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インタビュー

形骸的なプロジェクトにメス、推進メソッドを無料公開して企業のDXを支援

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数々のプロジェクト推進に携わり、プロジェクト推進メソッドを体系化するコパイロツト。同社が考えるプロジェクトの在り方と、成功へと導くために考えるべきこととは? 企業のプロジェクト支援に乗り出すコパイロツトの共同創業者 定金基氏に話を聞きました。

プロジェクトを見直しDX推進を

 同時に複数走らせることが多い「プロジェクト」。その規模や期間、リソース、粒度はさまざまですが、「予定通り進まない」という課題がプロジェクトリーダー共通の悩みではないでしょうか。とりわけ、プロジェクトリーダー1人ではプロジェクトの進捗や実務、管理までを面倒見切れないという課題が少なくないようです。  プロジェクトリーダーの役割は一般的に2つ。プロジェクト全体の統括と、プロジェクトを動かす実務作業。全体を俯瞰するだけでは細かなタスクの進捗までを見切れないし、細かなタスクに首を突っ込んでばかりでは全体の進捗を見逃しかねない。優秀なプロジェクトリーダーほど、同時に複数のプロジェクトに携わるケースが多く、プロジェクトリーダーにのしかかる大きな負荷が、結果としてプロジェクトの成功率低下を招いてしまうかもしれません。  一方、DXに関するプロジェクトも多くの問題を抱えていると、コパイロツトの定金基氏は指摘します。「そもそもプロジェクトの狙い、DXに取り組むゴールが不明瞭なままプロジェクトリーダーに任すケースは少なくない。どんなスキルセットの人材をプロジェクトにアサインすべきか。予算やスケジュールも曖昧。こんな状態で成果を出すのは難しいが、一方で変化の多い現代では当たり前ともいえる。そのため従来の予測型でプロジェクトを進めるのではなく、プロジェクトサイズを小さくし、小さな実践・実験を積み重ねることで学習しながら進める方法にシフトするのが望ましい」(定金氏)と言います。プロジェクトの概要を分かりやすく示せるサイズまでプロジェクトを小さくした上で、予算やスケジュールを検討すべきと指摘します。
写真:コパイロツト 共同創業者 定金基氏

写真:コパイロツト 共同創業者 定金基氏

 もっとも、システム開発プロジェクトでは一般的な従来のウォーターフォール型のアプローチを否定するわけではなく、プロジェクトごとに適切な方法を模索すべきと同氏は続けます。「綿密に計画し、予算を組み、スタッフやスケジュールを決めて取り組めるケースと、それらが予測しづらいケースがある。当然、それぞれに合った方法がある。予測しづらいプロジェクトの場合は、とにかくプロジェクトを小さくすべきだ。昨今叫ばれているアジャイル型に通じるアプローチに目を向けてほしい。消費者ニーズが多様化し、変化が著しい時代であることを踏まえ、時間をかけずに進められるプロジェクトの実績を積み上げる形は今に合っている」(定金氏)と強調します。「まず、今できることをやってみよう!」というトーンで取り組み出すことが大事だと言います。  では、これらの課題を解消し、プロジェクトを円滑に遂行させるためにはどんな取り組みが必要か。こうしたプロジェクト支援に特化したサービスを提供するのがコパイロツトです。定金氏はプロジェクトを支援してほしいと同社に相談してくる企業は「増えている」と言います。「当社に相談に来るのはUXやCX担当者など、ある程度ITの知識を持った人が多い。プロジェクト支援という専門性の高いサービスを提供するゆえ、過去に取り引きのある人が当社を紹介するというケースもある」(定金氏)と言います。ボトムアップでプロジェクトの成果を出しながら、企業の変革を後押しする役割を担います。

ミーティング改善でプロジェクトの成功確率を高める

 コパイロツトでは主に、デジタルを活用した新規事業を創出するプロジェクトを、プロジェクトチームと一緒に目指します。一番の特徴は、プロジェクトリーダーに寄り添いながら、プロジェクト推進のために最適な意思決定のサポートする点。「当社スタッフがプロジェクトリーダーの補佐役としてアサインし、コンサルティングはもとより日々の進捗管理などの煩雑な作業も担う。プロジェクトリーダーの、プロジェクトを成功させるという役割に集中できる環境構築を支援する」(定金氏)と、同社が果たす役割を説明します。
 とはいえ企業の中には、自社のプロジェクトに外部スタッフをアサインすることに抵抗感を示すケースも見られます。しかし、外部スタッフがプロジェクトに参加することについて定金氏は、「DXや業務改革を社内で進める場合、従来からある社内の評価制度が馴染まないケースがある。新たなゴールを目指すDXプロジェクトでは、一定の客観性が欠かせない。第三者の視点で課題や状況を把握する体制こそが、プロジェクトを正しい方向へ導く」と、メリットを強調します。 「アドバイスするだけではなく、当社は一番に相談されるパートナーになることを目指す。一緒にプロジェクトを進められるのが最大の強みだ」(定金氏)と言います。  「Project Sprint」と呼ぶプロジェクト推進メソッドを独自に構築、公開している点も同社の特徴の1つです。
■Project Sprint
https://projectsprint.org/
 形骸化しがちなプロジェクトの定例ミーティングを効率化するためのメソッドを整理。ミーティングの品質向上によりプロジェクト推進を後押しします。「多くのプロジェクトに携わる中で感じるのは、総じて定例ミーティングの質が低い点。報告で終わったり論点がずれたり、ミーティングの中で新たに何かが生み出されるケースが少ない。成功したプロジェクトはミーティングを大事にしている。成功事例を参考に、ミーティングへの向き合い方をまとめることが、プロジェクトの成功確率を引き上げる」(定金氏)と、メソッドを構築した経緯を話します。  なお、Project Sprintでまとめたミーティングのポイントは主に3つ。1つは、定例ミーティングでプロジェクトの変化を定期的に理解すること。「プロジェクトに変化があったからミーティングしようでは手遅れ。定例ミーティングで変化を共有し、柔軟に対応できる体制を構築できるようにすべきである」(定金氏)と言います。2つめはMTG終了時にタスクを決定し、次のMTGまでにタスクの結果を報告すること。「タスクは持ち帰るのではなく、その場で決定すべき。『とりあえず手を動かす』『まずはやってみる』という姿勢が大切だ」(定金氏)と言います。3つめは、タスクを担当した人が気づいた問題点を、その人自身が解決する姿勢。「課題解決はこれまで、プロジェクトリーダーが全体を把握した上で方針を示すケースが多かった。しかし現在、プロジェクトは複雑化して迅速性が求められる。『気づいたら即対応』という姿勢で臨まなければプロジェクトが失速しかねない」(定金氏)と続けます。

コパイロツトなしにDXが成功する社会を描く

 同社は今後、さらに多くの企業のDXプロジェクトなどを支援する考えです。「Project Sprintのメソッドは誰でも無料で参照できる。プロジェクトの成功ノウハウがない企業、外部のコンサルタントなどを利用できない地方の中小企業などでもプロジェクトを成功してもらいたい。より多くの企業や団体のプロジェクト成功が、社会をよりよくする。こうした社会課題の解決に、微力ながら当社が一翼を担えればと考える」(定金氏)と、Project Sprintをオープン化する理由を話します。  Project Sprintユーザーの声を集め、アップデートすることも視野に入れます。「多くのプロジェクトでProject Sprintが使われるようになれば、当社にもフィードバックが蓄積される。こうした声がプロジェクトを高い確度で成功させるヒントになる。ユーザーの不満などをProject Sprintに反映し、機能強化を繰り返すことでメソッドの品質や利便性向上に努めたい」(定金氏)と続けます。なお同社では、Project Sprintの中核である定例ミーティングの運用をサポートするクラウドサービス「SuperGoodMeetings」を提供開始するなど、ミーティングの支援にも乗り出します。  同社が目指す最終ゴールは「コパイロツトがいなくてもプロジェクトが前進する社会」。「企業や団体のDXを成功に導くことが当社の役割だが、究極は当社がいなくても成功する社会・環境。そんな社会になれば本望」と、定金氏はこんな未来を描きます。

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