸成こそ改革には必要だと判断します。
写真:グッデイ 代表取締役社長 柳瀬隆志氏

写真:グッデイ 代表取締役社長 柳瀬隆志氏

 そこで柳瀬氏が目指したのは「誰でも簡単にデータを分析できる環境づくり」です。具体的には、必要なデータを使って高速に分析するためのDWH(データウエアハウス)や、簡易な操作でデータを可視化するBIツールの導入を模索します。とはいえ、システム導入に伴う高コスト、旧態の業務内容、エンジニア不足などを理由に、有効策がないまま7年が過ぎてしまいます。
 そんな中、2015年に転機が訪れます。新たな環境構築に非協力的だったシステム部長に代わり、最新技術に精通するシステム部長が就任。さらに、クラウド型のDWHが登場し出したのも環境づくりを後押しします。「オンプレミス型のDWHを導入すれば億単位のコストがかかりかねない。しかし当時、DWHをクラウド化し、月額数万円で利用できるものが現れ始めた。とりあえず“試せる”という状況がデータ分析環境構築を加速させた」(柳瀬氏)と振り返ります。

 「Amazon Redshift」や「Pentaho」などのツールを試し、現在はクラウドDWHに「Google BigQuery」、BIに「Tableau」を使った環境を構築。基幹システムなどからバッチ処理でGoogle BigQueryにデータを収集・蓄積し、Tableauを使ってデータを可視化しています。

 もっとも、環境を構築しさえすれば改革が進むわけではありません。何より特徴的なのは、経営者である柳瀬氏自らツールを勉強し、データ分析に乗り出す点です。「いろいろなツールを試す中で、ツールの使い方や機能、技術などを学ぶ機会が増えた。データ分析を始めると、自社にどんなデータがあるのか、逆にどんなデータがないのかも把握できる。データを基点とした改革を目指すなら、自ら主導してデータを活用することが必要だと考えた」(柳瀬氏)と言います。

 “誰でも簡単にデータを分析する”を定着させるため、社員教育にも乗り出します。小規模な勉強会から取り組み出し、現在は「GooDay Data Academy」と呼ぶ社内人材育成プログラムとして体系化した取り組みを打ち出します。「社員のITリテラシー向上に主眼を置く。単にデータをグラフ化するだけでは意味はない。統計やデータベース、プログラミングなどの知識を習得、活用してデータを分析し、自社の業務に活かす“データリテラシー”こそ重要だと考える。社員のスキルなどに応じて段階的に取り組めるような体制を設けた」(柳瀬氏)と言います。

 GooDay Data Academyでは、「上級」「中級」「初級」「基礎」のレベルを設け、各レベルに応じたスキル習得を目指します。なお、「基礎」は本部の全社員が習得の対象で、「初級」は各部署より毎年1名以上が受講することとします。「各部署に最低1人はデータに精通する人材を配置する。これにより、部署の課題を部署内で解決できる体制づくりを目指す」(柳瀬氏)と続けます。現在までに、初級レベルの社内人材を約20人、中級レベルの社内人材を約15人育成したと言います。

 今後は、基幹システム刷新を内製化することも視野に入れます。「データ分析を全面に打ち出したことでエンジニアの中途採用も増えた。手付かずの古い基幹システムのWeb化も当社のミッションの1つだが、外部に頼らず自前で刷新したい」と、柳瀬氏は意気込みます。さらには、店舗店員の業務効率を高められるようCRMシステムの強化も模索します。

社員のモチベーションを上げる育成を

 セミナー後半は、「DX企業を目指す経営者に必要なこと」と題した企画を実施。柳瀬氏と日本オムニチャネル協会会長の鈴木康弘氏が対談しました。

 鈴木氏は柳瀬氏の講演内容を受け、「DXは何より経営者の意識改革なくして始まらない。行動こそ大事。柳瀬さんの取り組みこそ当てはまる」と指摘。データ分析を軸とした体制構築に舵を切ったこと、その体制を自ら主導して使い倒したことを評価します。

 これに対し柳瀬氏は、「経営者といえどもエンジニアと会話しなければならない。しかし、システムに自ら触れて考えなければエンジニアと会話なんてできない。私自身、DWHやBIといったシステムに触れることで、システムについて腹落ちしたと考える。システムで何ができるのか、どこまでできるのかを踏まえ、会社の方針を打ち出せるようになった。経営者としてシステムを理解することが大切だ」と指摘します。

 さらに鈴木氏は、「DXの推進は人任せでもよくない。データを分析するなら、自分で活用できなければ意味はない。経営者の取り組みや姿勢を社員に示すことで、社員の意識も変わる」と続けます。

 柳瀬氏も社員の意識を変えることが大切だと強調します。「当社ではデータサイエンスという最先端の人材育成に取り組む。これは必ずしも当社だけに必要なスキルではない。当社以外でも十分役立つスキル。社員はそれを理解することでモチベーションが上がる。自社に閉じず、社会を見据えた社員教育に注力することも必要だ」と説明します。

 一方、DXを進める上で外部のシステムベンダーとの適切な付き合いも求められます。柳瀬氏はシステムベンダーと関係をどうとらえるのか。「私がITを勉強して思ったのは、ITはグローバルの競争の中で、世界中の優秀なエンジニアが知恵を出し合って、次々に登場する先端技術を使っている。GAFAをはじめとするグローバル企業の動きや市場のニーズについて、ユーザーもシステムベンダーも積極的に情報収集していかなければいけない。しかし日本企業の多くが、目の前の業務や市場しか見ていない。こうした日本企業に対し、システムベンダーは世界の変化を踏まえ、ツールはこうあるべきと提案すべきだ」と強調しました。
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