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「商品力×販売力」が価値創出には不可欠、積極的なIT活用なしに利益追求はありえない/日本オムニチャネル協会 経営者向オープンセミナー

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日本オムニチャネル協会は2021年10月6日、定例となる経営者向けのオープンセミナーを開催しました。第3回となる今回のテーマは「小売業DXの要は、マーチャンダイジングにあり」。ゲストに西友 社長 兼 最高経営責任者(CEO)、リテイルサイエンスファウンダーの大久保恒夫氏を招き、企業改革の重要な柱となるマーチャンダイジングの考え方などを解説しました。ここではセミナーの様子を一部紹介します。

変化に対応するための仮説検証を繰り返せ

 第1部となるセッションには大久保氏が登壇。「食品スーパーの経営改革とDX」と題し、西友の取り組みを引き合いに出しながら改革推進のポイントを示しました。 大久保氏は冒頭、自身の経営改革の考え方を述べました。「徹底的にコストを見直して利益を追求する考え方をよしとしない。むしろ効率化するための手段としてITを徹底活用すべき。予算を割いてもITシステムを構築し、効率化や生産性を追求すべきと考える。大胆な施策なしに経営改革は成し得ない」と強い口調で話しました。その上でITを使いこなすための人材教育やスキル習得などの育成にも目を向けるべきとの考えを示しました。
写真:西友 社長 兼 最高経営責任者(CEO)、リテイ...

写真:西友 社長 兼 最高経営責任者(CEO)、リテイルサイエンスファウンダーの大久保恒夫氏

 小売業が企業価値を高めるための考え方にも言及します。大久保氏は、「当たり前のことだが、顧客に喜ばれる売場をつくることが価値の源泉だ。そのために必要なことも基本的で、挨拶をしっかりできる、売場がきれい、商品の品切れがない、商品を買いやすいなどを徹底すべきだと考える。これらは経営者主導ではなく、現場の行動こそ重要。現場が変わらなければ価値は生まれない。そのためにはスタッフの知識やスキルのほか、モチベーションを維持することが大切である」と、現場が実行する環境を育むことの重要性を説きました。「挨拶」についても、「当たり前と思われがちだが、現実的にはできずにいる。挨拶すら実行できない会社はダメだ」と強調します。現場の実行力が顧客満足度を高め、さらに次の行動、変革を促すと同氏は指摘します。
 さらに「変化に対応すること」も重要だと同氏は続けます。「顧客のニーズは常に変化する。これに対応し続けることが小売業の役割だ。新しい変化に対応するのが嫌だ、苦手だと言って対応しなければすぐに業績に影響するだろう」と変化に追随し続けることの必要性を説きました。そのためには、「仮説検証を繰り返すべきだ。新しいことをやり続ければ失敗もある。まずは取り組みがよかったのかを検証し、変化にどう対応すべきかを体験から学ぶべきである」(大久保氏)と言います。
では、これからの小売業は「価値」をどう創出すべきか。売場の価値がなくなりつつある中、大久保氏は2つの強化が必要だと声高に主張します。「価値を創出するには、『商品力』と『販売力』の二本柱体制を強化すべきだ。他社にない商品を開発し、商品を安く売らず、商品の価値をアピールする販売力を身に付けることが不可欠だ」(大久保氏)と指摘します。ニーズがあれば高くても商品を購入するのが日本の文化とし、高くても買う価値ある商品を開発し、こうした商品の比率を少しずつ高めていくことが利益増に寄与するといいます。
一方、システムの積極的な利活用なしに売場は変わらないと同氏は考えます。「仮説検証を繰り返してPDCAを短サイクルで動かすためには、施策の状況を可視化するシステムを使わないと追いきれない。さらに、陳列状況をもとに商品の不足を把握して自動発注する仕組みや、来店者数や売上が下がっているときにはパート従業員などのシフトや残業時間を逐次減らして効率化を図る仕組みなどは人手だけでは成しえない。膨大なデータを取得できるようになった今、これらを徹底活用してこそ小売業は価値を高められるのではないか」(大久保氏)と指摘しました。

現場が委縮せず新たな施策を生み出せる環境を

 第2部は、大久保氏と日本オムニチャネル協会会長、デジタルシフトウェーブ代表取締役の鈴木康弘氏による対談を実施。「小売業DXの要は、マーチャンダイジングにあり」というテーマのもと、意見を交わしました。
鈴木氏は第1部の内容から、「変化対応」の必要性に同調します。鈴木氏は「顧客や現場を大事にするには変化対応力が求められる。その考えはずっと変わらない。しかしここ数年、特にその重要性が増している。徹底して変化に対応する小売業だけが生き残れるのではないか」との考えを示しました。
また同氏は、二本柱である商品力と販売力にも言及し、商品力の具体的な強みやメリットについて大久保氏に質問しました。これに対し大久保氏は、「メーカーなどが製造するNB(ナショナルブランド)の商品を扱うなとは言わない。これらの中にはロイヤリティの高い商品が数多い。顧客のニーズを満たすには、これら商品の品ぞろえも必要である。しかし、NBを充実させたただけでは利益を見込めない。利益を追求するにはオリジナル商品こそ重要で、企業は開発する力こそ身に付けるべきである」との考えを示しました。
写真:大久保氏と鈴木氏による対談の様子

写真:大久保氏と鈴木氏による対談の様子

 もっとも、小売が「工場を構える必要はない」(大久保氏)と言います。「メーカーの開発力や知見を活かすことが必要。メーカーと手を組み、メーカーのノウハウも使って開発できる環境を構築するのが望ましい。さらに、1社と手を組むのではなく、強みを持つさまざまなメーカーと一緒によい商品を作り上げるようにすべきだ」と、共創による開発力強化が必要だと指摘します。なお西友では総菜を実際に工場で開発し、試食し続けることで開発力を培ってきたと言います。
さらに鈴木氏は、「仮説検証」についてデータ活用する際の認識を指摘します。「データ活用は今後、ますます重要になるだろう。ただし、データを見ていればいいわけではない。さらに過去のデータから新しいアイデアは生まれない。データは仮説検証に使うものであり、そこから何かを考えるのはあくまで人である。人が考えた施策の良しあしをデータで検証する。こうした考えなしにデータを活用すると誤った施策を立案してしまいかねない」(鈴木氏)と警鐘を鳴らします。
大久保氏も同意します。「施策は過去のデータから探るのではなく、顧客をもとに仮説を立てて施策に落とし込むべきだ。その施策を評価するのにデータを駆使すべきである。過去のデータから未来の顧客ニーズを探れるわけではない」と強調します。さらに、「変化に対応するためには、次々といろいろな施策を試すしかない。中には失敗する施策もあるだろう。経営者は失敗した施策を進めた責任者を責めるべきではない。現場が委縮して新しいアイデアが生まれなくくなってしまう。むしろ、失敗してもいいからいろいろ試せと背中を押すべきだ」と、新たな施策が生まれやすい環境に目を向けるべきだと続けました。
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