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連載

第3回 スーパーフレックス制度導入への挑戦

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前回の振り返り

前回は、管理業務のクラウド化を図るため、管理システム導入担当に任命されたものの、何から始めれば良いのかわからず悪戦苦闘したこと、社長のアドバイスをもとに業務フローの作成と課題の抽出を行い、仮説・実施・検証の重要性に気づき、時には導入前の状態に戻す勇気も必要であることをお話させていただきました。今回は、働き方改革の一環として、スーパーフレックス制度を導入するまでのお話をさせていただきます。

新たな勤務形態への挑戦と迷走

固定時間制での働き方が当たり前になっていた中、社員が働き方をより自由に選択できるよう、スーパーフレックス制度を導入することが決定しました。初めてスーパーフレックス制度の導入に関して話を聞いた際、私の頭をよぎったのは、残業代や有給休暇の取り扱いはどうなるのか?など疑問点ばかりでした。考えれば考えるほど疑問が噴出しましたが、社長からの「まずは新しい働き方に挑戦してみよう」という言葉のもと、管理担当者としてスーパーフレックス制度の導入を進めることになりました。スーパーフレックス制度はコアタイムがないフレックス制度であり、何時に出勤し何時に退勤しても良い制度です。しかし、会社によっては独自のルールを設けることも多く、尚且つ労働法に則った規則を定める必要がありました。私自身「やってやる」という気持ちはありましたが、何をすればいいのかわからない状況に陥っており、そのような中、上司から労働法に詳しい専門家と連携しながら進めた方が良いというアドバイスをもらいました。

夢を語って人を巻き込む

 労働法に詳しい専門家ということで、弊社の外部パートナーである社会労務士の力を借りることにしました。まったくわからないことを任された私は多少の焦りもあり、早速、疑問点をリストアップし社会労務士へ投げかけましたが、疑問点が部分的に解決するだけで、導入までの一連の流れが想像できない状態が続いていました。上司からの指摘もあり、コミュニケーションの取り方に問題があることに気づき、まずはデジタルシフトウェーブとしてどのような働き方に変えたいかを明確にすること、即ちビジョン(夢)を語ることからはじめました。ビジョンを語り、想像しているような働き方が実現できるかを社会労務士に投げかけ、労働法的に問題がないかや実現のために必要な就業規則改訂などの準備に関して質問を行いました。すると、それまで質問ばかりを繰り返していた時に比べ、導入のために必要な業務の一連の流れが明確化していくことを実感しました。その後は社会労務士とともに就業規則改定や労使協定書作成を行い、スーパーフレックス制度の導入のための準備を着々と進めることができました。
まずはビジョン(夢)を語り、どのような働き方に変えたいか、全体像を相手に伝えることからはじめる。これを疎かにすると、知識を持った専門家もどのようにアドバイスを行えば良いか困惑し、物事がまったく進まない状況に陥ることを身を持って実感いたしました。

まさかの頓挫

働き方の策定と就業規則などの変更を行った後、最終段階として勤怠管理サービスの設定へと進みました。設定方法を確認する際も、まずどのような働き方にする予定かをサポートセンターへ伝え、そのために必要な設定手順を確認しました。しかし、設定内容を調べていくうちに、現在のサービスでは弊社が望む働き方に必要な機能を満たしていないことが発覚しました。現在使用しているサービスに合わせて働き方を再検討するか、あるいは弊社にとって必要な機能を満たしているサービスに切り換えるのか、選択を迫られました。ちょうど新しいサービスに切り替えた直後であり、皮肉にも以前のサービスであれば機能要件を満たしている状況でした。結果、社員の働きやすさを重視し、以前のサービスに切り替えることを決断しました。苦渋の決断ではありましたが、以前のサービスに戻したことによって、その後の設定はスムーズに運び、短時間で導入を完結させることができました。
 今回の失敗はひとえに導入サービスの調査不足が原因でした。現在の勤怠管理システムは様々な機能を持っていますが、すべてのサービスがすべての働き方に対応しているわけではありません。サービスがスーパーフレックス制度に対応していたとしても、自社で策定した働き方を完全に実現できるとは限らないのです。各サービスには得意不得意があり、勤怠管理に特化したサービスもあれば、別サービスと連携することを強みとし、勤怠機能は一般的なものに留まるものなど様々です。自社が求める要件を満たし、尚且つ管理者にとっても社員にとっても操作しやすいものを選ぶ。それを見極めるには、時にはテスト環境を準備してもらい、自らの目で確認し、絶対に大丈夫という確信を持てるまで調査を続けることが重要です。

失敗の代償と社長からの一言

サービスを以前のものに戻すという今回の失敗でサービス利用料を無駄にするという事態を招いてしまったことは悔やんでも悔やみきれません。クラウドサービスであったがために比較的被害額が少なかった事実はありますが、これが一から自社開発で進めていた案件であればと思うと、考えただけでもゾッとします。それでも、サービス利用料を無駄にした事実は変わらず、とんでもないことをしたという考えをもっていた私に社長から「色々調査不足な点もあり、反省すべきことは沢山あると思うが、いい勉強になったんじゃないか」という言葉をかけてもらいました。感謝と同時に申し訳ない気持ちでいっぱいになり、この失敗を教訓にして同じ過ちは繰り返さないことを心に誓いました。この経験は私にとって苦く、そして得たものが大きい、貴重な経験の一つとなりました。 ここまで、管理業務のクラウド化やスーパーフレックス制度導入の実体験に関してお話をさせていただきました。社会環境が大きく変わってきた今日、新たな働き方を模索している企業様は多くいらっしゃると思います。 次回は各種サービスや制度の自社導入経験はクライアント企業への導入を行う上で貴重な経験となり、最大の武器になり得ることに関して、私自身の考えについてお話をさせていただければと思います。 (つづく)
林 英樹(Hideki Hayashi)
2009年5月に新卒として航空会社に入社し、旅客サービス部門で接客業務に従事。各種空港業務に加え、出発・到着コントローラー業務を担い、またチーフとして若手社員の教育など人材育成を経験。2019年4月に株式会社デジタルシフトウェーブ入社。
■上記の著者へのDX相談・講演等の依頼は、こちらから
株式会社デジタルシフトウェーブ
https://www.digitalshiftwave.co.jp/

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