トヨタシステムズと富士通は、トヨタ自動車と連携し、車載コンピュータの設計プロセスに量子インスパイアード技術とAIを適用し、コネクタピン配置設計の自動化を実現しました。ECUの100ピン端子配列では理論上9.3×10の157乗通りの組み合わせが存在し、検討時間の長期化や属人化が課題でした。両社はトヨタ自動車の設計基準や知見、トヨタシステムズのCAE解析の業務・インフラ知見、富士通の「デジタルアニーラ」などを組み合わせ、最適解を高速に導出する仕組みを構築しました。熟練技術者の配置パターンと評価をスコア化してAIに学習させ、AIモデルを数式化してデジタルアニーラで計算する流れにより、従来比20倍以上の高速化を達成しています。2025年5月からは量産ECUを対象に従来手法と並行して実業務適用を開始しており、持続可能な開発体制に資する成果として位置づけられています。
本取り組みは、モビリティ産業で深刻化する人材不足や、複雑化するソフトウェアとハードウェア設計への対応を背景にしています。コネクタピンは回路を接続し信号や電力を伝える金属端子であり、最適配置は安全性や性能、製造容易性にも影響するため、高度な判断が必要でした。今回、設計基準と熟練者のノウハウをAIに取り込み、評価関数として定式化したうえで、高速な組合せ最適化を実現した点が特長です。探索空間が極めて大きい問題に対して、AIと量子インスパイアード計算を連携させることで、品質とスピードの両立を図っています。計算処理はFujitsu Computing as a Serviceの中核であるデジタルアニーラを活用し、現場の設計プロセスに自然に組み込めるよう運用面も整えられました。属人化の緩和やリードタイム短縮が見込まれます。
今後は適用範囲の拡大により、開発スピードと品質のさらなる向上、コスト低減に取り組む方針です。トヨタシステムズはサプライヤー企業への展開を目指し、トヨタグループのモノづくりにおける最先端技術の適用とデジタル化を推進します。富士通はトヨタグループの持続可能な開発設計を支援し、安心安全で快適なモビリティ社会の実現に貢献します。今回の成果は、自動車業界で初めてコネクタピン配置設計を自動化し実業務に適用した点で意義が大きく、量産ECUへの適用開始という実績も示されました。組合せ最適化の難題に対し、AIの知識表現と量子インスパイアード計算の組み合わせが実務で有効に機能した事例として注目されます。今後の展開によって、開発現場の生産性と品質の両立が一層期待されます。
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