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コラム

ChatGPTの登場で、よりアイデアや表現力などの人間力が求められる時代に!

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 自然文の質問に対し、的確で違和感のない日本語で回答する「ChatGPT」。最近はIT系のメディアに留まらず一般紙やテレビのニュースでも取り上げられ、世間から大きな関心を集めています。
 ビジネスでの活用も見込めます。マニュアルや営業資料の作成、文章の校正、法的文書のチェックなど、多くの作業の自動化を期待できます。インターネット上に溢れる情報を収集・整理する作業も代行できるのではないでしょうか。こうした手間のかかる作業が私たちの仕事から一斉になくなる。ChatGPTはそんなインパクトさえ与えかねない技術を擁します。
 今後は多くの業務の担い手が、人からChatGPTに置き換わるかもしれません。どの業務ならChatGPTで代用できるかといった、人とChatGPTによる業務の住み分けが進むことになるでしょう。その結果、人にしかできない業務も明確になります。つまり企業は、人員を割いてどの業務に注力すべきかを明確に絞り込めるようになります。自社の強みや競争優位性も明確に定義できるようになるでしょう。
 一方、いくら優秀なChatGPTであっても、人のように新たなアイデアを創出できません。顕在化する知恵を集められても、ゼロからイチを生み出すことはできません。さらに、人のような表現力も備えていません。抑揚をつけた言葉で伝えたり、プレゼンテーションで説得させたりするといった表現力は人しか持ち合わせていません。
 ChatGPTによる業務の適用範囲が広がるほど、人にしかできない業務や、アイデア創出や表現力といった人による取り組みの重要性が増すことになるでしょう。人による作業が当たり前でなくなる時代では、人らしさや人間力、人の魅力などの価値が見直されることになります。
 例えば、ChatGPTを使って提案書を自動作成したとします。このとき大切なのは、その提案書に人の価値をどう盛り込むかです。新たなアイデアを追記したり、提案者の熱い思いを上長に届けたりすることこそ、重要なウェイトを占めることになるでしょう。
 ChatGPTを使って大学生が論文を自動作成する、小学生が読書感想文を自動作成するといったニュースが世間を賑わせていますが、ここでも同じことが言えます。つまり、論文や読書感想文に自分の意見や考えを盛り込むことが何より大切です。「私はこう考える」「自分はこう感じた」などの自分らしさは、ChatGPTには書けません。
 文章を作る作業はこれまで、人にしかできないと考えられてきました。しかし、人が書いたような自然な文章がChatGPTでも作れます。こうした技術革新を目の当たりにする企業が考えるべきは、ChatGPTの可能性では必ずしもありません。自分ならではのオリジナリティをどう表現し、どう発信するかにこそ向き合うべきです。私たちはChatGPTの登場を、人にしかできない価値を再確認する契機と受け止めるべきです。
筆者プロフィール

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任
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