長崎大学発ベンチャーの株式会社Booonは2023年2月24日、ミルワームの育成装置「Worm Pod」の開発を発表しました。養殖魚のエサとして注目されるミルワームを、IoTやAI活用の知見を活かして低コストで生産を目指すとしています。
皆さん、ミルワームをご存知でしょうか。ゴミムシダマシという昆虫の幼虫で、ペットや釣りのエサとして一般のペットショップや釣具店でも販売されています。
その成分は、タンパク質が約20%で脂肪は約13%。魚が育ちやすい高タンパク・高カロリー食といったところです。
これまでの水産養殖では、主に魚粉が使われてきました。しかし、昨今、水産養殖の需要は世界的に激増。エサとなる魚粉も価格がはね上がっています。
そんな魚粉に代わる水産養殖の救世主として今注目されているのがミルワームです。株式会社Booonも、このミルワームに注目。長崎大学の情報データ科学部や環境科学部の研究室と連携して、自律分散型育成装置「Worm Pod」の設計・試作を行うと発表しました。
ミルワームのような昆虫は、魚粉よりも高くつくのが課題。ミルワームに与えるエサ代や、温度管理のための電気代、人件費などがかかってきます。
Worm Podは、IoTやAIによる自律機能を備え、低コストでミルワームの育成をする構想です。これはまさに、ミルワーム育成のDXといえるでしょう。
たかが虫けらにDXか…。そんな声が聞こえてきそうですが、資源としての昆虫が見直され、DXが社会的に広まっていることを象徴するニュースです。
この取り組みは、長崎大学情報データ科学部の小林透教授らとの共同研究。さらに、長崎大学生活協同組合との連携により、売れ残りのお弁当などをミルワームのエサとして利用することも検討するとしています。
果たして、人間の食べ残したものをミルワームが食べ、ミルワームを魚が食べ、魚を人間が食べ、食べ残しはまたミルワームが食べ…という無限ループは実現するのでしょうか。
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