
DXセミナー
2023.05.30
【6/21開催】人事・総務・人材開発部門必見! 従業員体験にフォーカスした人事総務の役割
連載
2023.04.18
ネットとリアルを融合するオムニチャネルには、それを支えるインフラと、ネットでの価値をリアルに活かす仕組みが欠かせません。オムニチャネルの先駆者であるセブン&アイ・ホールディングス名誉顧問の鈴木敏文氏は、オムニチャネルをどう定義し、環境構築には何が必要と考えるのか。ここでは鈴木敏文氏の著書「鈴木敏文のCX(顧客体験)入門」の内容をもとに、オムニチャネルの必要性と、そのとき求められる仮説力について紹介します。【鈴木敏文のCX(顧客体験)入門 Vol.10】
オムニチャネルという用語は、アメリカの大手百貨店、メイシーズが2010年にネットとリアルを統合する概念として使用したのが始まりでした。
わたしはそれより以前、ネット通販の市場が立ち上がり始めた2000年代の初めごろから、「ネットとリアルを融合した新しい小売業を目指すべきである」「ネットを制するものがリアルも制する」と言い続けてきました。
消費社会がこれからどのように進化していくかを考えたとき、ネットとリアルの融合は必然であると考えたからです。
お客様は常に新しい価値を求め、より大きな満足を求める。それに応えるには、仮説を立てて、潜在的ニーズを掘り起こすことです。
「新しい消費」の時代に向けて、いま求められるのは、ビッグデータを離れ、自分の頭で考え抜くことです。
考えなければならないのは、社会はコロナ禍以前の状態にそのまま戻ることはないということです。ポストコロナ社会では、これまで以上に人間のもつ仮説力が問われることになるでしょう。
オムニチャネルという言葉は、オムニ(すべて)+チャネル(経路)を意味します。お客様の立場で、従来の店舗とネットの壁を超えたシームレスな買い物ができる環境を整えることがオムニチャネルです。私は鈴木敏文氏のもと、セブン&アイグループのオムニチャネルを推進してきました。今から10年前のことです。当時は、店舗スタッフの理解を得ることにとても苦心しました。それでも多くの方々の協力を得てスタートできました。ネットのデータを店舗MDに活用し、店舗のスタッフがネットで接客することを考えていました。
しかし、鈴木敏文氏と私がグループを離れた後、従来のリアル中心へと戻っていってしまいました。その後、コロナを経て、今ではオムニチャネルは当たり前に理解されるようになりましたが、当時のアドバンテージはすっかりなくなってしまいました。振り返ってみると、長年染みついた習慣を変えることは、並大抵ではなかったと感じます。
これまで本連載「鈴木敏文のCX(顧客体験)入門」にコメントを入れさせていただきました。時代が変わり、デジタル社会になっても、この本に書かれている「お客様の立場で考える」は大切なことだと再認識させていただきました。そしてデジタル時代になっても、必要なことは自分の頭で考え、未来をつくりあげていくという、人間中心のデジタル化が大切だということも痛感しました。これらが皆様にも伝わったならば幸いです。
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