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九州の企業が強い理由とは? 小売店や飲食店を巡る九州視察ツアーを振り返る

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日本オムニチャネル協会は2023年2月15日、定例セミナーを開催しました。今回のテーマは「九州企業のパワーをさぐる~協会ツアーを振り返りながら~」。日本オムニチャネル協会が2月3日と4日に実施した九州視察ツアーの様子を中心に、九州エリアに展開する企業の強みを考察しました。

当日のセミナーの様子を動画で公開しています。ぜひご覧ください。

日本オムニチャネル協会が九州の小売店や飲食店を視察するツアー開催

 日本オムニチャネル協会は2023年2月3日、4日、九州視察ツアーを実施しました。ツアー参加者は、九州エリアを中心に展開する小売店や飲食店を巡り、デジタルの活用状況や九州という地域性がもたらす強さの秘密を現地で体感しました。
今回のセミナーでは、九州視察ツアーの様子を紹介。どんな店舗を視察し、何を感じ取ったのか。ツアー参加者が登壇し、実体験をもとに「九州企業のパワー」を探りました。  セミナーには、日本オムニチャネル協会 理事の逸見光次郎氏、同協会 サプライチェーン部会サブリーダーの小橋重信氏が登壇。さらに協会会員で、福岡県に拠点を構えるピアリビング 代表取締役の室水房子氏、キンコーズ・ジャパン 代表取締役社長の渡辺浩基氏をゲストに迎え、九州エリアの特性や企業の進化、視察した店舗の特徴などを分析しました。
ツアーの訪問先1件目となった「資さんうどん」は、九州エリアを中心に60店舗を展開するうどんチェーン店。2020年4月には通販事業「資さんストア」を開始するなど、店舗展開とともにECによる全国展開を加速させています。資うどんの魅力について逸見氏は、「九州のソウルフードとも呼べる親しみやすさが魅力で、うどんだけではなく、さまざまなメニューを提供する。ECの利用者は、大阪や東京などで働く九州出身者が利用するケースが少なくない。『地元の味を九州以外でも』という思いを持つリピーターのニーズを取り込んでいる」と説明します。
図1:北九州市小倉南区にある資さんうどん本店を視察

図1:北九州市小倉南区にある資さんうどん本店を視察

 2件目の訪問先は、トライアルホールディングスが運営するディスカウントストア「TRIAL GO」。タブレットを搭載したスマートカートやカメラを組み合わせた決済機能などを売りにします。同社は現在、九州以外も含め、271店舗を展開します。今回のツアーでは、最新の設備を備えた実験店となる脇田店を視察しました。「Amazon GOと違い、店舗でアカウントを紐づけることなく買い物できる。プリペイドカードを利用し、ショッピングカートとプリペイドカードを紐づけさえすれば買い物できるのが特徴だ。さらに現在は顔認証システムを活用し、顔とプリペイドカードを紐づける仕組みを実験中だ。レジで顔認証すれば、プリペイドカード情報を呼び出せるようにする。レジでの決済を簡略化することに主眼を置いている」(逸見氏)と考察しました。
図2:「TRIAL GO」店内入口にはタブレットを装備...

図2:「TRIAL GO」店内入口にはタブレットを装備するスマートカートが並ぶ

ツアー2日目には、ホームセンター「GooDay」を視察。都市型向けに改装した新店舗と従来型の店舗を訪問し、デジタルの活用状況などの違いを直接確認しました。さらに同社代表取締役社長の柳瀬隆志氏がツアー参加者向けに、システムの活用方法や人材育成方法、現場によるデータ分析・活用のノウハウなどを紹介しました。柳瀬氏は、「当初はインターネットやメールの活用すらままならない状況だった。しかし、自らデータ分析手法を学ぶなどし、データに基づく売上分析や現状把握が可能な体制に大きく舵を切った。現場スタッフが自ら該当データを収集し、BIで状況を可視化できる体制を構築しつつある」と経緯を説明します。現在は、オープンソースのデータベース管理システムへの移行を検討するなど、基幹システムを含む改革を推進しています。
図3:改装したばかりの都市型DIY店舗となるグッデイ姪...

図3:改装したばかりの都市型DIY店舗となるグッデイ姪浜店を視察

現場によるデータ活用進めるグッデイの狙い

セミナー後半は登壇者によるディスカッションを開催。ツアーに参加した感想をそれぞれコメントしました。日本オムニチャネル協会 サプライチェーン部会サブリーダーの小橋重信氏は視察を終えた感想を、「グッデイのDX推進は、ITに精通する人材を多数採用することで成し得たと思っていた。しかし実際は違った。ITに精通しない現場のスタッフがTableauを使いこなし、現場主導でデータを活用しているのに驚いた」と振り返ります。さらに小橋氏は物流が専門であることから、「物流のボトルネックとなる基幹システムの改修に目をつけている点が参考になった。WMS(倉庫管理システム)を含む基幹系をどう改修すべきか。多くの企業が参考になる事例だと感じた」(小橋氏)と強調しました。
ピアリビング 代表取締役の室水房子氏は、「印象的だったのは、初日に視察したスーパーマーケット『ダイキョーバリュー』。住宅街の一角にあり、大通りにも面していない、さらに十分な駐車スペースもないのに多くの人で賑わっているのに驚いた。惣菜が豊富でオリジナリティもあるのが魅力であり強みであると感じた。近隣に住む来店者もきっと好きで通っているに違いない。地域密着という形容がまさに当てはまるスーパーマーケットだと感じた。こうした地域性が九州エリアには根付いている」と述べました。
図4:ダイキョーバリューの外観。店内は活気にあふれていた

図4:ダイキョーバリューの外観。店内は活気にあふれていた

 キンコーズ・ジャパン 代表取締役社長の渡辺浩基氏は、「店舗で働く高齢者がとても元気でパワーを感じた。加えて、九州は挑戦する風土が根付いているとも感じた。我慢強いとも言える。視察した多くの店舗で独自の取り組みや、東京などの都心ではあまり見かけない工夫を施している。例えばホームセンターの『ハンズマン』は、豊富なSKUを揃えているのを強みに打ち出す。店内には、商品点数が21万点以上をアピールするコピーがいたるところで見られた。今回、ハンズマンやグッデイといったホームセンターを視察したが、ホームセンターごとの個性や強みを明確に感じられた」と振り返ります。
図5:「ハンズマン」の外観。店内は多数の商品に圧倒される

図5:「ハンズマン」の外観。店内は多数の商品に圧倒される

ディスカッションでは、グッデイのデータ活用環境にも触れました。グッデイは現在、レガシー化した基幹システムのWeb化を進めています。まずは抽出したデータをクラウド上に蓄積、活用できるようにし、必要なデータを集めて分析用のデータマートを多数整備しています。こうした状況を渡辺氏は、「柳瀬氏が、時間もかけられない、コストもかけられないといった制約の中で知恵を絞り、現在の姿にたどり着いたという言葉が印象的だった。さらに感心したのは、柳瀬氏が『データ活用はコミュニケーションツールである』という言葉。現場がデータに精通すれば、データを軸に本部と現場が会話できるようになる。BIを単なるデータ分析の視点でとらえないことが現場定着のポイントではないか」と考察しました。
図6:グッデイ代表取締役社長の柳瀬隆志氏。ツアー参加者...

図6:グッデイ代表取締役社長の柳瀬隆志氏。ツアー参加者からの多数の質問にも1件ずつ対応していた

小橋氏は柳瀬氏自らデータ分析手法を学んだことについて、「経営者がITに詳しくない、ITを分からないという時代は終わった。経営者はITを活用すれば現状をどう変えられるのか、課題をどう解消できるのかといった視点を持つことが不可欠だ。DXは経営者主導で取り組むべきと言われるが、柳瀬氏はまさに自ら率先してDX企業へ歩み出していると強く感じた」と述べました。逸見氏も、「経営者ははじめから無理と思わないでほしい。プログラミング未経験でも実際にトライすべきだ。意外と簡単にできることも多い。まずは一度、自らの手を動かしてほしい。自らトライすることで初めて分かること、気付くことは多い」と続けました。
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