サンゲツがノーコードのAppSheetを活用し、社員自作の社内アプリの実装数が300件を突破しました。年間11,600時間の業務削減効果を見込むボトムアップ型の内製DXは、中期経営計画「BX 2025」で掲げるデジタル資本の蓄積と直結しています。現場主導の変革がどのように機能しているのかを解説します。
社員主体で広がるノーコード活用
サンゲツは2025年1月にAppSheetプロジェクトを本格始動しました。プロジェクトはIT部門に限らず営業や商品開発、人事、ロジスティクスなど多様な部署の参加を促しています。社員が業務課題を自ら発見し、ノーコードでアプリを作成する体制を整えました。DX部門は技術支援や運用ルールの整備、表彰制度など環境づくりを担っています。新入社員研修でアプリ作成を教える取り組みも行われています。こうした仕組みが現場の自走を後押ししています。
具体的な成果は数値で示されています。2025年9月26日時点で作成・実装されたアプリは300件を超えました。サンゲツの推計では、これらのアプリの活用により年間約11,600時間の業務削減効果が見込まれています。現場発の事例として「サービスクルー配送アプリ」があります。配送順や地図をスマートフォンで確認し、配送完了を写真で記録する仕組みです。これにより情報共有の迅速化と抜け漏れ防止が実現しました。別の事例「就労見える化アプリ」は勤怠と有休の可視化で働き方の自律を支えています。
今回の取り組みは、同社の長期ビジョン「DESIGN 2030」と中期計画「BX 2025」に根ざしています。経営戦略として人的資本とデジタル資本を融合させる方針のもと、RPAや生成AIと併用しながらデジタル人材育成を進めています。内製化によって業務プロセスの見える化が進み、現場のノウハウがデジタル資産として蓄積されつつあります。ガバナンス面では最低限の基準を設けつつ現場のスピードを尊重する運用がとられています。AppSheet成果共有会などで成果を称える文化も育成しています。今後も社内での内製DXを継続し、持続的な企業成長を目指すと明言しています。
詳しくは「株式会社サンゲツ」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權






















