行きつけのお店…。地元や職場の近くにそう呼べる飲食店を持っている人は少なくないでしょう。居心地が良かったり、気の合う飲み仲間が集まっていたり、好きな料理やお酒が合ったりなど、自分なりの魅力がそのお店にはあるはず。そんな行きつけのお店があると、日々の食事や一杯も楽しくなるに違いありません。
そうしたお店の多くは地元の人に愛され、いわばローカルブランドとして成長しているケースが珍しくありません。店舗側もよりお客さんに愛されるよう努め、ローカルながら有名店にも負けない味やもてなしを特徴として打ち出しています。では、そんなお店がもし、さらなる飛躍を目指して食の聖地でインターナショナルに進化したとしたら。そこにどんなお店が生まれるか気になりませんか? 今回はローカルを極め、東十条から新天地の銀座へと出店し、インターナショナルな進化を遂げようとしている老舗焼き鳥店を紹介します。
東十条で77年。もつ焼きと焼き鳥の老舗、新潟屋
東十条の駅からほど近い場所にたたずむ「もつ焼き 新潟屋」。この地で操業77年を迎える老舗のもつ焼きと焼き鳥屋です。1947年に初代店主である五十嵐定吉が新潟より上京し、精肉店の片隅、6畳ほどのスペースで店を始めました。戦後間もない中にオープンした新潟屋は、すぐに近所の話題となっていきました。
新潟産のものを中心に、厳選した肉と野菜からつくられ、秘伝のたれとこだわりの火入れで仕上げられた新潟屋の料理を口にした人たちは、みな揃って「懐かしい」と言います。素朴ながら丁寧な仕事が施された味はもちろんですが、店内の雰囲気や自分たちとな時用に訪れているお客さん、働いている店員など、さまざまな要素が複合して、その言葉が紡がれるのでしょう。集まった食材と人が醸す空気、まさにローカルならではの魅力が満点のお店です。
東十条の地で愛され、ローカルを極めたと言っても過言ではない新潟屋。このお店が今、新天地において、さらなる飛躍を遂げようとしています。
食の聖地でローカルブランドからナショナルブランドへ進化する
新潟屋が新たに店を出すのは、中央区銀座。言わずと知れた食の聖地です。言うまでもなく飲食店の激戦区であり、客層も日本人に限らず、外国人も多く見られます。新潟屋は、この地を新たな生誕の場所に選びました。その理由には「職を、もっと突きつめたい。こだわりたい」という想いがあるのだそうです。
東十条の新潟屋は、食べて飲んで2000~3000円のお店です。お客さんは店内のメニューを見ながらめいめいに好きなものを頼みます。対して、銀座ではコースを振る舞うのだそうです。それは、その日の一番のものを出したいから。これが今日の新潟屋の味ですと言って、その日の最高の品々を提供したいからだそうです。お客さんが食べたいものを頼むのではなく、お客さんに食べてもらいたいものを提供する。銀座での新潟屋は、地元で愛されるスタイルではなく、革新を求め新たなスタイルを取り入れます。
ローカルで長年愛され続けたもつ煮と焼き鳥の店が銀座でどう進化するのか。これはもう行って、食べて、目にするしかないでしょう。異色ともいえる、ローカルからインターナショナルへの殴り込みともいえる試み。秘伝のたれや火入れによって築かれてきた、ローカルブランドとしての新潟屋の味が銀座の地でどう花咲くのか。
期待の進展として銀座の新潟屋を訪れてみるもよし、まずは東十条の新潟屋でローカルの味を楽しんでから、銀座の味と食べ比べる、またはその逆もいいでしょう。東十条と銀座、ローカルとインターナショナル、異なる2つの場所で進化する焼き鳥ともつ鍋を心ゆくまで楽しみましょう。
【お店情報】
新潟屋(銀座)
☎050-5593-4007
東京都中央区銀座7-10-8 第五太陽ビル 301
11時半~14時、17時~23時
無休
銀座 yaki 新潟屋【麒麟】course 1万2000円(税込)
乾杯 シャンパーニュ
座付 本日のスープ
壱の串 霜降り牛タン串
前菜 京紅地鶏棒寿司 奈良漬 いくら
弐の串 京紅地鶏もも串 他二種
名物 牛もつ煮込み
参の串 地鶏抱き身串 他一種
冷菜 根菜と鶏のSALADA
肆の串 本店直伝 カシラ串 他一種
口直し 新潟屋 糠漬け
食事 自家製つくね丼
甘味 季節のデザート
(仕入れにより食材は変更になる場合有り)
銀座 yaki 新潟屋【鳳凰】course 1万6000円(税込)
乾杯 シャンパーニュ
座付 本日のスープ
壱の串 霜降り牛タン串
前菜 京紅地鶏棒寿司 奈良漬 いくら
弐の串 A5黒毛和牛フィレ串 他二種
名物 牛もつ煮込み
参の串 本店直伝カシラ串 他二種
冷菜 鶏とハーブのSALADA
肆の串 自家製月見つくね串 他二種
口直し 新潟屋 糠漬け
食事 フォアグラ・キャビア丼
甘味 季節のデザート
(仕入れにより食材は変更になる場合あり)