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コラム

相手の悩みや課題を想定して話を聴け!

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相手の話を「聴く」ことは、話に耳を傾けるだけの受動的な作業ではありません。事前に業界のトレンドや情報などを調べて話を膨らませられるようにする能動的な作業と考えるべきです。「聴く」ときに必要な、相手の状況を「想定」することの大切さについて考えます。【週刊SUZUKI #143】

「聴く」という行為は、単なる受動的な姿勢ではありません。それは、相手の言葉の裏にある「心の底」を理解するための能動的で戦略的なプロセスです。このとき、特に重要なのが「相手の話を想定して聴く」という心構えです。

「想定」とは具体的に「相手の興味の幅・深さ・広さを想定し、相手の悩みや課題を想定する」ことを意味します。相手の業界や職種、経歴、そして一般的な傾向から、「この人はどんなことに興味がありそうか」「どのような課題を抱えている可能性が高いか」という仮説を立ててから会話に臨むのです。こうした事前準備が想定の精度を高めます。

例えば、相手の所属する業界の仕組みや最新のトレンドを事前に調査することで、その業界特有の課題や関心事を予測できます。さらには、相手の会社のWebサイト、SNS、ニュース記事などから情報を収集し、企業の事業内容、歴史、プレスリリースなどを確認します。これにより、企業の現在の状況や目指す方向性、潜在的な課題が見えてくることもあります。

一方、相手の役職や経歴が分かれば、その立場特有の悩みや責任範囲を想定できます。例えば、プロマネであれば戦略企画に関する悩みを抱えているかもしれない、といった具合です。

このような「想定」を頭の中で行いながら話に耳を傾けることで、相手が発する言葉の1つひとつが、より意味深く聞こえるようになります。相手が話す内容が、あなたの想定と一致すれば「やはりそうか」と確信を深められますし、もし異なれば「新たな発見だ」として、そこからさらに深掘りするきっかけを得られます。

想定は、あなたの聴く姿勢を能動的なものに変え、相手に対して「この人は私のことをよく理解してくれている」、「私の抱える問題を真剣に考えてくれている」という信頼感を与えます。そして、相手の心の奥に隠された本音や、まだ言葉になっていないニーズを引き出す上で不可欠な準備となるのです。

外交は、常に準備と洞察の連続です。相手に会う前から、その人物像や背景を可能な限り想定し、その上で注意深く「聴く」ことで、あなたは必ずや相手の心を開くことができるでしょう。

【外交の心得 その20】

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。

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