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連載

“無人販売”で小規模小売業に革命、労働力不足と賃金上昇を解消する“無人事業”を加速

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DXで事業を創出、もしくは事業を拡大した企業はどんな点に気を付け、成功へと突き進んだのか。「DXスタートアップ革命 第17回」は、無人決済ソリューションを提供するTOUCH TO GO。業界の課題にどう切り込み、DXをどう進めていったのか。同社の取り組みを紹介します。なお、本連載は日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」の内容をもとに編集しております。

 AIやセンサーなどの技術を駆使して無人販売事業を展開するTOUCH TO GO。JR東日本の高輪ゲートウェイ駅に無人店舗「TOUCH TO GO」を構え、小規模小売事業の労働力不足と賃金上昇といった課題解決に乗り出します。  「TOUCH TO GO」はコンビニのように見えるが、実態は異なります。出入口には自動改札のようなゲートが設けられ、レジに販売員はいません。利用者が欲しい商品を手に取るとセンサーやカメラが商品を読み取って自動で会計処理されます。Suicaなどの電子マネーを使って支払いを済ませる仕組みです。  TOUCH TO GO 代表取締役社長の阿久津智紀氏は、「労働力不足や賃金の上昇により、小規模小売業が立ち行かなくなりつつある。これまでと変わらず便利に買い物ができる生活を維持するには、人がやらなくていいことをシステムに代行させればいい。そんな思いでビジネスを展開する」と強調します。  「TOUCH TO GO」で使われるシステムは、セルフレジの仕組みとは異なる点も特徴の1つです。店舗で使われる一般的なPOSレジと関係なく動作し、スタンドアロンでも問題なく使用できるのが特徴です。同社が独自開発したWindowsベースのシステムによって高い汎用性を持たせることで、POSレジとの複雑な設定、事前準備なしに導入できるといった利点も見込めます。  現在は高輪ゲートシティ駅に構える店舗のほか、ファミリーマートとスーパーの紀ノ国屋と提携した店舗も展開します。「“自販機以上コンビニ未満”のマーケットを狙う」と阿久津氏。マイクロマーケットと呼ばれる1兆円市場を視野に店舗拡充と機能強化を進めます。  今後の目標は、2023年までにシステムを100カ所に導入すること。阿久津氏はそのためには「システムのコストを下げること、早期に導入できる体制を構築すること。この2点に専念していく」と今後の取り組みを掲げます。さらに、「当社の強みは自分たちで直接作っていること。スタートアップ企業ならではのフットワークの軽さと裁量権とともに、大企業のような体力の両方を兼ね備える企業に発展させていきたい」(阿久津氏)といったビジョンも描きます。
Information
企業/団体名 株式会社TOUCH TO GO
所在地 東京都港区
事業内容 無人決済ソリューションの開発・販売
取り組む課題 労働力不足、賃金上昇に悩む小規模小売業の課題を解決したい
解決策 無人で商品販売、決済まで完了するソリューションを提供する
本連載は、日本経済新聞出版刊行の「DXスタートアップ革命」の内容を一部編集したものです。
日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」(守屋実監修)
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筆者プロフィール
守屋実
1992年、ミスミ入社、新規事業開発に従事。2002年、新規事業の専門会社エムアウトをミスミ創業者の田口弘氏と創業、複数事業の立ち上げと売却を実施。2010年、株式会社守屋実事務所を設立。新規事業創出の専門家として活動。ラクスル、ケアプロの立ち上げに参画、副社長を歴任後、ジーンクエスト(ユーグレナグループ)、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会、サウンドファン、ブティックス、SEEDATA(博報堂グループ)、AuB、みらい創造機構、ミーミル(Uzabase グループ)、JCC、テックフィード、キャディ、セルムなど数々の企業の役員、理事などを歴任。JR東日本スタートアップのアドバイザー、JAXA上席プロデューサー、博報堂フェロー、内閣府の有識者委員などを務める。2018年にブティックス、ラクスルを2カ月連続で上場に導く。著書に『新しい一歩を踏み出そう! 』(ダイヤモンド社)。近著は『起業は意志が10 割』(講談社)。

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