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連載

第3回 「編集力」の要となる 「チーム力」とは!?

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紙の取材力×デジタルの発信力! リソースが足りない部分を補って「チーム力」を強化することが重要! 今こそ、鈴木社長が提唱する「デジタルオープンイノベーション」を! (大久保)

 雑誌は一般的に編集部だけでなく、外部のスタッフでチームを組成して、毎回コンテンツを作っています。ファッションのコンテンツならカメラマン、スタイリスト、モデル、ヘアメイク、ライター、ロケバスなどで撮影チームが構成されます。週刊誌ならば、取材をする記者、データを集めるデータマン、記事をまとめるアンカーなどでチームが組まれています。さらにそれをレイアウトするデザイナー、文字を直す校正マン、仕上がりの最終調整をする印刷所のプリンティングディレクターがコンテンツを仕上げていきます。その全体を編集者がまとめ、編集長が最終確認する…内外のチームを駆使して雑誌コンテンツは作られています。

 一方、デジタルは事情が違います。オンラインメディアは一般的には写真、文、仕上げまで一人でこなしてる場合をよく見かけます。雑誌でいうと自主制作本的なインディーズ感覚です。YouTuberは演出も演者も撮影も編集も自分一人でこなして発信していく……。コンテンツをインスタントに作って、情報発信が良くも悪くも簡単にできてしまう時代。さらにインスタグラムやブログなどSNSになると、もっと顕著になります。確かに無駄なコスト(時間、経費、人)を徹底的に省いた、即時性がデジタルメディア、デジタル配信の良いところで、紙発信だけでは今のスマホの時代には追いつけません。逆にデジタルの配信だけではデジタルメディアはややもすればコンテンツのチェック機能が少なく、レプテーションが担保されてないケースが多いのも事実。少し前に「肩凝りを幽霊のせい」にした健康系キュレーションメディアが炎上し、グループ関連の女性向け人気キュレーションメディアまで閉鎖されたのは記憶に新しいところ。結局その女性向け人気キュレーションメディアは現在、大手出版社と合同で、しっかり編集チームを組んで復活しています。

 ヒカキンなど今大人気のYouTuberたちも最初の創成期は企画、演者、取材まで動画編集作業を何もかも一人でやっていましたが、再生回数が上がりファンも多くなって動画コンテンツの影響力が増してからは、スタジオを作ったり、プロダクションを作ったり、裏方の制作チームを組んだりと、どんどんチーム化して編集しています。きちんとしたコンテンツを作ろうとすると、結局アナログメディアの編集と同様にデジタルメディアの編集でも「チーム力」が肝なようです。デジタル領域の編集力に、既存のアナログメディアの編集のチームの良いとこ取りをしながら掛け合わせれば、最強になるというわけです。アナログメディアが持つ構成力や取材力、デジタルメディアが持つ即時性や配信拡散力…つまり、お互いの「足りないところを補い合う」ことこそが、これからのデジタル時代に求められる編集チーム力です。

 例えば、雑誌であれば、編集部は締め切りが終わったら、もう今月号の仕事はおしまい。あとは拡散は中吊り広告や新聞広告にお任せ、販売は書店やコンビニにお任せ…つまり、BtoCで伝えるのが第一義なのに、編集チームはCに直接アプローチを全くできてない。どんなファンが愛読してるのかデータも取らない。雑誌はいいものを作ってもファンに直接アプローチできない、より多くの人に伝えることができなくなっているのです。そこでデジタルのナレッジが必要となっているのは周知の事実。

 一方、デジタルメディアも、BtoCで伝えるために様々な配信&拡散方法でCに直接アプローチしてデータを取ったり、多くの人に伝える力を持っていても、強いファン化を促進する深いコンテンツを作る構成力、取材力といったものが弱い。これから誰でもデジタルで配信できる時代だからこそ、あらゆる分野で編集力が必要となります。自社や内部だけでやろうとせずに、足りないところをどう連携して補い合っていくか?…そういうチーム力が編集力に求められるわけです。

 デジタルシフトウェーブの鈴木社長が提唱する「デジタルオープンイノベーション」が、この編集力、チーム力で重要になってくるのです。「デジタルオープンイノベーション」こそが、デジタルシフトの時代において、メディアはもちろん、あらゆる分野の事業の立体化に欠かせません。(大久保)
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チーム力を強固にしていくには、ミッションやビジョンの共有が必要!(北野)

 メディアに限った話ではないのですが、サービスや事業部がいくつかあって、それをまとめたり、パートナー企業とチーム化しようとするときに、同じ方向を向いていないから上手くいかないという問題が必ず発生します。お互いがお互いのKPI(重要業績評価指標)だけを共有して、最終的な達成目標が共有されていないケースが多いのです。お互いをつなぐ設計や価値観の共有をやらずに、事業だけをチーム化させても、お互いが歩み寄らないので、結果として良い方向にはいきません。

 お互いの目標設定が連携されてなかったり、そこに連動性がなかったりすることが多いのですが、何故かというと一番大事な共有が殆どの場合欠けているのです。大事なことはミッションやビジョンについて、きちんと共有した上で両者の方向性を合わせることです。メディアであれば、どんな方向を目指し、いつ誰にどのようなことを発信するのか。ミッションやビジョンを共有できていれば、それぞれデジタルとアナログで出来ることは違っても同じ結果を目指すことは出来るのです。つまり、メディアにおける「紙領域」と「ウェブ領域」をきちんと理解して、「取材する力」と「発信する力」を掛け合わせることが必要です。お互いの領域を理解すれば、自ずとコンテンツは連携し、「メディアの立体化」が生まれます。人を感動させる写真と文章の威力、これは紙メディアがこれまで培ってきた「取材する力」「表現する力」が圧倒的に長けています。その一方でデジタルメディアでは動画や体験などの、静止画や文章では難しい「より体験に近いことを伝える力」「伝えて拡散する力」に長けています。この2つを共有できればより強いコンテンツになるのです。

 しかし、メディアにおいて紙とデジタルの連携、チーム化をしようとすると、「紙とデジタルの融合は難しい!」と最初から決めつける人が非常に多いです。これでは事業の発展は難しい。今後はメディアに限らず、複数の事業をまたいで上手くつなぎ合わせたり、連携させていく「オープンプラットフォーム化」が求められます。

 これこそが、このデジタルシフトマガジンの責任者、鈴木さんが提唱する「デジタルオープンイノベーション」であるのです。デジタルシフト時代にそれを実行し「チーム」を組める人、より多くの関係者を巻き込んでいける人はメディアだけでなく、いろんな分野の事業で活躍できるかと思います。(北野)
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大久保清彦(Kiyohiko Okubo)

雑誌LEON、OCEANSなどを企画創刊し創刊副編集長、創刊編集長を経て、セブン&アイ出版常務執行役員の後、独立。 現在は家族の幸せやSDGsなどをコンセプトに掲げるMADUROなどの雑誌とオンラインを率いるRRデジタルメディア代表取締役としてご活動中。 SNSやデジタルメディアを活用し、「地域、企業、組織の編集力」を高め、「伝える力」をつけるためのソリューションを追求中。
北野 博俊(Hirotoshi Kitano)

建築構造設計から教育系人材、不動産ベンチャーを経て株式会社ベーシックにてマーケティング部立ち上げを経験。現在、株式会社RRデジタルメディア執行役員、また、傘下の株式会社fluxusにて執行役員、株式会社sotokoto onlineにて取締役及びオンラインディレクター、グループ全体のデジタルシフト、新規事業推進を担当。

◆twitter: https://twitter.com/hirotoshikitano

◆note: https://note.com/kitano_h
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