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デジタル庁「デザインテンプレート」活用事例集。PDFの山や手集計から脱却し、データで意思決定する組織への転換

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デジタル庁は、ダッシュボード設計に関するガイドブックとテンプレートを提供し、行政や公共機関、民間企業の可視化と運用の質を底上げしています。本稿では、四つの活用事例を基に、何が可視化され、どのように業務が改善したのかを整理します。対象はデジタル認証アプリ、電子決裁システムEASY、国立教育政策研究所の教育データ、東京都の「データでわかる東京」です。いずれもガイドブックの原則に沿った設計により、レイアウトやグラフ選択の迷いを減らし、データに基づく説明責任や計画立案の精度を高めています。可視化の統一は、関係者間の共通認識の形成にも寄与し、継続的な更新運用にも適しています。導入背景や成果の具体から、実務での設計と運用の要点を抽出します。

デジタル認証アプリ 利活用状況ダッシュボード 透明性のある運用と状況把握を両立

デジタル庁は、デジタル認証アプリの利活用状況を月次で可視化するダッシュボードを公開しています。指標は利用申込数、サービスイン数、認証件数の三つで、KPIカードと推移グラフにより月次値と累計値を時系列で確認できる構成です。2026年3月時点では、利用申込数が累計494件で前月比累計プラス17.3%、サービスイン数が累計258件で前月比累計プラス44.9%、認証件数が累計6,081,832件で前月比累計プラス32.2%となり、2026年2月から3月にかけて特に伸びが顕著でした。レイアウトはグリッドテンプレートを下敷きにし、時間変化は折れ線、件数推移は棒といった基本指針に従ったグラフ選択で情報を整理しています。見せ方では過度な装飾を避け、原点を0にそろえるなどのDo’s & Don’tsにより判断の迷いを減らしました。運用では毎月の報告資料作成の定型化により負荷を軽減し、公開ダッシュボードとして継続更新しやすい体制を確立しています。共通参照先の提示が可能になり、説明や報告の質向上や透明性の確保につながっています。導入検討者にとっても広がりや運用状況を把握する参考情報となる点が効果として示されています。

電子決裁システムEASY 利用傾向の見える化で運用と計画立案を強化

デジタル庁が提供する電子決裁システムEASYのダッシュボードは、利用者数、ログイン件数、行政文書ファイル数、決裁件数、受付と一般文書件数などのKPIを俯瞰できる設計です。2025年1月時点で、利用者数は472,765人、ログイン件数は4,297,481件、行政文書ファイル数は30,808,165件、決裁件数は834,611件、受付と一般文書件数は1,156,295件を示しています。下部の複合推移グラフでは、2023年2月から2025年1月の期間で各指標の増加傾向が把握でき、特に決裁件数とログイン件数の伸びが確認できます。以前は表計算ソフトで集計していたため、府省庁ごとの動きの分析に手間がかかっていましたが、ダッシュボード化により時期別の傾向把握が容易になりました。これにより、システム増強やヘルプデスク準備などの計画策定で懸念を減らし、将来予測の材料が得られたことが述べられています。詳細なデータに基づく運用保守の備えにより、異動が多い環境でも持続的で安定したユーザビリティの提供基盤が整いました。ガイドブックの原則を踏まえた可視化は、組織横断の合意形成や迅速な改善アクションにも適しています。結果的に、運用負荷の軽減とサービス品質の維持向上を同時に実現しています。

国立教育政策研究所 データで見る日本の教育 テンプレート活用で経年変化を誰でも見られる形に

国立教育政策研究所は、「全国学力・学習状況調査」の質問調査結果を統合し、「児童生徒質問調査アーカイブ」と「学校質問調査アーカイブ」を公開しました。従来は年度ごとにPDFで蓄積され、質問項目も年度で異なるため、長期の経年変化の把握が困難でした。テンプレートの「正解の型」を用いることで、レイアウトや配色の試行錯誤を抑え、未経験でも短期間で高品質なダッシュボードを構築しています。UIは膨大な質問項目の一覧と、選択した項目の回答傾向の推移を比較できる構成で、積み上げ横棒グラフにより年次推移を直感的に理解できます。例えば「人が困っているときは、進んで助けていますか」などの質問では、年ごとの回答割合の変化が視覚的に確認可能です。学術分野や教育現場からは、授業での活用意向や新たな気づきにつながるとの反響がありました。単なるデータ公開から、利用シーンに寄り添ったUIとUXへの進化が評価されています。今後も「データで見る日本の教育」のコンテンツ拡充に取り組む方針であり、継続的な価値提供を意識した運用が進んでいます。

東京都 データでわかる東京 共通ルールで可視化を標準化し都民に届ける

東京都の「データでわかる東京」は、2050東京戦略の進捗や生活施策の効果、各局の取組成果など、多様なデータを一つのポータルで提供する試みです。以前は各局で個別管理され、情報の所在やデザインのばらつきが課題でしたが、テーマ別に情報を分類し、検索性を高めた構成で改善を図りました。子育て支援制度レジストリのダッシュボードでは、2026年2月27日時点で整備自治体数63、掲載制度数7,812件を示し、カテゴリー別や対象者別、コンテンツ別に制度数の内訳を表示しています。ガイドブックのレイアウトグリッドやカラーパレットを共通ルールに採用し、視認性の高いダッシュボードを量産可能にしました。結果として、都政データの迅速な可視化と追加更新の運用体制が実現し、進捗や実態を一目で把握できる透明性が向上しています。東京都は、デジタル庁の知見と自庁の経験を踏まえた独自ガイドブックとテンプレートも整備し、全庁的なデザイン統一と視認性の向上を継続する方針です。多岐のテーマを束ねるポータル運用は、共通の「型」によって全体最適化を進める実践例になっています。

まとめ 可視化の「型」が業務を変える デジタル庁ガイドブックの実務効果

四つの事例はいずれも、ガイドブックとテンプレートがレイアウトやグラフ選択の迷いを解消し、運用負荷を下げ、説明責任と透明性を高めることを示しています。データの見せ方を標準化することで、更新を前提とした継続運用が可能となり、関係者が同じ指標を同じ見え方で共有できます。デジタル認証アプリでは月次のKPI可視化が浸透状況の説明を容易にし、電子決裁システムEASYでは府省庁別の傾向把握が計画精度の向上に寄与しました。教育データのアーカイブは未経験からでも短期間で構築でき、実務と研究の橋渡しを後押ししています。東京都のポータルは、共通ルールの導入で可視化を標準化し、都民への情報提供を最適化しました。データで業務を変えるという位置付けが明確になり、ガイドブックは設計から運用まで一貫して活用可能です。今後もテンプレートと共通原則を基盤に、継続的な更新と改善を重ねることが期待されます。

詳しくは「デジタル庁」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部

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